どうも、がんばらないネコです。Twitterで活動しているサッカー分析ブロガーです。
バルセロナ対バイエルンの分析記事書きました🧐
— がんばらないネコ@サッカー分析屋 (@Ganbaranai_Neko) September 17, 2022
・前半バルセロナが好調だった理由💪
・後半バイエルンが復調した理由👍
を分析→解説しています😁簡単な試合統括なら2分で読めますよ😆興味がある方はぜひご覧ください👍
マジでこの試合は勝ちたかったな〜😂https://t.co/gridaJOA7E
W杯カタール大会について、「本当におもしろい大会だったな〜。」「VARの運用はどうだったの?」などいろんな感想を持っていると思います。
今回の記事では、カタール大会についての感想をただただ書いていきます。
この記事は次のような人にオススメです!
- 日本や強豪はどういう感じだった?
- 次回大会までの課題は?
- 大会運営について
悲願のメッシのW杯制覇で幕を閉じた今大会。いまだに余韻に浸っている方も多いかと思います。
今回の記事は日本や強豪の戦いぶり、次回大会までにやるべきこと、サッカー界の変化を詳しく解説していきます。
今回の記事で読めば、「各国代表の状態と問題」や「サッカー界の大きな変化」などを知れますよ!
サッカーが好きな方や興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
それでは、どうぞ。
日本の戦いぶりと今後について
前評判は決して高くなかった中での躍進に、日本中が熱狂しましたね。
ただ、目標に掲げていたベスト8には届かず。最終的には悔しい結果になってしまったのは確か。
我らが日本の戦いを振り返って、次回W杯に向けての課題を考えていきましょう。
日本の戦いぶり:弱者の戦法ができた
一番の素晴らしかった点は、4年間で各選手の守備力が飛躍的に上がり、強豪の攻撃に耐えうる守備力を手に入れたこと。
これまでの日本代表の一番の問題は、本当に守備ができないことだった(メディアは攻撃ばかりに注目していたが)。
監督というよりも、各選手の基本的な守備力が足りないことが原因だったことは言うまでもない。
ただ今大会は、スタメンに名を連ねるメンバー全員がヨーロッパでプレーし、多数が所属クラブでスタメンとして定着。
前線、中盤、後方のどのラインにおいても、十分な守備力を持っている選手たちが初めて揃ったと思う。
なので、日本の守備力が高くなったのは必然といえるし、日本史上初めて「弱者の戦法」を演じれるチームになった。
以下の記事ではドイツ戦勝利の要因を解説しているが、素晴らしい選手たちが揃ったことが要因の1つだったことは言うまでもない。
今回のW杯で、「日本は引いて守れるチームであること」と証明できたことは、今後にとって大きな収穫といえる。
しかし、弱者の戦法ができた一方で、レベルが似たような相手もしくは自分たちより弱い相手との戦い方には問題があった。
GS2戦目コスタリカとベスト16のクロアチアとの戦いは、弱者の戦法ではなく、主導権を握っての戦いになった。
そんな中で、主導権を握りながらもうまくチャンスを作れず、特にコスタリカ戦では近年稀に見るひどい試合を演じたといえる。
もちろん日本はまだベスト8を狙うギリギリ中堅といえるチームなので、何でもこなせる強豪とは違う。
しかし、もっと明確な攻撃パターンを持ったほうがいいし、落ち着いてプレーするべきだと思う。
コスタリカ戦では、どういう攻撃をしたいのかがまったくわからなかった(控え組の出来が最悪だったけどね)。
クロアチア戦では、前半はよかったものの、時間が経つにつれてチームがバラバラになっていた印象。
今の日本には突破力があるWGもいるし、ボール奪取に優れた中盤もいる。だから、もっとシンプルな攻撃をしてもよかったはず。
キレイな崩しにこだわり過ぎず、強引にサイドから崩したり、トランジションからのカウンターを磨くべきだと思った。
日本はまだ、グラルディオラが率いたバルセロナの幻影を追いかけているのかな?
以上のように、弱者の戦法を手に入れた一方で、ボールを持てる相手には苦戦するというのが、今大会の日本でしたね。
次のW杯に向けて:一定レベル以上のFWが出てくるか?
組み立て〜ゴールまでのプレーすべてにしっかり絡めるFWがやっぱりいない。
浅野選手も前田選手もゴールを決めたとはいえ、試合を通じて十分な動きをしていたとはいえない。
また、コスタリカ戦で先発した上田選手は正直ひどい出来だった。前半のみで交代させられたのは理解できる。
やはり、頼れるFWに恵まれない状況がいまだに続いていると思えた。
エムバペみたいな決定力があるFWはあまり望まなくいいと思う(育成はしてほしいけど)。
決定力があるFWなんてものは、ほとんどの国で出てきてないし、スペインやドイツでさえ悩み種になっている。
そんな高望みはしないが、他のプレーはある程度できるようになってほしい。
DFを引きつけてスペースを作る動き。
中盤の組み立てを助ける動き。
サイドに流れて起点になる動き。
裏に抜ける動き。
エリア内でマークを外す動き。
上記のように、今のFWには様々なプレーを求められるが、ほとんどのプレーを一定レベルでできるようになってほしい。
チームプレーがもっとできるFWが出てくるだけで、日本代表の攻撃は非常に活性化されるはず。
FWに求められるプレーを満遍なくできる選手が生まれることが、次のW杯までの課題だといえる。
ぜひ頼れるFWが出てきてほしい。
アルゼンチンの戦いぶりと今後について
歴代最高の決勝を制して、36年ぶり、あのマラドーナ以来のW杯を手に入れた。
初戦でサウジアラビアに負けるという悲劇はあったが、メキシコ戦後半から復活。
決勝まで見事な戦いぶりを見せて、悲願の優勝を成し遂げた。
アルゼンチンの戦いはどうだったのか?
次回W杯に向けての課題は何だろうか?
アルゼンチンの戦いぶり:チームとして機能した
どれだけ偉大な選手がいても、サッカーはチームとして機能するかにかかっているのは常識。
2大会連続でGS敗退したドイツ。
モロッコに大苦戦してベスト16で敗退したスペイン。
非常に優れた前線を抱えながらもベスト8で敗退したイングランド。
今大会、アルゼンチンよりタレントが多くいたチームは数チームあった。
しかし、勝利はチームでもぎ取るものであって、タレントがいるだけでできることではない。
これまでのアルゼンチンは、sまさにそういった「タレントがいるだけのチーム」だった。
前線に素晴らしい選手たちがいたにも関わらず、それを支える中盤や後方の選手に恵まれず、チームとして機能していなかった。
しかし、今大会のアルゼンチンはチームとして素晴らしいプレーができていたと思う。
メッシ抜きでも組み立てができる。
メッシ抜きでもサイド攻撃ができる。
メッシ抜きでもカウンターができる。
また、メッシの守備免除をしっかりカバーできる各選手の走力と要所を締める能力。
攻守両面において、メッシを1メンバーとして組み込んだチームとなっていた。
メッシ頼み→メッシを活かすチームになったアルゼンチンの優勝は必然といえるでしょうね。
以下の記事では、アルゼンチン優勝の要因を解説していますので、ぜひお読みください。
次のW杯に向けて:新たなる武器を作れるか?
次のW杯でメッシは39歳。たぶん出ないだろうし、もし出てもスタメンではないはず。
メッシは攻撃のすべてをハイレベルに司る選手。
ゴールもできる。アシストもできる。ドリブルもできる。チャンスメイクもできる。
中央だろうとサイドだろうと関係ない。ポゼッションでもカウンターでも関係ない。
どんな状況でも最高の解決策を見出せる数十年の一度の逸材。
そんな選手がいなくなれば、攻撃面で大幅な修正を求められるのは必然。
メッシに続く偉大な選手は出てこない分、チームとして何ができるかをより問われることになる。
アルバレスやラウタロなど、FWに関しては優秀な選手が揃っているからそこまで問題ない。
一方で、組み立てを担う中盤の選手は不足しているといえる。
今回活躍したデパウルやエンツオなどの中盤の選手は、組み立てにまで大きな影響を及ぼせるメッシがいてこそ活躍する。
次回のW杯では、クロアチア代表のモドリッチやドイツ代表のギュンドアンのような司令塔が不可欠だと思う。
「メッシ抜きでも優れた攻撃ができるのか?」という問いに、次の4年間で答えを出せるかが唯一の課題ですね。
フランスの戦いぶりと今後について
あと一歩のところで優勝を逃したが、フランスらしい戦いで2大会連続で決勝に進んだ。
ベンゼマやカンテ、ポグバといった主力を欠きながらも決勝にたどり着いたのは、すごいと言わざるおえない。
サッカー大国の1つとして、しっかり実力を示せたチームだった。
では、フランスの戦いぶりと今後の課題を見ていきましょう。
フランスの戦いぶり:脅威の粘りと決定力
フランスの強さは、どれだけ攻められても点を奪われない脅威的な粘りと、劣勢でも点を取る脅威的な決定力。
まずモロッコ戦以外のすべての試合で失点しており、無失点だったモロッコ戦でも数多くの決定機を作られた。
しかし、必ず1失点で抑える粘り強さがあり、勝ち越しもしくは逆転で勝てる状況を維持していたのはさすがだった。
そして、粘り強い守備で舞台を整えて、凄まじい決定力で勝利をもぎ取る姿は鬼に見えた。
特にエムバペの決定力は異常。8ゴールで得点王を獲得した若き天才はすべてのチームにとって悪夢だったと思う。
アルゼンチンと同様、優勝に値する強さを見せていたが、決勝戦ではやや不甲斐ない戦いぶりを見せてしまった。
前半のみで2失点し、攻撃でも何もできずシュート0本。まったくフランスらしさを出せずアルゼンチンに飲まれていた。
驚異的な粘りでPK戦に持っていったが万事休す。スタジアム全体を味方につけたアルゼンチンに勝利を持っていかれた。
トルシエ元日本代表監督がNumberでのインタビューで言っていたが、勝利していたが故に修正しなかった問題が最後の最後に露呈した。
エムバペの守備サボりによる中盤の負担過多(特に左サイド)。
グリーズマンの負担過多(DFラインへのプレス〜エリア内の守備まで担当)。
試合中必ず犯す軽率な守備(決勝でPKを与えたデンベレの守備など)。
最後の最後にチームバランスが崩壊してしまったのが、今大会唯一の後悔といえる。
次のW杯に向けて:チームとして結束し続けられるか?
素晴らしい選手が揃っているフランスだが、チームとして結束できるかが最大の課題だと思う。
2010年W杯、フランスは監督と選手が対立し、空中分解の末グループステージ敗退。エコノミークラスで帰国させられた。
これはフランス特有のエゴの強さが原因らしい。
フランスは世界的にも自己主張が強い国らしく、強烈なリーダーがいなければ、グループとして成り立たないらしい。
例えば1998年W杯を制した時、フランス代表の中心にはジダン、現フランス代表監督のデジャンがいた。
彼らの素晴らしいリーダーシップのもと、決勝戦ではブラジル相手に3−0の完勝。フランスに初の栄誉をもたらした。
今のフランスにも素晴らしい選手がたくさんいる。
個性の強い選手たちをまとめ上げる選手が4年後も存在するだろうか?
ブラジルの戦いぶりと今後について
今大会の優勝候補筆頭だったが、結果としてはベスト8で敗退。
主力が欠けることなく出場し、何も問題がないかと思われたが、残念な結果に終わった。
何が足りなかったのか?
次回W杯までに何をするべきか?
ブラジルの戦いぶり:最後の1歩が足りない
まず今大会の優勝候補筆頭であり、いまだに世界最強と言えるチームだと思う。
どのポジションを見ても超優秀な選手が揃っており、チームとしてのプレーも非常に優れていた。
FW陣の個人技と連携の質は、どんなチームにとっても非常に脅威になるものだった。
また、CBコンビのパフォーマンスは、今大会ダントツで優れていたといえる。
まさに優勝候補筆頭といえるパフォーマンスを発揮していた。
しかし、クロアチア戦での失点シーンのみ、ミスを連発してしまったのが、唯一の痛い出来事だった。
延長後半残り4分の状況で1−0。もはや攻める必要もなく、しっかり守り切ればいい場面。
そんな中で前線が過度に攻めに転じて、チーム全体が間延びしてしまう。
トランジション時の反応が遅れ、中盤〜後方の選手は対応ミス。結果としてサイドを崩されゴール前に攻め込まれる。
そして、最後の最後にゴールをねじ込まれて、PK戦で無念の敗北。
明らかにチーム力は今大会一番だったし、クロアチア戦でのパフォーマンスも悪くなかった。
しかし、サッカーは時として残酷な結果をもたらす。
89分良くても、残りの1分良くなければ勝利を逃すのがサッカー。
チームの力量がそのまま結果に表れないサッカーというスポーツを一番証明していたチームでしたね。
次のW杯に向けて:守備力を維持できるか?
ブラジルの強さの秘訣は、なんといっても脅威的な守備力。
前線の選手たちは、決して守備をしっかりする選手たちではない。
しかし、中盤と後方の選手たちの身体能力、予測力、奪取力、判断力により、シュートすら打たせない驚異的な守備を展開。
そして、そんな守備力を支えていたのが、マルキーニョスとシウバのCBコンビと、ボランチのカゼミーロ。
移籍で選手を獲得できるクラブチームでもなかなか揃わないくらいの超高性能の3人。
今のブラジルは、この3人が支えているといっても過言ではない。
今大会の堅守を支えたCBとボランチの代わりが生まれるかが、次回のW杯まで大きな課題。
ミリトンという若くて素晴らしいCBはいるが、マルキーニョスやシウバレベルになれるかは不明。
またもう1人のCB候補とボランチ候補はいまだに出てきていないと思われる。
もちろんフォーメーションや戦術を大幅に変えて、チームバランスを取ることも可能。
ただ、そうなると前線の選手はしっかり守備をしなければならなくなるが、果たして守備をしてくれるだろうか?
守備をするようになった前線の選手たちは、今の攻撃力を維持できるか?
今の攻撃力を維持しながら次回のW杯を目指すのであれば、超優秀なCBとボランチが生まれることが不可欠。
選手が変わっても現在の守備力を維持できれば、次回のW杯も優勝候補筆頭といえるでしょう。
イングランドの戦いぶりと今後について
サウスゲート監督のもと、現代サッカーらしいサッカーを展開するようになったイングランド。
前線に素晴らしい選手を揃え、高いポテンシャルを秘めていたチームだった。
しかし、結果的にはベスト8で敗退。もっとできそうな感じもしたが、納得のいく結果ともいえる。
問題は何だったのか?
次回のW杯は優勝を狙えるか?
イングランドの戦いぶり:不十分な質のプレースタイル
ポゼッション重視の戦い方をしていたが、メンツが十分揃っているとは思わなかった。
前線の選手たちは素晴らしい。FWのケインは世界トップのFW。WG陣は今大会1の実力。
また若きスターであるベリンガムの活躍は今大会の中でもかなり目を見張るものだった。
ただ、ポゼッション重視のサッカーを行う上で必要な選手は、巧みに相手を動かす司令塔となれる選手。
ポゼッション重視の潮流を作ったバルセロナにいたシャビ。
現在のマンチェスターシティの心臓であるギュンドアン。
長らくレアルマドリードの栄光の中心であるモドリッチ。
ポゼッション時に優れた攻撃を展開できるチームには、必ず優れた司令塔が存在する。
しかし、今大会のイングランドには司令塔と呼べる選手はいなかった。
司令塔不在によって組み立てに問題を抱え、大会を通じて試合をうまく支配できていなかった印象。
GSでのアメリカ戦ではまったく組み立てができず、ほとんどチャンスを作れずに引き分け。
フランスとのベスト8では、組み立てを阻害されて前半45分間を無駄にしてしまった。
もちろんイングランドにはトランジションという武器もあったし、それによって数多くのチャンスを作っていた。
ただ、もしカウンター重視のチームにする場合、足りなくなるのはCBとボランチの守備力。
フランス戦2失点目のような点の奪われ方をしている間は、引いて守れるチームになれるとは思えない。
どのプレースタイルにしても、大きく質が足りないポジションが存在するのが今のイングランドといえる。
次のW杯に向けて:司令塔 or 守備職人が生まれるか?
ポゼッションなら司令塔、カウンターなら守備職人が生まれると、かなり優勝に近づくと思う。
アルゼンチンについて述べているときにいったが、チームとしてしっかり機能するかが優勝を左右する。
どういうプレースタイルにおいても、求められる役割に応じて各ポジションに一定レベル以上の質が必要。
前線に若くて素晴らしい選手が揃っているからこそ、中盤もしくは後方で素晴らしい選手が出てくるのを待ちたい。
どんな選手が生まれるかによって、プレースタイルを決めていけばいい。
グアルディオラがシティの監督になって以降、明らかにプレミアリーグ全体の戦術レベルは上がっている。
そういう環境にいれば、おのずと素晴らしい選手たちが生まれるはず。
優秀な選手が生まれる環境があるので、4年間の中で良質なプレースタイルを構築していってほしい。
スペインの戦いぶりと今後について
優勝候補として臨んだ大会だったが、攻守において脆さを見せた。
2008年EURO以降ポゼッションスタイルを貫いてきたが、今大会でも結果を残せず。
近年のスペイン代表の問題は?
4年後は期待できる?
スペインの戦いぶり:スタイルに固執しすぎ
ここ数年のサッカー界を見ていると、うまくパスを回すことだけで勝利を掴めるものではないと証明されている。
これは、レアルマドリード監督アンチェロッティも述べている。
ノー。“ティキ=タカ”は死んだわけではない。ボールに触れることは、フットボールにおいて重要なことだ。しかし、試合に勝つためにはほかのこともしなくてはいけない。パス回しだけでは試合には勝てないし、速攻やほかのことも混ぜ合わせる必要がある。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4070d7a548e7968041e734a91205181826dfc81c スポーツナビ 12/30(金) 7:20配信
今回決勝に上がったアルゼンチンもフランスも柔軟なチーム。
近年CLを優勝したレアルマドリードやリバプール、バイエルンミュンヘンも柔軟なチーム。
もちろんどのチームもそれぞれ得意なプレーがあるが、それ以外のプレーができないわけではない。
一方で今回のスペイン代表、というかこれまでのスペイン代表はポゼッションのみに力を入れすぎだと思う。
カウンター、トランジション、個人での突破など、勝利を近づくための他の要素にも目を向けるべきだった。
日本戦やモロッコ戦での姿は、まったく優勝候補らしくない期待感のないものだった。
ライン間でボールを受けさせなければ攻撃力が一切なくなるスペイン代表は、正直ドイツより守りやすい相手。
決定力があるFWもいない。
サイドを突破できる選手もいない。
うまく裏に抜ける選手もいない。
カウンターもほとんどしてこない。
セットプレーも怖くない。
ライン間の守備を集中してやっておけば問題ないチームになってしまった。
他の選択肢を持たなすぎたことで勝利を逃し、ベスト16敗退という不甲斐ない結果に終わったといえる。
次のW杯に向けて:柔軟にプレーできるか?
まずポゼッション、ポジショナルプレーという土台を崩す必要はまったくない。
テクニックのある小柄な選手が多い中で、単純なフィジカル勝負の場面を減らすことはやはり必要。
ポジショナルプレーで陣形を整え続け、フィジカル強者相手にも効果的にボールを奪える環境を作り上げるべき。
攻撃面においても、個人の才能を活かせる状況をより作り出せるポジショナルプレーは今後も活かした方がいい。
しかし、エリア内で勝負できるFWや突破力のあるWG、カウンターなどの他の要素でも勝負できるチームになるのは不可欠。
目指すべき姿としては、やはりグアルディオラ率いるマンチェスターシティ。
これまで優秀なWGを獲得し、サイドから単独で突破できる力を作ってきた。
そして何といっても、今シーズンは怪物FWハーランドを獲得した。
今のスペイン代表を形作った1人ともいえるグアルディオラが、優秀なWGとストライカーを獲得している。
また、戦術的にもトランジションを第2の武器として鍛え上げ、欧州屈指のカウンターができるチームにもなっている。
やはり柔軟なチームになるための努力を惜しんではいけないのが、現在のサッカーだと思う。
どんな相手ともやり合えるチームが優勝するのがW杯。だからこそ、完璧でなくとも他の武器を身につけたい。
ドイツの戦いぶりと今後について
私が今大会優勝候補に挙げた中で、一番不甲斐ない戦いをしたのがドイツ代表。
素晴らしい選手を抱えながらも、チームとしてはまったく不十分な出来だった。
2大会連続でグループステージ敗退となったことは、これまで素晴らしい功績を築いてきたドイツ代表にとっては最悪。
今後どうしていけばいいのだろうか?
ドイツの戦いぶり:ゴール前での対応が終わってる
全然ゴールを奪えない。簡単にゴールを許す。今大会はこの2つに尽きる。
日本戦でも、スペイン戦でも、コスタリカ戦でも、数多くのチャンスを作りながらもほとんど点を取れない。
決定力不足は今に始まったことではないが、ここまでヒドイとは思わなかった。
そして、最も最悪な点だったのは、嫌なタイミングで必ず失点していたこと。
日本戦での2失点。コスタリカ戦での2失点。
どちらも決定力不足の中でもぎ取った1得点を帳消しにしてしまうタイミングでの逆転だった。
こういう失点の仕方が、決勝に上がったアルゼンチンとフランスとの決定的な差。
両チームとも攻め込まれる場面は多々あったが、嫌な流れになるであろうタイミングで失点をすることはなかった。
ポゼッションスタイルを身につけたが故に、ゴール前でしっかり対応できる能力を失ってしまったかもしれない。
W杯を制した2014年には、CBはフンメルスとボアテング、そしてSBにはラームという守備の名手たちが揃っていた。
その時すでにポゼッションスタイルを確立していたドイツだったが、DFラインはやはり強固だったといえる。
2014年以降もポゼッションスタイルを続けてきたわけだが、明らかにDFラインが脆弱になっていっていた。
今大会で十分な働きをしたのはCBリュディガーだけ。そのほかは平均以下の出来だった。
DFラインに多様な攻撃タスクを与えるのはいいが、「ゴールを守る」という基本を忘れてしまったのかもしれない。
中盤がかなり優れていただけに、少なくともベスト8には行きたかった大会だった。
次のW杯に向けて:優れたFWとDFが出てくるか?
先ほども言ったとおり、優れたFWとDFが出てくるかが大きな課題。
FWに関しては、今大会インパクトを残したフュルクルクがいるが、次回大会には33歳になっている。
もちろん33歳でもバリバリな選手もいるが、もう少し若い選手の方が決勝までより良いコンディションで戦えるはず。
決定力があるFWが中々出てこないのはサッカー界のあるあるだが、偉大な歴史があるドイツ代表なら出てきやすいはず。
まずは優れたFWが出てくることを祈りたい。
ただ、万が一4年後までにFWが出てこなくても、簡単に失点する問題を解決すれば勝ち上がれるチームになるはず。
DFラインさえ揃えば、ベスト8までスッといけるチームになれるはず。
今大会で食らったどの失点も、DFラインの不甲斐ない対応が原因だったし、DF陣の能力が少し上がれば防げるものだった。
相手が素晴らしい攻撃を仕掛けたわけではない。
完全にDFラインの甘すぎる対応が問題だった。
そして、忘れてはいけないのは、ドイツ代表は全試合で得点を奪っているという事実。
どの試合でも得点を奪っているのだから、無失点で終えていれば勝ってたはず。
そう考えれば、いくら決定力不足でも、グループステージは突破できたはず。
強固な守備さえ築けば、次回のW杯での復活を見事に果たせるチームだと思う。
ぜひ復活してほしい。
2022年W杯カタール大会で思ったこと
歴代最高と呼べるほどの壮絶で壮大な決勝戦によって幕を閉じた2022年W杯カタール大会。
これまでのW杯とはひと味違うことがたくさん起こった大会だったと思う。
最後は、そんなカタール大会で思ったことを書いていきたい。
今回書いていくのは、以下の6つ。
- 12月開催について
- ジャイアントキリング
- 今後のサッカー界の行方
- PKについて
- アディショナルタイムの運用
- VARの運用
1つずつ見ていきましょう。
12月開催は悪くないが・・・
12月開催は、各選手のコンディションが良いように見えた一方で、大会前に怪我人が多かったのは気になった。
大会前から各クラブチームの監督から苦言を呈されていたが、大会前に試合が多すぎる。
各国リーグ戦は序盤なのでどうにかなるが、CLやELではある程度本気で戦う必要がある。
そのためCLやELに出場するクラブは、シーズン開始早々からかなりフィジカルを消耗したはず。
そして、こういったクラブにいる選手たちは、基本的にW杯に出場する国のスタメンクラス。
各国代表監督にとっても、疲労や怪我といったコンディションに関する不安が大きかったはず。
案の定、主力級の選手を怪我で欠くチームが出てきた。特に優勝候補フランスは攻守両面で中心選手が欠場。
なので、大会前のヨーロッパ各クラブの過密日程はどうにかしたほうがいい。クラブ側と代表側の両方にとってデメリットが大きい。
また、W杯が終わってすぐに各国リーグ戦は再開している。始まる前にも過密日程で、終わった後も過密日程。
通常は8月中旬〜5月末まであるシーズン。つまり2ヶ月ほど休息期間がある(準備期間があるけどね)。
この2ヶ月間をもっと柔軟に使いこなせないのかな?
シーズン開始時期を少し早めること。
シーズン終了時期を少し遅くすること。
シーズン序盤から中3日程度で試合するというハラスメント級のスケジュールをやめる方法を模索しないといけない。
これでは本当に選手が壊れてしまう。
12月開催にはやや賛成だが、前後のスケジュールをもっと余裕があるものにすることは不可欠だと思う。
ジャイアントキリングが起きやすくなった原因
今大会を象徴するのは、強豪が軒並み中堅や下位チームに負けたこと。
アルゼンチンを破ったサウジアラビア。
スペインとドイツを破った日本。
ブラジルを破ったクロアチア。
スペイン、ベルギー、ポルトガルを破ったモロッコ。
毎大会ジャイアントキリングは起こるものだが、今大会は段違いに多かったと思う。
では、なぜこんなにも多くなったのか?
大きな原因は、サッカー界全体が強固な守備組織を構築できるようになったことだと思う。
今シーズン、ある会見でレアルマドリードのアンチェロッティ監督がこんなことをいっていた。
ほとんどのチームの守備面がしっかり組織化され、ゴールを奪うのは難しくなっている。なので、どの試合もより互角になってきている。
これはクラブレベルでのコメントだが、そういったクラブでプレーする選手が軒並み出場するW杯にも大きな影響を及ぼしたはず。
2008年から始まったバルセロナの栄光によって、明らかに守備組織が強固になっていったヨーロッパの各クラブ。
中堅チームや下位チームでも、高いインテンシティと洗練された守備戦術によって強豪を苦しめることが多くなった。
今回準決勝に勝ち上がったクロアチアとモロッコは、まさにそういったチーム。
モドリッチやハキミといったタレントはいたが、チーム全体としては強豪と比べものにならない。
しかし、高いインテンシティと洗練された守備戦術によって強豪と渡り合えるチームになり、準決勝に駒を進めた。
アンチェロッティがいうように、どのチームも強固な守備を築けるようになったことが、ジャイアントキリング大量発生の原因だと思う。
その一方で、決勝に上がったのがアルゼンチンとフランスというのも興味深いこと。
なぜなら、アルゼンチンにはメッシ、フランスにはエムバペ、つまりどんな守備をも超える存在がいたからだ。
サッカーでは、どんなに強固な守備組織を作っても、「圧倒的な個」の前に屈することがよくある。
今大会においても、やはり優勝を勝ち取るのは「圧倒的な個がいるチーム」なのだと証明されたといえる。
強豪たちが、より個人技の強化を図り、より個人技に賭けることが必要になってきそうな予感がした。
ゴール前でのプレーの質がより重要に
先ほどの話の続きで、今後のサッカー界は「ゴール前で大きな仕事ができる人材」がより重要になってきそうな気がする。
当たり前の話だが、サッカーは相手よりも1点多くとったチームが勝つスポーツ。
言い換えれば、「ゴールを奪う」と「ゴールを守る」という仕事が一番重要なスポーツ。
だが、グアルディオラがバルセロナの栄光を作ってから、どんなメディアも戦術面の話ばかりするようになった。
日本でも「〜したほうがよかった。」や「〜選手を投入するべきだった」とよく騒がれている。
もちろん戦術は非常に重要だし、どのチームもより効果的で洗練された戦術を追求すべきだと思う。
しかし、忘れてはならないのは、どんな戦術も「ゴールを奪うこと」と「ゴールを守ること」を保証するものではないということ。
戦術は、得点の確率を上げたり、無失点の確率を上げたりするものだが、100%保証するものではない。
最終的にゴールを奪ったり守ったりするのは、選手の能力次第だということを忘れているように思える。
デンマーク戦でのエムバペの太ももで決めたゴールを思い出してほしい。
今回残念な結果に終わったブラジルやスペイン、ドイツ、イングランドなどの強豪に足りなかったのは、まさしくそういう部分。
もし「ゴールを奪う」と「ゴールを守る」選手が今後もいない場合、ジャイアントキリングされる可能性がもっと高くなるかも。
※日本も戦術ばかりじゃなくて、個の力にもっとフォーカスしてほしい。監督は魔法使いじゃない。
PKは運と技術の両方
そもそもサッカーは運と技術の両方から成り立っているから、PKも運と技術の両方が必要といえるはず。
サッカーは相手が自由に動くスポーツ。
キッカーはGKの飛ぶ方向を完全に予測できないし、GKもキッカーが蹴る方向を完全に予測できない。
そして、どんなに練習しても、蹴ったボールが思い通りの方向に飛んでいかないスポーツ。
左下の隅に蹴っても、より中央寄りにいったり、もしくはゴール外に飛んで行ったりする。
こういったサッカーの基本を知れば、PKにも運と技術の両方が必要だと理解できるはず。
そもそもPKがキッカーとGKの戦いである以上、シュートを止めるGK側にも技術がある。
もし100%シュートを決めれるようになる練習があるなら、GK側ができることは何もなくなるということになる。
こう言ったことを考慮すると、クロアチアに敗れた後に散々騒がれていた「PKは技術」という短絡的な言葉は完全に間違っているといえる。
「PKは運と技術」というのが正しい。
ただ、だからといって「何の練習も必要ない」ということではない。
どういったコースが決まりやすいのかを研究すること。
そういうコースに良いシュートを打つための練習。
上のような「技術の部分を向上させる行動」はしっかりとするべきだと思う。
しかし、効果的な練習方法がないのがネック。あれくらいプレッシャーがかかる状況を作るのは不可能。
親善試合で毎回PKをやるらしいが、本当に意味があるのだろうか?まあ、それくらいしかできることがないともいえるけど。
やはり一番いいのは、どんな大会でも優勝を狙っているビッグクラブで主力になること。
なぜなら、そういうクラブはPK戦に限らずとてつもないプレッシャーの中でプレーしているから。
PK戦における技術には、メンタルという要素も相当重要だと思う。
いかに堂々と蹴れるのか?空気に飲まれず臨めるか?
そういった鋼のメンタルは、日々強烈なプレッシャーの中でプレーすることでしか得られないと思う。
現状ビッグクラブでプレーするのは、アーセナルの冨安選手のみ。他の選手は中堅もしくは下位チーム。
やはり個の力に欠けているといわざる負えない(歴史が浅いので仕方がないけど)。
森保監督が言っていた通り、ビッグクラブでのプレーを目標にがんばってほしい。
ただ、PK戦のことばかり考えることはナンセンスだし、もっと優先される要素は他にある。
PK戦になる前に勝負を決めることができるようになるのが、どのチームにとっても優先事項であることは変わりない。
アディショナルタイムが長い
アディショナルタイムが長すぎる。厳密に測ってるらしいけど、選手はそこまで気にしないでしょ?
本田選手の「7分!?」が話題になったが、サッカーを長年見ている身からしても長すぎた印象。
試合に出ている選手も長すぎると感じたはず。
なぜなら、大抵2、3分、負傷者治療があっても5分程度のアディショナルタイムということに、どんな選手も慣れているはずだから。
再開したヨーロッパ各リーグでも、通常通りのアディショナルタイムで運用している。
どういった経緯で厳密に測るようになったかは知らないが、何らかのメリットがあったようには思えない。
もともとの運用で問題ないんじゃないと思う。
VARの運用
VARは、野球みたいなチャレンジ制にしたほうが、チームと審判にとって一番納得できるものになると思う。
今大会PKになったプレーが多かったが、毎回主審がVARを確認したわけではない。
主審がPKと判断→選手たちがVAR確認を要求する→主審はVARを見ようとせずそのままPKに。
機械を活用して判断するという趣旨だったはずなのに、ヒューマンエラーが存在する人間のみの判断になっていた。
こういった行動のせいで、誤審を減らす仕組みのVARだったにも関わらず、「誤審だろ」と結局騒がれる結果に。
両監督にVTRを見せながらもっと説明するべきではないか?
機械を活用して判断したと、もっとわかってもらえるように行動するべきではないか?
PKを取るか取らないかの基準は、どう頑張っても主観的になってしまう。
しかし、今回のようにしっかりと説明しないままPKを取るなら、結局これまでと同様に誤審騒ぎを引き起こし続けると思う。
誤審騒ぎを減らすためには、やはりVARはチャレンジ制にして、両チームが少しでも納得できる形を取るしかない。
PKを取った場合の両チームへの説明時間の確保。
PKを取らなかった場合の両チームからの判定要求。
判定要求後の主審の判定時間と両チームへの説明時間。
チャレンジ制を導入すれば、上のようなVARを使うタイミングと時間が課題になるが、誤審で騒がれるマシではないか?
これまでと違った試合の流れになると思うが、誤審でモヤモヤするよりもマシじゃないかと、個人的には思う。
まとめ
今回はW杯カタール大会の感想を書いていきました。
最後にカタール大会を振り返りましょう。
カタール大会の感想 ・ほとんどのチームが強固な守備を築いていた ・ゴール前でのプレーが大きな差を作っていた ・個の力がより重要視されるようになる
メッシ好きからすれば、本当に素晴らしい終わり方だった。
激闘という言葉にふさわしい決勝を制しての優勝は、メッシのキャリアにふさわしかったと思う。
大会全体を通じて、サッカー界全体の進化が感じられ、特に守備面での進化は目覚ましいものがある。
強豪もウダウダしてられないね。
これまでW杯カタール大会の試合について、いろんな分析記事を上げています。
・アルゼンチン対フランス
・ブラジル対クロアチア
・日本対ドイツ
素晴らしい大会が終わり、少し抜け殻状態です。
ただ、各国代表はすでに次回大会に向けてスタートを切っています。
これから4年後に向けて、各国代表の成長を見守っていきたい。
日本代表のベスト8進出を期待しましょう!!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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