【CL決勝2024】90分をフル活用できるCLの王”レアルマドリード”

サッカー分析

どうも、がんばらないネコです。Twitterで活動しているサッカー分析ブロガーです。

今回はCL決勝レアルマドリード対ドルトムントを分析し、勝敗を分けた要因を見ていきましょう。

この記事は、以下の内容をお送りします。

がんばらないネコ
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この記事の内容はこちら!!

  • ドルトムントの作戦
  • レアルの修正
  • CL感想

CLの王”レアルマドリード”に勇敢に立ち向かったドイツの強豪ドルトムント。

今回の記事はドルトムント善戦の要因、レアルの勝因を詳しく解説していきます。

今回の記事で読めば、「ドルトムントの巧みな作戦」や「レアル優勝の要因」などを知れますよ!

サッカーが好きな方や興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

それでは、どうぞ!

【前半】”ほぼ”完璧な準備が機能したドルトムント

【前半】”ほぼ”完璧な準備が機能したドルトムント
https://www.flashscore.co.jp/match/hMwfbhsh/#/match-summary/match-statistics/1

戦前の予想では圧倒的にレアル勝利が叫ばれていた今季のCL決勝。

タレント力とチーム力、そしてCLでの経験値とどれをとってもレアルの方が上であったことは確かです。

しかし蓋を開けてみれば、前半は終始ドルトムントペースで進み、数多くの決定機を作り出しレアルを追い詰めた。

この結果を生み出したのは、ドルトムントが用意した作戦がレアルの弱点をつくものであったためです。

ドルトムントが用意した作戦は何なのか?どのように機能してレアルを苦しめたのか?

それでは、1つずつ見ていきましょう。

守備:クロース潰しと右サイドへの誘導

守備:クロース潰しと右サイドへの誘導
Screenshot

はじめにドルトムントの守備面を見ていきましょう。

レアルのポゼッションにおいて厄介なのは、クロースを活用した2種類の組み立てです。

守備:クロース潰しと右サイドへの誘導

まずメインの戦術はクロースがFW-MF間でボールを受けて中長距離パスで組み立てを行うもの。

守備:クロース潰しと右サイドへの誘導

そして、FW-MF間を使えない場合に使用する、DFラインでボールを受けて組み立てを行うサブの戦術。

どちらもクロースのサッカーIQとパススキルを最大限活かす組み立てであり、CL決勝に導いた重要な要因です。

そんなレアルに対してドルトムントはインサイドハーフを活用して、2種類のポゼッションを同時に潰す作戦で圧倒しました。

守備:クロース潰しと右サイドへの誘導

まずドルトムントはFW-MF間での組み立てを潰すために、2枚のインサイドハーフにスペースのケアを指示。

これによってクロースたちはFW-MF間からDFラインへの移動を余儀なくされる。

では、DFラインからの組み立てに移行したレアルに対してはどうするか?

守備:クロース潰しと右サイドへの誘導

驚くことにインサイドハーフがプレスに行っていました。

つまり、ボールの位置を基準に2枚のインサイドハーフが、DFラインへのプレスとFW-MF間のケアを交代で行う作戦を実行。

ただこれは非常に負荷のかかる戦術であり、インサイドハーフの運動量は尋常でない。

このインサイドハーフへの負荷を軽減させるために、FWとWGにも明確な守備タスクを与えていましたね。

守備:クロース潰しと右サイドへの誘導

まずFWには、インサイドハーフとともにDFラインへのプレス+状況に応じたFW-MF間のスペースを埋める役割を。

続いてWGには、中央寄りの低い位置に移動して、インサイドハーフが開けるスペースを埋める役割を。

以上のような守備によって、レアルは使いたいスペースを使えず、サイドにボールを回すことが増えていきます。

中央が潰されサイド攻撃を増やすレアルに対してもしっかり準備していたドルトムント。

今のレアルで厄介なのは、シティ戦で発明したヴィニシウス+ロドリゴの左サイド強襲です。

この攻撃を止めるために、左サイドを重点的に守り、攻撃力が足りていない右サイドに誘導。

守備:クロース潰しと右サイドへの誘導

具体的には、SB+WG+ボランチ、そしてプレスバックしたインサイドハーフの4枚で包囲網を作り中央への展開を阻止。

中央へ展開できないレアルはDFライン経由で右サイドに展開します。

しかし、バルベルデとカルバハルしかいない右サイドは明らかに攻撃力不足。

守備:クロース潰しと右サイドへの誘導

攻撃力が不足している右サイドからの攻撃をしっかり防ぎ、ピッチ全体でレアルをシャットダウンしたドルトムントでした。

ドルトムントが用意した守備戦術は、今シーズン一番レアルを苦しめていた印象ですね。

攻撃:過負荷のボランチを攻略

攻撃:過負荷のボランチを攻略
Screenshot

続いてはドルトムントの攻撃面を見ていきましょう。

まず最近のレアルは4−4−2のブロックで積極的なプレスを使用する守備しています。

攻撃:過負荷のボランチを攻略

走力と強力なカウンターを活かした今のレアルにあった守備ですが、ドルトムントはそれを逆手に取った攻撃を準備。

攻撃:過負荷のボランチを攻略"

まずDFラインを3枚で形成し、前に果敢にプレスにくるレアルFW陣のプレスを空回りさせる。

そして中盤を4枚で攻め、FW陣と距離が空きサポートが少ないレアルボランチのマークを絞らせない。

攻撃:過負荷のボランチを攻略

特に狙っていたのは右サイドであり、ザッピアーが良い動きをしてました。

マークの対象とボールの奪い所を完全に見失ったレアルは後手に回る結果に。

規律の整った素晴らしいポゼッションでしたね。

そして、そんレアルをより苦しめていたのは、ドルトムントのカウンター対策。

ポゼッションやプレスを無効化されても、レアルには理不尽なカウンターが存在します。

世界最高のカウンターをどう止めればいいのか?

それはマンチェスターシティがやったように、FWとMFを引き離すことです。

攻撃:過負荷のボランチを攻略

規律と狙いがしっかりしたポゼッションによって、MFがDFライン付近までポジションを下げることが多くなったレアル。

しかし、FWは前からのプレスによって前方に残っている。

つまり、レアルFWはチームから孤立し、ドルトムントの5選手に包囲され、まともにカウンターを仕掛けられない状況に陥りました。

ドルトムントが本来持っているインテンシティの高さも相まって、カウンターを全然成功させられないレアル。

「攻撃をしながら守備をする」を体現していたドルトムントが優勢だったことは必然でしたね。

前半全体:入らないシュートとギリギリの対応

ここまで説明したように、試合の主導権はドルトムントが完全に握っていました。

しかし、結果としては0−0で終わっています。

前半において内容と結果が乖離した要因は、

  • 個の力
  • エリア内での守備

の2つだと思います。

素晴らしい戦術、そしてそれをハイレベルに実行するチームも数多く存在する。

今回のドルトムントもまさしくそういうチームです。

しかし、そんなチームが重要な試合で負けるところを数多く見てきました。

戦術がうまくいっているチームが負けてしまう大きな原因は、やはり個の力だと思います。

具体的にいえば、ゴールを決める力。

今回のドルトムントも、個の力が不足して決定力が十分でなかった。

これに加えて、0−0で終えた要因2つ目は、レアルのギリギリの対応です。

言い換えれば、いかにシュートの質を落とす守備ができるかです。

上の場面、アデイェミのトラップが少しズレたためピンチを脱しています。

しかし、注目するべきはリュディガーの対応。

アディエミに対してリュディガーは、あまり寄せずにあの位置でわざとシュートを打たせる。

この対応によって、

  • リュディガーが壁になってシュートコースを消す
  • 限られたシュートコースでクルトワが力を発揮できる

というアディエミがシュートを外す状況を生み出せています。

よくある間違った行動は、ボールを必死に取りに行くこと。

このような対応は、PKを与えること、突破されてGKと1対1を作り出すなどデメリットが大きい。

攻められても勝ち切れるレアルの強さの要因は、以上のような「ギリギリの状況での巧みで割り切った対応」だと思いますね。

がんばらないネコ
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バルサも見習ってほしいな

【後半】柔軟性の有無が勝敗を決めたレアルマドリード

【後半】柔軟性の有無が勝敗を決めたレアルマドリード
https://www.flashscore.co.jp/match/hMwfbhsh/#/match-summary/match-statistics/2

前半はドルトムントに圧倒されたレアルでしたが、ギリギリのところで生き延び0−0で終えました。

今季何度も見せている「逆境からの勝利」を演出するかのような試合展開。

後半巻き返しを図りたいレアルは、持ち前の柔軟性を活かしてドルトムントの狙いをことごとく打ち崩していきました。

CLの王を体現するかの如く勝利を収めたレアル。

レアルはいったいどのような修正をしたのか?なぜドルトムントは後半苦戦したのか?

それでは見ていきましょう。

守備:待ち構える守備とサイドでの優位性

守備:待ち構える守備とサイドでの優位性

前半レアルの問題は、プレスを空回り気味にされ、選手間の距離が離れ、スペースを与えすぎていたことです。

レアルの4−4−2とドルトムントの3−2−4−1は噛み合わせが悪く、レアルのプレスの質も良くなかった。

この問題を解決するために、前半の作戦を捨て、完全に割り切った「待ち構える守備」を採用。

守備:待ち構える守備とサイドでの優位性

ベリンガムをトップ、WGをかなり下げた4−5−1で、ドルトムントの縦パスを待ち構える守備で状況を一変させる。

ドルトムントの狙いとしては、前に出てくるレアルを逆手に取って、できたスペースを巧みにつくこと。

言い換えれば、スペースを作ってしまう動きをレアルがしなくなれば狙いは機能しなくなる。

レアルの待ち構える守備によって、攻撃で使いたいスペースを失ったドルトムントの攻撃は完全に勢いを失いましたね。

また、ドルトムントを苦しめたのは、優秀なSBの存在とWGのタスク変更です。

守備:待ち構える守備とサイドでの優位性

世界的に見ても優秀なSBを抱えるレアルに対して、ドルトムントの攻撃陣は火力不足。

そして、カウンター要員ではなくSBを助けるためにかなり低い位置で守備するようになったWG。

サイドで素晴らしい守備を披露するレアルSBとWGによって、サイド攻撃をも防がれたドルトムントは完全に機能不全になりましたね。

以上のように、ドルトムントの攻撃を防いだことで試合の主導権を握り始めたレアル。

そんなレアルは勝利を確実にするために、攻撃面でも巧みな修正を披露。

それでは見ていきましょう。

攻撃:右サイドから作り上げる安定したポゼッション

攻撃:右サイドから作り上げる安定したポゼッション
Screenshot

前半、レアルの攻撃を大いに苦しめていたドルトムントのインサイドハーフの動き。

FW-MF間のスペースも、DFラインも潰されたレアルは、安定したポゼッションを作り上げることができてませんでした。

そんな中で、レアルはポゼッションの安定を図るために、肝となっているインサイドハーフを混乱させにかかります。

攻撃:右サイドから作り上げる安定したポゼッション

バルベルデを右SBの位置に移動させ、インサイドハーフ付近で数的優位を形成し、脅威となっていたプレスを無効化しました。

前に出れば背後を使われ、後方に残ればボール奪取できないといった状況に陥るドルトムントのインサイドハーフ。

もともと左サイドに人数を割いていたドルトムントは、レアルによる右サイドからの攻略に苦戦し始めます。

攻撃:右サイドから作り上げる安定したポゼッション

なので、右サイドに人数を割き出すドルトムント。それを待っていたかのように左サイドや中央を使い出すレアル。

肝となっていたインサイドハーフが機能しなくなったドルトムントは混乱し始めましたね。

ポゼッションの安定→クロースを中心とした組み立ての活性化→脅威の攻撃陣が躍動する。

前半とは真逆で、マークする対象とボールの奪い所を見失ったドルトムントはレアルの攻撃に翻弄される結果に。

ポゼッションが改善したレアルは主導権を握り続け、結果的にカウンターも活性化し始めます。

1点目の起点となったCKもカウンターからの流れで生まれたもの。

前半のドルトムントのように、後半は「攻撃をしながら守備をする」を体現していたレアルが圧倒しました。

後半全体:90分間をフルで活用できるか?

後半全体:90分間をフルで活用できるか?
https://www.flashscore.co.jp/match/hMwfbhsh/#/match-summary/match-statistics/0 

前半とは真逆の内容となった後半。

レアルがドルトムントを支配した理由は、やはり「90分間を活用できる能力」です。

素晴らしい準備、そして質の高い実行だったドルトムント。

たぶんですが、ドルトムントとしては前半をリードで折り返したかったはず。

レアルの修正力が高いのはわかっていたはずですし、勝ち筋としては修正される前にリードしておくことしかない。

しかし、残念ながらシュートを決め切ることができずにレアルに質の高い修正を許してしまった。

もともと選手の質がそこまで高くはないドルトムントは、レアルのような修正力は発揮できない。

だからこそ、後半45分間は終始レアルペースで試合が進んでしまった。

個の力が不足しているため90分間をフル活用できなかったドルトムントが負けたのは必然だったでしょう。

がんばらないネコ
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点を入れなきゃ負ける

最後に:2023ー24CLの感想

CLの王が史上最多15度目の欧州王者に輝き、幕を閉じた今季のCL。

昨季王者のマンチェスターシティがベスト8で敗退。

まったく優勝候補でなかったドルトムントが決勝進出。

予想外の結果が多いCLだった印象ですね。

最後に、今季のCLについて感想を述べて終えようと思えます。

感想①:タレント力では差を生みにくくなってる

まず思ったのは、「タレント力では差を生みにくくなってる」です。

今季決勝まで勝ち上がってきたドルトムント。

昨季決勝まで勝ち上がってきたインテル。

どちらも前評判は高くなかった2チームであり、他のビッグクラブと比べるとタレント力が見劣りする。

しかし、規律という面で突出したチームであり、抜群のチーム力を誇る両チーム。

このような傾向は前回ワールドカップでのモロッコやクロアチアの戦いぶりにも現れています。

もちろんタレント力が一番大事なのはいうまでもありませんが、よりチーム力が必要になってきている印象ですね。

感想②:カップ戦は試合の流れが大事

2つ目に思ったのは、「カップ戦は試合の流れが大事」です。

個人的には、リーグ戦は安定感、カップ戦は流れを掴む力が必要だと思ってます。

リーグ戦では平均勝率の高さが必須であり、90分間しっかり主導権を握れるチームが優勝するイメージですね。

一方でカップ戦では主導権というのはそこまで重要でなく、代わりに試合の流れを掴めるかが重要です。

今回の試合はまさしくそれを表していた1戦。

主導権を握っていたはずのドルトムントはゴールを決めきれず、嫌な流れで後半を迎える。

そんな流れを察知し、試合を優位に進め出すレアルが立て続けに得点を決めて勝利。

試合の流れを掴む得点を決めること。これこそレアルが優勝した一番の要因でしょうね。

感想③:CLの王は止められない

最後に「CLの王は止められない」です。

世界1のメンタリティ、そして凄まじいタレント力を持つ近年のレアルマドリード。

自由を尊重するプレースタイルが故にチーム力に課題が生まれやすいですが、噛み合えば抜群の強さを誇る。

今季のレアルは間違いなくチーム力で成功しており、以前書いた記事でもシティと並ぶCL優勝候補と書きました。

予想通り決勝まで勝ち進み、決勝でも素晴らしい修正から勝利をもぎ取りましたね。

チーム力をも手に入れたレアルを相手にするのは至難の業。

現状レアルほどCLをうまく戦えるチームはいません。今後数年もCLの王はレアルマドリードでしょうね。

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選手の獲得がうまいチーム

まとめ:【CL決勝2024】90分をフル活用できるCLの王”レアルマドリード”

今回は、CL決勝レアルマドリード対ドルトムントを分析、解説しました。

最後に、決勝戦を振り返りましょう。

レアルマドリード対ドルトムント
・前半:作戦がほぼ完璧に機能したドルトムント
・後半:抜群の修正で勝利を掴んだレアルマドリード

やはりCLの王は強い!!

ただ、ドルトムントも称賛されるべき戦いぶりを見せてくれましたね。

今年も白熱した戦いで私を含めサッカーファンを大いに盛り上がらせてくれたチャンピオンズリーグに感謝です。

来シーズンは新フォーマットになるので、その点も含めて楽しみにしておきましょう!!

今回の記事で何かご意見等ございましたら、気軽にコメントしてください。

また、今季のレアル・マドリードについて書いた記事もありますので、優勝の要因が気になる方はぜひご覧ください。

・レアルマドリードの現状

最後までお読みいただきありがとうございました。

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