どうも、がんばらないネコです。Twitterで活動しているサッカー分析ブロガーです。
今回はマンチェスターシティ対リバプールを分析し、リバプールが圧倒できた理由を見ていきましょう。
この記事は、以下の内容をお送りします。
この記事の内容はこちら!!
- リバプールの戦略
- シティの誤算と修正
- 試合感想
クロップ退任発表後初の伝統の1戦であり、最後になるかもしれないダービー。
今回の記事はリバプールの戦略、シティの誤算と修正、リバプールがうまくいった理由を詳しく解説していきます。
今回の記事で読めば、「リバプール圧倒の理由」や「シティが抱えた問題」などを知れますよ!
サッカーが好きな方や興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
それでは、どうぞ!
リバプール:ポゼッションとカウンタープレスの融合
毎シーズン、世界中のサッカーファンを楽しませていたペップとの対決もリーグ戦ではこれが最後。
そんな特別な試合で見事な戦いを見せたリバプール。
シティを圧倒した理由は、インテンシティという強みを発揮させるための用意周到な2つの戦略の融合でした。
それでは、1つずつ見ていきましょう。
まずはシティの守備を確認
まずはシティの守備を確認していきます。
シティはどんな相手にも同じスタイルを貫き、リバプール相手にも高い位置からプレスを敢行。
ハーランドだけでなはく、デ・ブライネやベルナルトもDFラインにプレッシャーを与え、ボールの出所をしっかり潰す。
印象的だったのは中盤の構成。リバプールのインテンシティを警戒し、4枚で中央を固めていました。
これに対して、リバプールはどのように対応したでしょうか?
ポゼッション:FW-MF間の支配と右サイドの優位性
試合開始0〜15分間は苦戦しましたが、さっそく修正してきたリバプール。
まずボールの出所を確保するために、マクアリスターやSBゴメスが遠藤を援護。
時にはDFラインまで下がって、シティのプレスを掻い潜っていましたね。
そして、ボールの展開先として右サイドを選択。WGエリオットとSBブラッドリーが互いにポジションチェンジ。
加えて、状況を見ながらマクアリスターも参加し、アルバレスやアケ、ベルナルトのマークを混乱させていました。
上の場面では、マクアリスターとブラッドリーが中央に移動して間受けを狙う。
それに対して、アルバレスやベルナルトが中央に絞って対応します。
このシティの対応をしっかり確認し、WGエリオットがサイドでボールを受けて前進完了。
以上のように、遠藤のサポートと右サイドでのポジションチェンジでシティのプレスを無力化していました。
ただ、シティのプレスは毎回抜けられるものではない。それに対してもしっかり対策を打っていたリバプール。
さっそく見ていきましょう。
カウンタープレス:空中戦優位と万全の準備
シティのプレスが成功し、ボールの展開先が見つからない場合、必ずと言っていいほどヌニェスにロングボールを蹴ってました。
これはひとえに、「ヌニェスの空中戦の強さがあれば、必ずボール保持 or こぼれ球を拾える」という計算が立ったからでしょう。
まずヌニェスが空中戦に勝った場合はそのまま展開→ダイレクトにゴールに向かうことができます。
これは当たり前です。
ただ、ヌニェスだって負けることはある。相手はシティのDFラインですし。
しかし、空中戦に負けても大丈夫。ヌニェスとの空中戦で正確なクリアはできないはず。必ずこぼれ球になる。
高身長かつ抜群のフィジカルを持つヌニェス相手に、空中戦で完全勝利、つまり正確なクリアをできるDFはいないでしょう。
この狙いは抜群に効き、試合を通してシティDFラインがロングボールに対して十分な対応をできた場面はほとんどなかった。
そして、このヌニェスの空中戦をより活性化させたのが、MF陣のトランジションへの準備。
ポゼッションが割とうまくいっていたリバプール相手に、シティの選手たちは高い位置まで引き出される場面が多かった。
そうなると、ヌニェスの空中戦→こぼれ球の争奪戦に優位に立てるのはリバプールになる。
想定済みだったと言わんばかりに、遠藤やマクアリスターがロングボールのタイミングで素早く前に移動し数的優位を形成。
この素早い準備により、中盤でのこぼれ球争奪戦はリバプールが圧勝し、強烈カウンターが何度も炸裂していましたね。
以上のように、優秀なポゼッションと最大の武器カウンタープレスを融合させたリバプールがシティを圧倒しました。
これだけポゼッションがうまくいくとは思っても見なかった
シティ:プレスに破壊されたサイド攻撃
ここまでリバプールの戦術を解説しましたが、この章ではマンチェスターシティの戦術と問題点を解説していきます。
ポゼッションとカウンタープレスの両方に苦しめられていたシティ。
もちろんリバプールは世界最強の一角であり、彼らの強さに苦しめられるのは当然ともいえる。
しかし、マンチェスターシティは自ら首を絞めていたと思う点もあります。
それでは、見ていきましょう。
リバプールの守備とシティの狙い
まずリバプールの守備を確認していきましょう。
リバプールもシティと同じく、どんな相手にもスタイルを貫き、今回も持ち前にプレスを敢行。
インサイドハーフが非常に高い位置を取り、ロドリやストーンズを中心にボールでの出所から潰す。
上の画像にあるように、インサイドハーフがWGと同じ高さまで上がってボールを奪いに行っていますね。
これに対して、シティはしっかり対策を準備してきました。
デ・ブライネとベルナルトがサイドよりのポジショニング。そして、ウォーカーとアケがサイドに開く。
これにより、リバプールのインサイドハーフやWGがマークを絞れない状況を作り出しました。
サイドを守ろうとすれば中央が空き、中央を守ろうとすればサイドが空く。
上のシーンでは、シティの狙い通りにデ・ブライネにボールが渡り、チャンスを作り出していますね。
以上のように、シティが用意した戦術は非常に理にかなったものでした。
では、そんな素晴らしい戦術を用意したシティがなぜ苦戦したのか?
リバプールの修正に対応できないシティ
序盤はシティの戦術に苦戦したリバプールでしたが、20分過ぎから守備を修正。
まずシティの展開を、CB→SB→WGという流れに誘導し、絶対に中央経由させないようにしていました。
言い換えれば、中央とサイドどっちつかずではなく、サイドに焦点を絞ったということですね。
WGに展開されたあとは、持ち前のハイインテンシティを活かした鬼プレスで襲い掛かり、ボール奪取。
このときのリバプールの選手たちのプレスはまさに鬼。シティの選手たちにほとんど自由を与えない完璧な仕事。
シティの選手もいろんな動きで突破を試みていましたが、リバプールのインテンシティを上回れず。
そして、このリバプールの修正をより活性化させたのが、シティWGのキープ力のレベルでした。
アルバレスとフォーデンはまだまだ若く、フィジカル的に十分ではありません。
この試合だけでなく他の試合でもフィジカルで潰される場面が多い(仕方ないですけど)。
今回もリバプールのプレスを前にミスを連発し、何度もボールロストしていました。
特にアルバレスはかなり精彩を欠き、時間が経つにつれてリバプールに狙われていた印象。
以上のように、WGの能力によってリバプールに力を与えてしまったシティでした。
順当な交代策と代償
上記のように苦戦していたシティはそのまま黙っていたわけではなく、しっかり修正してある程度立て直していました。
まずは交代策。アルバレス→ドク、デ・ブライネ→コバチッチ。
精彩を欠いていたアルバレスに変わって、サイドで違いを生み出せるドリブラーのドク。
リバプールのインテンシティに対抗できるフィジカルを持っているコバチッチ。
どちらもリバプールのインテンシティに対抗するための有効打だったと思います。
またポジションも修正。ベルナルトをWGに、フォーデンをインサイドハーフに移動。
時間的にさすがにインテンシティが落ちてくるので、フォーデンをインサイドハーフに移動。
そして、サイドでのキープ力を上げるためにベルナルトをWGにしました。
的確な交代策とポジション変更で、課題だったキープ力を解決したシティは、後半中盤からポゼッションが安定しましたね。
しかし、この修正で失ったものもあります。
それはチャンスメイク力です。
先日のマンチェスターダービーを見ても、アルバレスやデ・ブライネのチャンスメイク力はやはり強力。
一方でドクやコバチッチのチャンスメイク力は2人に比べると劣る。
ポゼッションの安定をもたらした修正でしたが、同時にチャンスメイク力を低下させ、結局リバプール優位はあまり変わらず。
シティとしては勝利したかったでしょうが、試合の流れを引き寄せるほどのプレーは生まれませんでしたね。
リバプール恐るべし。
シティがこれだけ苦戦したのも久しぶり、このメンツで
【試合感想】表裏一体の戦略を機能させられるか?
最後に、この試合を通じて思ったことを書いていきたいと思います。
毎シーズン楽しませてくれたシティ対リバプール。今回も見応え抜群の試合内容でした。
現代サッカーを象徴する2チームの対決はやはり素晴らしいですね。
今回の試合を通じて、いろんな思いを持ちましたが、3つに絞って書いていきます。
どんな守備にも弱点がある
戦術的に大幅に進化している現代サッカー界。
しかし、サッカーの本質は変わっておらず、今回の試合でも「どんな守備にも弱点がある」という本質を感じられました。
前からプレスに行けば後方が空く。
後方に構えれば間受けなどパスを通されやすい。
中央を閉めればサイドが、サイドを閉めれば中央が空く。
どんな守備をしようと必ず穴は存在し、その穴をどのように攻略するか、もしくは攻略させないかがすべての試合での課題です。
今回リバプールは「どんな守備にも弱点がある」を、ポゼッションとカウンタープレスで攻略。
一方のシティは、サイドで問題を抱え、「どんな守備にも弱点がある」を攻略できず。
「どんな守備でも弱点がある」を攻略したチームが優位に立つというのを再び証明した試合でしたね。
シティ:グリーリッシュがいればもっとできたか?
今回の試合では、サイドで問題を抱え劣勢に立たされたシティ。
個人的には、キープ力抜群の左WGグリーリッシュがいれば大きく試合展開も変わったかなと思いました。
サイドでボール保持できれば、中央もしくは逆サイドへの展開が安定し、プレスを抜けてチャンスを作れたはず。
WGをグリーリッシュとベルナルト、インサイドハーフをデ・ブライネとフォーデンにすれば、もっと安定できたかもしれません。
ただ、リバプールも怪我人が多発している中ですから、状況としてはイーブン、もしくはシティ優勢でないといけなかった試合。
そんな試合で劣勢、しかも後半は完全にリバプールに支配されていた状況を見ると今後が怖いですね。
一方で、そんな試合でも負けなかったことは昨シーズンから引き続き”強豪っぷり”を発揮してるともいえる。
本当に強いチームは負けそうな試合でも負けない。
勝者のメンタリティを持っていることを再び示せた試合でもありましたね。
リバプール:”4冠”を狙えるチーム状況
怪我人続出。サラーも先発起用できなかった今回の試合。
そんな困難な状況でもシティ相手に完全に優位に立てたことは、今後に向けた大きな自信になったでしょう。
少し前にあったカラバオカップ決勝でも、ユース選手を多数出場させた中で優勝。
今回の試合ではブラッドリーやクアンサ、エリオットなど若手が抜擢されましたが、素晴らしい活躍を見せましたね。
選手層は薄いと思いますが、若手で経験があまりない選手が大舞台でしっかり仕事ができるチームといえます。
現状獲得の可能性があるタイトルは、リーグ、FA、ELの3つ。カラバオはすでに制覇。
リーグ戦はシティとアーセナルとの三つ巴。
FAカップには、シティだけでなくチェルシーやマンチェスターユナイテッド、ニューカッスルもいる。
ELでは、ブンデス無敗のレヴァークーゼンをはじめ、復活したローマや古豪ミランがいます。
どの大会も厄介なチームとやり合わなければいけません。
4冠達成に向けて怪我人の多さが心配ですが、若手がこれだけ活躍するなら大いに期待できる現状だと思います。
クロップ退任を最高の形でお祝いできるか?
クロップの勇姿をしっかり見届けたい。
最高の試合でした!!ありがとう!!
まとめ:【シティを支配】2つの戦略の融合したリバプール
今回は、マンチェスターシティ対リバプールを分析、解説しました。
最後に、今回のダービーを振り返りましょう。
リバプール対シティ ・リバプール:ポゼッションとカウンタープレスの融合 ・シティ:サイドとチャンスメイク力に課題を抱える ・全体的にリバプールが圧倒
現代サッカーを代表する2チームが繰り広げる良ゲーム。
1つ1つのプレーに対する姿勢が素晴らしく、見ているこちら側もすごく熱くなりましたね。
今回で最後になるかもしれないクロップ対ペップにふさわしい素晴らしい戦い。
今後見られなくなるのは悲しいですが、また新たな素晴らしいチームがでてくるのがサッカー界。
新たなライバル関係を首を長くして待ちたいと思います。
今回の記事で何かご意見等ございましたら、気軽にコメントしてください。
また、以下の記事ではマンチェスターシティの現状を分析していますので、ぜひご覧ください。
・マンチェスターシティの現状
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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