序盤戦からみるフリック政権の特徴
今のバルセロナは、とてもよく走るインテンシティの高いチームだ。
the WORLD
ビジャレアルのマルセリーノ監督が言うように、何といっても今季のバルサの特徴といえば”走る”です。
データ上は知りませんが、選手たちがスペースを見つけて走っている場面を頻繁に見られます。
ポジショニングを重要視するクラブとしてはなかなか珍しいと言える状況ですが、開幕7連勝など大きな結果を残している。
もちろん”走る”だけで強くなれない。ここでは、”走る”だけでない好調の要因を解説していきます。
攻撃:5つのスペースの有効活用

攻撃において重要なのは、複数のスペースを使えること。広大なピッチを最大限使えば、相手の守備は崩壊する。
現在のバルセロナがうまくいっている理由は、複数のスペース活用をうまくできているからでしょう。
FW-MF間の支配→MF-DF間の利用→両サイドとDFの裏という順番でピッチを最大限活用していきます。

まずFW-MF間の支配ですが、このスペースを支配することで攻撃の安定を図り、ピッチ全体へのパス供給ができます。
またFW-MF間を支配することで、相手MFを前に引き摺り出すことができ、結果的にMF-DF間のスペース創出につながる。

空いたMF-DF間のスペース活用については、バルサの十八番といえる”間受け”を活用し、数多くのチャンスメイクの起点に。
このMF-DF間の利用に関しては、FWレヴァンドフスキが常に相手CBと駆け引きしてくれているおかげでより活用できていると思います。

最後は両サイドとDFの背後。
これまでのスペース活用によって、必然的に相手は中央を閉める。特にMF-DF間のスペースを狭くする守備をする。
そのような守備によって空いてしまうのが、両サイドとDFの背後であり、今のバルサはそのスペースさえも有効活用できています。
右サイドでのヤマルの躍動やハフィーヤの裏抜けなどは、今季のバルサを象徴するプレーといえますよね。
以上のように、優秀な選手たちが複数のスペースを有効活用できているため、チームとして非常にうまくいっていると思います。
また、ゴール前での動きも積極的でいい。
いろんな選手が果敢に飛び込んでいき、相手に的を絞らせていない。マークするのが大変でしょうね。
守備:インテンシティの改善とWGのプレス
まず現代サッカーにおいて、インテンシティを疎かにするチームは勝てません。昨季のバルサのように。
今季のバルサは開幕戦からすべての試合において優れたインテンシティを見せています。
上の動画にあるように、優れたインテンシティからチャンスが生まれることが多いですね。
また、プレスに関しても変更が加えられ、WGが追い込み役として機能しています。

まずFWは後方に下がり、相手ボランチなどMFへのパスコースを制限。
そして、両WGが逆サイドに相手を誘導するようにプレスをする。
中央へのパスができない相手は、必然的にサイドにボールを送ることになります。
そうなると、MFと比べて組み立て力に劣るSBなどがボールを持つことになり、相手の攻撃の成功率は下がる。
あとはインテンシティを駆使してボールを奪取する。
このプレス方法は、インテンシティの改善も相まって一定の成果を収めていると思います。
シャビ政権との比較:フリックは何をもたらしたのか?
本章最後に、シャビ政権とフリック政権を簡単に比較して、フリックがバルサにもたらしたものを見ていきます。
まだ始まったばかりですが、多くの変化が見て取れます。今回はその中から3つを選びました。
・規律のあるチーム
シャビ政権、特に昨季のチームで一番の問題だったのが、攻守両面で規律がなかったことでしょう。
攻撃においては、自分勝手なプレーが散見され、チーム全体のバランスが崩れている場面がありました。
また、守備では怠慢とも言えるプレーが見られ、現代サッカーとは思えない守備が頻繁に見られましたね。
一方のフリック政権では、まだ始まったばかりとはいえ、そういったプレーは見られず、規律が回復していると感じられます。
ミーティングに遅刻したクンデがスタメンから外されたというエピソードからもフリックの厳しさを感じる。
※シャビ政権2年目は良かったのにな〜。
・選手の個性を活かす
シャビ政権において個人的に不満だったのは、レヴァンドフスキによるポストプレーの連発です。
バイエルン時代は詳しく知りませんが、バルサでのプレーを見る限り、ポストプレーが得意とは思えない。
そんなレヴァンドフスキにポストプレーを何度もさせ、チームの連携の質が低下。
またポストプレーが増えたことでゴールから離れる回数が増え、肝心な時にシュートを打てない位置にいることも多かった。
チームと個人両面でデメリットが大きかったシャビ政権でのレヴァンドフスキの活用方法。
一方フリック政権においては、レヴァンドフスキのポストプレーが減り、相手CBとの駆け引きというFWらしい動きが増えています。
上記で説明したように、レヴァンドフスキのFWらしい動きによって他の選手が活躍しやすくなり、チーム力が向上している。
そして、レヴァンドフスキ個人としてもゴールゲッターとして生き生きとプレーしていて、得点ランキングでトップに君臨中。
以上のようなフリックによる選手活用はハフィーヤの活躍からも見て取れます。
シャビ政権時代にバルサに来たハフィーヤですが、当時から走力を活かした効果的な裏抜けを見せていましたから。
もちろんすべての選手の個性を最大限活かすことは不可能。11人という制限がある以上、特定のプレースタイルに偏ってしまう。
そんな中でも、現状においてはのびのびとプレーしている選手が多いと感じますね。
・言い訳しないリーダー
シャビが解任された理由はおそらく、会長のラポルタを怒らせた”多くの言い訳”でしょう。
いまだ財政難から逃れられていない現状。
思うように補強ができないなかで膨らむ周囲の期待。
こうしたものがシャビを苦しめたことはインタビューなどからも明らかです。
しかし、言い訳のようなコメントを連発するシャビを見て、私を含め多くのファンは良い印象を受けなかったのではないでしょうか?
それに対して、フリックからはそのようなコメントは今のところ見られず、意識している部分もあるでしょうが、勝利を目指す姿勢がしっかり感じ取れます。
バルセロナにとって負けてもいい試合なんて1つもない。

バルサをボコったフリックがバルサを救う側になるとは笑
タイトル獲得に向けての課題”6選”

ここでは、今季のタイトル獲得に向けて解決すべき課題を見ていきたいと思います。
シーズンが始まって約2ヶ月。ここからどのチームも終盤戦が始まる来年2月に向けてチームの完成度を高めていくことになる。
フリック政権1年目とはいえ、昨季を無冠で終えたこともあり、なんとしてもタイトルを取りたいところ。
2月から勝負の期間に向けて何をするべきか?1つずつ見ていきましょう。
課題1:脆弱なDFライン
1つ目の課題、もっとも解決するべき課題は「脆弱なDFライン」です。
・ジローナ戦の失点
・ビジャレアル戦の失点

・オサスナ戦の失点
正直、失点を防げたはずのプレーです。
ライン設定やマーク、1対1などDF陣の対応の甘さが多くの場面で見られます。
リーグ戦での失点は9と数字的には良いですが、印象としては相手の攻撃の不甲斐なさに助けられている感じ。
シーズンが進んでいき対策を立てられるようになれば、必然的に短所も強調され、失点も増えていくでしょう。
相手の対策が進む前に、信頼できるDFラインを構築したい。
課題2:プレスの精度とSBの負担
2つ目の課題は、「プレスの精度とSBの負担」です。
・ラージョ戦の失点
シャビ政権時代からプレスの方法を大きく変えたフリック。
一定の成果を上げていると先ほど言いましたが、精度はまだまだ。プレスを抜けられることも多々あります。
シーズンは始まったばかりなので精度に関しては仕方がない部分もありますが、問題となっているのはSBの守備力との兼ね合いです。

シャビ政権時代から変わっていないSB陣ですが、もともと守備力は十分ではありませんでした。
それはレアル・マドリードとの対戦時にヴィニシウスに対してCBアラウホをぶつけていたことからもわかる。
そのSBの守備力をを補うためには他の選手の力を借りる必要がありますが、現状のプレスの性質上SBは孤立しがちです。
WGはSBから離れた位置にいることが多く、MF陣も中央を優先して守っているイメージ。
現状では強力なサイド攻撃に対して有効打を打てないといえる。
SBに対する負荷を軽減する策を見つけないと、今後の戦いで相手から集中砲火を喰らう可能性がある。
課題3:噛み合わないMFの守備タスク
3つ目の課題は、「噛み合わないMFの守備タスク」です。
バルセロナの中盤3枚は、3センターではなく、2枚のインサイドハーフと1枚のボランチという関係性。
3枚が1本の鎖で繋がれているように動くのではなく、それぞれがそれぞれの役割を持って動いている印象。

フリック政権では、インサイドハーフは前プレに参加することとハーフスペースを埋めることが主要なタスクのように見えます。
ボランチに関しては、中央に居続けて中央のスペースを守ること。
つまり、インサイドハーフがボランチ付近から居なくなったりすることが多々あり、スペースが空くことがある。
ボランチ付近にスペースができること自体は問題ではありません。前述の前プレの精度との兼ね合いで相手の攻撃の起点になっているのが問題です。
精度が不十分な前プレを突破され、ボランチ付近のスペースに縦パスを通され、そこから脆弱なDFラインを突く。
シーズンが進むにつれてこういった場面が増えている印象なので、早めに対策を考えたいですね。
課題4:狙われるフィジカル
4つ目の課題は「狙われるフィジカル」です。
バルセロナはクライフ登場以降、ポジショナルプレーを基礎としてプレーしている。
これは小柄な選手たちが効果的に守備するためのプレースタイルでもあり、ポジショニングを疎かにすれば問題を抱えるともいえます。
では、フリック政権ではどうかというと、”走力”を活かす反動で、小柄な選手たちがフィジカル勝負に持ち込まれている場面が多く見受けられます。
選手たちが走ることでチーム全体でボール奪取しやすいポジショニングを取りづらく、1対1で対応しないといけない。
そうなると、小柄な選手たちはフィジカル的に不利になり、相手の攻撃を止めにくくなる。
苦戦したヘタフェ戦やオサスナ戦では、もろにフィジカルの弱さを狙われていた印象。
走力とポジショニングのバランス。開幕当初からの課題をどうするのかに注目したい。
また、ルーズボールの処理が雑だと思う。
もっと丁寧にやるべきだが、なぜか中途半端な処理になりカウンターを食らっている。
落ち着いて対応して、もっとボールを持つべきです。
課題5:サイドからの組み立て
課題5つ目は「サイドからの組み立て」です。
大敗したオサスナ戦。原因はいろいろありますが、大きな原因として「FW-MF間の封鎖」が挙げられます。
マンマーク気味の守備を使用し、ペドリを中心にMFをフリーにさせず、徹底的にFW-MF間のスペースを消す。
それによって、武器である複数のスペース活用ができずに攻撃が空回りし、何度も危険なカウンターを受けました。
シーズンが始まってまだ2ヶ月。組み立てのバリエーションが少ないのは仕方がないことともいえます。
しかし、ヘタフェやオサスナがやった中央封鎖は今後の相手も参考にするでしょう。

これから増えるであろう中央封鎖に対してできることは、やはりサイドからの組み立て。
今のところあまり良いシーンは見られませんが、精度は高くなくていいので形だけでもなんとか見せてほしいです。
課題6:ペドリの相方
課題6つ目は「ペドリの相方」です。
これは前述の「サイドからの組み立て」にも通ずる課題です。
ベルナルの負傷離脱によってボランチがいない現在のバルセロナ。
現状この問題に対処するために、CBガルシアのボランチ起用という対応をしています。
ただ、守備力のことを考えると本職CBのガルシアをボランチに起用したいのは理解できますが、組み立て力は低下する。
また、もう1人のインサイドハーフはオルモなど攻撃的な選手が起用されることが多く、組み立てという点ではあまり力がない。
結果として、現在のバルセロナは組み立てをペドリ1人が担っているといえます。
しかし、オサスナ戦のようにペドリが封じられると組み立てが安定せず苦戦必至。
本当はペドリ以外の選手が組み立てを行うべきですが、能力的にガルシアなど他の選手に効果的な組み立ては期待できない。
では、ボランチに攻撃的な選手、インサイドハーフに組み立て役を配置した場合はどうなるかというと、守備力とチャンスメイク力を低下を招くでしょう。
怪我人が多くて若手を起用している現状もあり、非常に難しい問題を抱えているといえます。

どんなチームにも課題がある。問題はそれをどうするか。
終盤戦までの期待:神童ガビが必要だ!!
最後に、2月から始まる終盤戦に向けて期待したいことを書いていきます。
始まったばかりですが、いろいろ期待してしまうスタートを切ってくれたバルセロナ。
長いシーズン、勝負どころとなる2月からの戦いに向けてどの程度の完成度に持っていけるのか?
ここでは、個人的に今のバルセロナが素晴らしい完成度に仕上がるために起こってほしいことを3つ書きます。
期待1:新たなイニエスタの誕生
1つ目の期待は「新たなイニエスタの誕生」です。
前述の通り、組み立てにおいてペドリの負担が大きい現状。
それに対して、もう1人のインサイドハーフに組み立て役を配置することも可能ですが、それだとチャンスメイク力が下がる。
できるのであれば、チャンスメイク力を維持しつつ組み立て力の改善をしたい。だからこそ”新たなイニエスタの誕生”に期待したい。
ペップ政権時、メッシとともにチャンスメイクをしつつ、シャビとともに組み立てもしていたイニエスタ。
稀代の天才は、相手の守備に合わせてチームのチャンスメイク力と組み立て力の両方を支えていました。
現在のバルセロナにもイニエスタのような存在がいれば攻撃面での問題は大きく改善するはず。

個人的に期待しているのはガビです。シャビ政権時のプレーを見ても両方できる素質がある。
現在怪我で離脱中ですが、早ければ10月にも戻ってくるとの情報が。
走力も期待できるガビは現政権でも素晴らしい活躍を見せてくれるはず。
ペドリ・ガビのスーパーコンビで世界を驚かして欲しい。
期待2:MFとしてのクンデ
2つ目の期待は「MFとしてのクンデ」です。言い換えれば、偽SBクンデ。
前述のように組み立てやフィジカル面で課題がある今のバルセロナ。
その中でもうまくいっている分、スタメンを大きく変えることはしたくない。
今のスタメンで組み立てとフィジカルの問題を解決するオプションとして、クンデが偽SBとして中盤でプレーすることを期待したい。
左SBバルデやプレスの仕方など偽SBクンデと噛み合いにくいプレーもありますが、有効なオプションとして持っておくべき。
特にCLでは普段やり合わないようなプレースタイルを持つチームが多く、中盤での争いが増えることが予想される。
トランジションで優位に立ち試合で有利に立つには、クンデのような戦える選手を中盤に置くべきです。
ぜひ試してみて欲しい。
期待3:覚醒シュチェスニー
最後の期待は「覚醒シュチェスニー」です。
テアシュテーゲンが今季絶望の重傷となり、守護神を失ったバルセロナ。
トップレベルでの争いにおいてGKの力は非常に重要であり、相手の優れた攻撃をギリギリのところで防ぐことが勝利を呼び寄せます。
若手GKがいましたが、やはり荷が重いと感じ、引退したシュチェスニーを招聘。
アーセナルなど多くのクラブで結果を残したシュチェスニーはチームにとって生命線になるでしょう。
シュチェスニーにとって最大の問題であり対応してほしいのは、脆弱なDFラインの尻拭いです。
前述した通り、簡単にチャンスを作られてしまう現状のDFライン。
すぐには直らないでしょうし、今シーズン全部使っても直るかわからない。
DFラインが信頼できるレベルまで達するには長い時間がかかる。となると、それまでの間シュチェスニーにはスーパーセーブを何度もしてもらう必要がある。
タイトル獲得に向けて、シュチェスニーには覚醒してほしい。

フリック政権1年目はどこまでいけるのか?
まとめ:【復活へ】バルセロナ序盤の課題と展望 2024−25
今回は24−25序盤でのバルセロナの特徴や課題を解説しました。
フリック政権になりいろんな部分で改善しているのが見て取れ、ファンとしてはうれしい限りです。
まだ始まったばかりの今シーズン。どのチームも課題がありますが、ここからがフリックの手腕の見せ所。
昨季無冠のバルセロナに再びタイトルをもたらせられるか?
今シーズンのバルセロナに注目です!!
ちなみに、昨季のバルセロナがどのようなチームだったのかを知りたい方は以下の記事をお読みください。
フリックが改善した点をより理解できると思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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