どうも、がんばらないネコです。Twitterで活動しているサッカー分析ブロガーです。
今回の試合は、シティ相手に「どうすれば攻撃を止められるのか?」と「どうすれば得点を奪えるのか?」を学べる試合でしたね。
今回の記事は、
- シティの強み(前回ダービーで確認)
- シティの弱み(ドルトムント戦で確認)
- マンUの戦略
の順番で書いていきます。
前回ダービーでの敗北からしっかり修正してきたテン・ハグの手腕が光った試合。
それでは、「シティの弱点」と「マンUの見事な戦略」見ていきましょう。
シティの強み:ライン間の支配
前回のダービーでユナイテッドが大敗した理由は、シティの強み「ライン間の支配」に対応しなかったからです。
前回のユナイテッドの戦略は、シティCBを放置して、サイドも中央も満遍なく潰すことでした。
上のように、数的同数を作りサイド攻撃を牽制し、CBが中央突破を強引に狙ったタイミングでボールを奪うことが目的でした。
しかし、シティもそのような対策には慣れており、お得意のポジションチェンジでライン間を支配。
前回のダービーでのシティの3点目は、まさにシティの強みとユナイテッドの対策ミスが表れていたシーンでした。
シティ3点目を3つの段階に分けて見ていきましょう。
FWとMF間のスペースを支配
まずシティは試合を支配するためにやることは、FWとMF間のスペースの支配です。
このスペースを支配して相手MFを高い位置に引き出す準備をし、次段階の「MFとDF間のスペースの支配」に移行します。
前回ダービでの3点目も、ポジションチェンジを駆使してFWとMF間を攻略しました。
先ほど解説した通り、ユナイテッドSHはシティSBにプレスをかける守備を行います。
シティSB→IHにボールが渡りますが、ここにはユナイテッドCHがプレスにいきます。
ここでシティ選手たちはポジションチェンジし、FWとMF間のスペースでWGがフリーになります。
シティIHからボールを受けたCHが、ライン間にいるWGにパスし、見事にFWとMF間を支配しました。
MFとDF間のスペースを支配
シティが次にやることは、MFとDFラインの支配。
まず相手MFを引き出し、ライン間にいるフリーマンにパスを通す作業を行います。
そして、ボールを受けたフリーマンがシュートやドリブル、パスで得点を狙います。
上のようにライン間の支配がシティの強みであり、シティを世界屈指の強豪にしている理由です。
前回ダービーでの3点目も、ユナイテッドMFをうまく引き出し、ライン間のフリーマンにパスを通しました。
先ほどフリーでボールを受けたシティWGが前進しますが、「まだ引き出されてはいないCH」がライン間を守ります。
シティWGがドリブルでライン間を狙いますが、ユナイテッドCHがプレスにいきます。
しかし、これはシティWGの囮で、逆サイドにいたシティIHをフリーにしてパスを供給するため。
※ちなみに、ユナイテッドCHとしてはどちらかには対応しないといけないので、プレスに行ったことは間違った判断ではないです。
囮につられて引き出されたCHを攻略して、MFとDF間のスペースに侵入したシティ。あとは、ゴールを狙うだけです。
最大の武器:破壊力抜群のインサイドハーフ
シティの強みはライン間の支配ですが、強みの根源となっているのが「強力なインサイドハーフ」です。
デ・ブライネ、ギュンドアン、シウバ、フォーデンといった、才能豊かなインサイドハーフの存在が、シティ最大の武器です。
前回ダービーでの3点目も、ライン間でボールを受けたデ・ブライネによる超絶パスから得点が生まれました。
ライン間でフリーになっているデ・ブライネ。状況的にはサイドからの攻撃がベストか?
???
ユナイテッドの選手は触れない場所にパス。
そして、味方FWだけは触れるパス。
強力なインサイドハーフであるデ・ブライネの超絶パスによって、大きな3点目を奪ったシティでした。
以上のように、ライン間の支配+強力なインサイドハーフの躍動によって、シティは世界屈指のチームとなっています。
しかし、そんなシティでも弱みを持っており、シティが苦戦するほとんどの試合は弱みを露呈する場合です。
次に、シティの弱みを見ていきましょう。
デ・ブライネはやっぱり怪物だね
シティの弱み:中央へのこだわり+サイドの弱さ
シティは良い意味でも悪い意味でもいつも同じチーム。つまり、ライン間の支配を狙い、攻守両面を支配しようとします。
今シーズンほとんどの相手から10本以上シュートを放っているシティ。
つまりほとんどの試合で、シティは試合を支配し、相手を粉砕しているといえます。
ただ、そんなシティでも苦戦した試合があり、筆者が興味深かった試合はCLドルトムント戦です。
なぜなら、ドルトムントはホームとアウェイで両方の試合で、シティのシュート数1桁台に抑えていたからです。
ドルトムントがシティを苦戦させた理由は、以下2つのシティの弱みをしっかりついたからです。
- 中央へのこだわり
- サイド攻撃の弱さ
それでは、ドルトムントの戦略を見ながら、シティの弱みを1つずつ見てきましょう。
弱み①:中央へのこだわり
まず1つ目は「中央へのこだわり」。これは弱みでもあり、強みでもあります。
先ほども言った通り、シティはどんな相手にも中央の支配を狙います。
中央の支配する理由は、攻撃の幅が広がり、相手を混乱させることにつながるからです。
例えば、中央とサイドでは、攻撃時に持てる選択肢の数が違ってきます。
選択肢が多い場合は、相手が「どこを守ればいいのか?」を迷ってしまい、結果として守備に穴を空けやすくなります。
上記の効果がシティを強豪たらしめるものであり、どんなチーム相手にも試合を支配できる要因です。
その一方で、中央の支配をうまく阻害されると、急にチームがうまくいかなくなるのもシティの特徴です。
今シーズン、CLでシティをかなり苦しめたドルトムントは、シティのライン間の支配をうまく阻害していました。
まずはFW+3MFが、シティが行う「FWとMFライン間の支配」と「MFとDFライン間の支配」を阻害しました。
そして、WGが幅広い役目を担い、中央の阻害を最優先にしながら、サイド攻撃の牽制も行っていました。
シティのホーム戦、1:50のプレーがシティの苦戦を表していた場面でしたね。
シティはSBが中央に絞り、IHが開いたサイドを狙いますが、ドルトムントはシティSBにプレス+IHを徹底マークで阻止。
CBにボールを戻すシティでしたが、ライン間の支配を警戒するドルトムントは、シティCBにもプレス。
サイドに誘導したドルトムント。シティSBには強めのプレスをせず、パスコースの制限などでCBへのバックパスへ誘導します。
それに対して、シティボランチが降りて混乱させようとします。
しかし、ドルトムントは落ち着いて対応し、ライン間を空けずに、しっかりサイドに誘導するようにプレス。
引き続きシティCBへのプレスをしつづけながら、ライン間にはいっさいのパスコースを作らせない。
シティSBにパスが渡りましたが、先ほどと同様にライン間を徹底的に閉めて対応。
中央を阻害されてSBジョーンズにボールが渡りましたが、ジョーンズは中央支配を狙ってバックパスを選択しました。
このような中央を狙い続ける選択によって、攻撃がうまく回らなかったシティ。
以上のように、相手チームに中央を阻害されると苦戦し、それでも中央を狙って傷口を広げるのがシティです。
弱み②:サイド攻撃が機能しない
もう1つの弱み、現在の一番の悩みは「サイド攻撃が機能しない」です。
相手チームが中央を封鎖する時は、必ずと言っていいほどサイドが空きます。
なので、サイド攻撃がある程度機能すれば、たとえ中央を封じられても得点を奪えます。
しかし、今のシティはWGの調子が悪く、さらに連携での崩しもうまく機能してません。
今季のドルトムント戦でも、サイド攻撃という弱みが露呈し苦戦していました。
シティのホーム戦、3:20のプレーがシティの苦戦を表していた場面でしたね。
デ・ブライネのランからWGをフリーにするシティ。そして、そこにピンポイントパス。
手薄になっているサイドの守備を崩したいシティは、デ・ブライネやSBも上がって攻勢を強めます。
しかし、シティWGが選んだのは難しい角度からのシュート。もっとアイディアがほしい場面でした。
以上のように、サイドにフリーマンを作っても、そこから良い崩しを展開できないことが多いですね。
今回のダービーでユナイテッドが勝利した理由は、シティの「中央へのこだわり」と「サイド攻撃の弱さ」という弱さをついたからです。
それでは見ていきましょう。
ドルトムントもやっぱり良いチーム
ユナイテッドの戦略:中央閉鎖+サイドを崩す
前回6−3で大敗を喫したユナイテッドですが、大敗した原因をしっかり修正して、今回は勝利を掴みました。
前回からのユナイテッドの修正内容は、これまで解説してきたシティの強みと弱みを考慮したものでした。
- ライン間を潰す
- WGを自由にしない
- SBが空けたスペースを狙う
1つずつ見ていきましょう。
戦略①:ライン間を潰す
まずユナイテッドが修正した部分は、前回の大敗の根本的な原因「ライン間の支配」です。
前回のユナイテッドで一番問題だったのは、SHの動きであり、サイドの守備に注力しすぎましたね。
今回のユナイテッドは、SHがしっかりと中央の守備に参加し、シティによるライン間の支配を止めていました。
1:40のプレーが、シティの苦戦を表していた場面でしたね。
ボールを持つシティCB。
ライン間を支配するために降りてきたシティFWに対して、ユナイテッドCHが「当たりに行け」と指示。
パス交換からもう一度ボールを受けるシティFWに対して、強めにプレスに行くユナイテッドSH。
それに加えて、シティIHには徹底マーク。
SHが中央の守備に参加するのでシティSBがフリーになりますが、これはユナイテッドとしては許容範囲でした。
このユナイテッドの修正によって、今回シティはうまくライン間を支配できずに苦しんでいました。
ただ、シティもユナイテッドの対策を上回ろうとプレーしていました。19:20のプレーを見ていきましょう。
しかし、このシティの修正はユナイテッドにとっては対応しやすかったです。なぜなら前線に選手が残っていないからです。
たとえデ・ブライネにスルーパスを出されても、2枚のCBで対応すればまったく問題ありません。
パスが出せなかったので、とりあえず前進するシティSB。
しかし、中央の人数が足りないので、サイドからの攻撃に変更し得点を狙います。
3人の連携で崩しにかかりますが・・・
ユナイテッドの選手たちを上回るほどの攻撃はできずに、パスはカットされました。
以上のように、今回用意したユナイテッドの対策によって、シティはかなり苦しめられていましたね。
戦略②:WGを自由にしない
次にユナイテッドが行ったのは、「WGを自由にしない」ことです。
シティのサイド攻撃が機能していないことは解説しましたが、ユナイテッドはそこをもっと強調させようとしていました。
今回ユナイテッドは、よりサイド攻撃を弱めるためにシティWGへのプレッシャーを非常に強く行っていました。
以上の対応により、シティは前線にボールを運ぶことが難しくなっていました。
苦戦していたシティでしたが、唯一フリーになれる存在であったSBにプレーメイクを委ねました。
21:30のプレー、シティSBのプレーによってをチャンスを作った場面。
フリーになったSBから得点を狙うシティ。裏に抜けるWGに対して・・・
高精度の浮き球パスを供給するシティSB。(本当にSBですか?)
ピンポイントのパスが通りましたが、すでにユナイテッドのDFに囲まれている。
しかもオフサイドだった。
以上のように、SBからチャンスを狙っていたシティですが、やはり守備の選手なので効果的な攻撃はあまりできず。
これがデ・ブライネなら大きく試合結果も変わっていたでしょうね。
ユナイテッドの戦略は大当たり!!
そして、なんと言っても、この「シティSBの積極的な攻撃参加」はユナイテッドが勝利を掴むための罠でした。
戦略③:SBが空けたスペースを狙う
SBに攻撃の指揮権を委ね、サイドからの攻撃を強化したシティは、見事に先制点を奪います。
サイドに3人を集中させて崩しにかかります。
ここで、ユナイテッドSHがマークを怠り、デ・ブライネがフリーに。そして、シティWGがスルーパス。
ボールを受けたデ・ブライネにプレスに行くユナイテッドCHだが・・・
余裕をもったデ・ブライネはプレスにうまく対応しながら、中央に高精度のクロスを供給。
そのクロスに合わせたのは、逆サイドのWG。
見事にゴールを奪いました。やっぱりシティのインサイドハーフ、特にデ・ブライネは化け物。
しかし、WG+IH+SBの3人でサイドを攻略した得点でしたが、これはシティを倒すための罠でした。
その罠とは、「SBがいない状況で起こるサイドでのトランジションに勝てない」というシティのもう1つの弱点を露呈させるためです。
ドルトムント戦を見ていきましょう。
サイドを崩すために、SBを高い位置に進出させるシティ。
WGからのパスはカットされるが、トランジションを制すれば問題ない場面。
しかし、SBがいなくなった影響で、ボール奪取を狙いにくい陣形に。またWGのプレスも弱い。
中央に展開されるが、CBとしては強めのプレスに行きにくい場面なので、ここでもボール奪取できず、
シティSBが空けたスペースを使って効果的なカウンターを決めるドルトムント。シティとしては非常に危険な状況。
運良くシュートは外れましたが、非常に危険な場面だったことに変わりありません。
もしSBが残っていれば・・・
すぐさまボールホルダーにプレスにいけ、さらにパスコースも制限しやすくなるので、カウンターは防げていたでしょう。
上のようなカウンターは、ドルトムント戦で数回発生しており、大きな決定機を何度も作られた原因でした。
ユナイテッドがドルトムント戦を分析したかは知りませんが、シティの弱点を見抜いていたのは確か。
特に、ユナイテッド2点目は「SBがいない状況で起こるサイドでのトランジションに勝てない」というシティの弱点を見事についていました。
SBもあげて攻勢に出るシティ。
セカンドボール争い。
プレスにいくシティだが、やはりSBがいないことでスペースができている。
降りてきたユナイテッドFWを潰せないシティCB。
そして、先ほどのスペースでフリーになったユナイテッドCH。ここからカウンターを決められる。
まずシティボランチが空けたスペースを狙うユナイテッド。しかし、これは中継地点で、本当の狙いはSBが空けたサイドのスペース。
サイドをぶち抜かれるシティ。しかし、まだ止められる可能性はある。
強引にクロスをあげるユナイテッド。
誰も触れない、いや触らないシティ。
81分という終盤に逆転を許してしまいました。
以上のように、シティの強みを消し、弱みをしっかりついたユナイテッドが、今回のダービーに勝利しました。
前回からしっかりと修正できていたユナイテッドと弱みを消せなかったシティがよく表れていた試合でしたね。
やっぱり同じチーム同士の対決は物語があっておもしろい
まとめ
今回はマンチェスターダービを解説しました。
最後にシティの問題点を振り返りましょう。
シティの問題点 ・中央からの攻撃に偏っている ・サイド攻撃がなかなか成功しない ・サイドでのトランジションに勝てない
今回のダービーに負けたとはいえ、シティはやっぱり強いです。
先制点はシティでしたし、攻撃の形も見事。
あそこまで対策を打たれていても、あのような形で得点を奪ってくるところが、やはりシティは世界屈指のチームだなと感じました。
しかし、負けたのも事実。
まあ、1点目はオフサイド判定が妥当だと思いますが、2点目の取られ方はどうにかしたい。
トランジション時の弱みはドルトムント戦から改善されていませんし、最後のクロスは簡単に弾き返してもらわないといけない。
正直、簡単に失点したと言える内容でした。
リーグよりもCLを制覇してほしいというファンの願いもあるので、簡単な失点は本当に改善しないと。
ぜひ改善されることを祈っております。
今回の記事で何かご意見等ございましたら、気軽にコメントしてください。
また、今回のマンチェスターユナイテッドのカウンターのような「攻撃のコツ」をコツを解説した記事もありますので、ぜひご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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