バルセロナの試合を中心にサッカー分析をしている”がんばらないネコ”です。今日はLIGA第4節バルセロナ対セビージャの試合分析を行います。
【バルセロナ対セビージャ LIGA第4節】90分間集中する大切さ
バルセロナ対セビージャのマッチレポートです。前節は4−0で快勝したバルセロナ。今回も勝って3連勝としたいところ。
一方で早くも2敗を喫しており、未だ勝星がないセビージャ。ロペテギ解任論も出ている中、バルセロナの相手だとしても勝ちたい。
どんな試合になったのでしょうか?
まずは試合統括
試合全体で見れば、
- セビージャにバルセロナはやや苦しめられた
- 何度も隙を見せたセビージャから、しっかり点をとったバルセロナ
という試合でした。まず以下のような守備で、セビージャはバルセロナのパス回しを停滞させていました。
守備の仕方に関しては、開幕戦のラージョバジェカーノのように、4−4−2ダイアモンドの形でプレスを行なっていました。
まずバルセロナを止めるために、ブスケッツ、ペドリ、ガビの中盤トリオをフリーにさせないようにマークします。
その状況で、WG2人がバルセロナCB間のパス交換→SBへのパスを誘導します。そしてペドリとガビをマークしていたセビージャCHがバルセロナSBにプレスに行きます。
そうするとペドリとガビが空きますが、ボランチ、もしくはボランチが間に合わない場合はCBがペドリとガビをマークし、バルセロナSBからのパスコースを完全に消します。
セビージャは上記のようなプレスを90分間通して行い、綺麗にボールを回すことがそこまでできなかったバルセロナでした。
ただ、結果は3−0のバルセロナの完勝でした。なぜこのような結果になったのか?それは、セビージャが10分に1回見せる大きな隙をバルセロナが逃さずに得点したからでした。
以下で説明していますが、ボールロスト後などバルセロナに簡単に攻め込まれる場面が多く見られました。
攻撃時の後方選手のポジショニング、トラディションの遅さ、DF陣の対応力のなさといった戦術面と選手の能力が3−0という完敗を招きました。
試合開始早々を見た時は「なんで低迷してるのかな?」と疑問でしたが、90分見た後は「これだけ簡単に攻められれば低迷するよね」と納得のプレーでした。
今後セビージャがどう立て直すのか、セビージャファンの方は少し長い目で見ていく必要がありそうですね。
一方でバルセロナに関しては、良い攻撃が多々見られたことは非常に良かったです。FWレヴァンドフスキも素晴らしいゴールを奪ったことですし。
ただ気になったのは、セビージャ相手にデュエルでかなり負けたこと。これはCLに向けた大きな懸念材料ですね。
近年のバルセロナ低迷の一番の原因であるインテンシティの低さがこの試合で見られました。CLでインテルやバイエルンとやり合うことを考えると、もっと頑張ってほしいですね。
インテンシティの向上ができれば、CLベスト4は行ける実力だと思いますから、ぜひともその点の改善を期待したいです。
ここまで簡単な試合統括をしましたが、次はセビージャの守備とバルセロナの攻撃、そしてセビージャが見せた隙を詳しく解説したいと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
セビージャの守備とバルセロナの攻撃
それでは、この試合におけるセビージャの守備と、それに対するバルセロナの攻撃を見ていきましょう。
まずはセビージャの攻撃型プレッシング(バルセロナゴール前での守備)と中盤型プレッシング(センターサークル付近の守備)を見ていきます。
セビージャの守備は先ほど説明したような動きを見せますが、ここでは実際のプレーの説明を通じて理解していただきます。
セビージャの守備を理解した後は、それに対するバルセロナの対応を見ていきます。やや苦戦していたため、うまく対処できているシーンは少なかったですが、良いプレーもありました。
それでは見ていきましょう。
セビージャの攻撃型プレッシング
まずはセビージャの攻撃型プレッシングを見ていきます。今回は2つプレーをご紹介します。
例1 0:40ごろ
バルセロナGKテアがボールを持っています。先ほどからの説明の通り、セビージャはCBも含めて中央を閉めています。
中央が閉まっているので、GKテアからSBバルデにボールが渡ります。SBバルデに対しては、セビージャCHがプレス。
そして、セビージャCHが動いたことによって空くバルセロナCHペドリにはセビージャボランチがマークにつきます。
セビージャの厳しいプレスに対して、SBバルデはバックパスを選択。GKテアまでボールが下がります。
バルセロナ中盤の3選手はしっかりマークされていますね。
中央が閉めらているので、SBクンデにボールが渡ります。ここにはセビージャCHがプレス。それによって空くバルセロナCHガビにはセビージャCBが対応します。
パスコースがないSBクンデに厳しいプレスを行うセビージャ。しっかりボールを回収して1連のプレーは終わりました。
例2 17:00ごろ
バルセロナCBアラウーホがボールを持っています。CHペドリがボールをもらうために降りてきます。
ぺドリがボールを受けます。セビージャトップ下が対応します。
ブスケッツなど前方に選手がマークされているので、SBバルデにパス。しかし、セビージャCHも素早くプレスを行います。
ここでペドリがパスアンドゴーでサイドを狙います。それに対してはセビージャトップ下がついていきます。
縦にパスを出したかったですが、セビージャCHが厳しいプレスをしたために、バックパスを選択。GKテアまでボールが下げられます。
バルセロナボランチのブスケッツがマークをさずし、ダイレクトでSBクンデにパス。セビージャCHが少し遅れてプレス。
その間にバルセロナCHガビがDFラインの裏を狙います。それに対してはセビージャCBが対応。
ボールを受けたSBクンデはWGハフィーヤとのワンツーで抜け出そうとしますが、素早く戻ってきたセビージャボランチに対応され、ボールを奪われます。
うまくスペースを使われそうになったセビージャですが、ボランチがしっかり戻ってきたことで対応できました。
バルセロナの解答① 23:00ごろ
それではバルセロナはどのように対応したでしょうか?まず1つ目のプレーを見ていきましょう。
GKテアがボールを持ってます。
CBアラウーホにボールが渡ります。セビージャWGがプレス。
CBアラウーホはセビージャのプレスをかいくぐり前進。セビージャは中央をより閉めます。
それによって空いた逆サイドをSBバルデが狙い上がってきます。
CBアラウーホにあまり厳しいプレスに行けなかったため、アラウーホは楽にサイドチェンジ。SBバルデがパスをWGデンベレに落として、セビージャ守備を突破しました。
バルセロナの解答② 44:30ごろ
2つ目です。
GKテアがボールを持っています。まず、WGハフィーヤが裏を取る動きを見せます。それによってセビージャSBが惹きつけられます。
そして、SBクンデがやや高い位置を取ります。それによってセビージャCHが、バルセロナCHガビのマークなのか、それともSBクンデのマークなのか対応を迷います。
セビージャCHがSBを気にして少しサイドに移動した隙をついてCHガビがボールを受けます。
フリーになったガビは、降りてきたFWレヴァンドフスキ(以下、レヴィ)にパスし、ダイレクトでSBクンデに預け、セビージャの守備を突破しました。
1つ目も2つ目も、セビージャにより中央を意識させて、大きなスペースを得たサイドを活用する形でした。
ポジショナルプレーらしい組み立てでしたね。
セビージャの中盤型プレッシング
続いては中盤型プレッシングです。2つの実際のプレーを見ていきましょう。
例1 0:20ごろ
CBアラウーホがボールを持ってます。セビージャWGがプレスにきます。
CBガルシアにパス。もう1人のセビージャWGが外側からプレスにきます。CB間のパス交換を誘発しようとします。
CBガルシアはブスケッツへのパスを選択しますが、周りにパスコースがなく、GKテアへのバックパスを選択。
バルセロナの組み立てを防ぎました。
例2 22:30ごろ
CBアラウーホがボールを持っています。
SBクンデにパス。セビージャはCHが間に合いそうになく、WGがプレスにいきます。その間に、バルセロナCHガビが低い位置に移動します。
SBクンデからガビ経由でCBアラウーホへボールが渡ります。その間に逆サイドでは、CHペドリがサイドに広がり、SBバルデが高い位置に移動します。
CBアラウーホからガルシア経由でCHぺドリへ。セビージャはWGがプレスにいきます。
CHペドリがWGデンベレとパス交換しますが良いアイディアが出ず、セビージャCHがプレスを行い、ボールを奪いました。
WGなどの攻撃陣もしっかり守備していたのが、セビージャ守備の印象でした。
バルセロナの解答① 27:00
ここではセビージャの守備に対するバルセロナのプレーを見ましょう。
CBアラウーホがボールを持っています。セビージャトップ下がサイドに追いやるようにプレスをします。
SBクンデにボールが渡ります。セビージャはWGがプレスにきます。その間に、バルセロナWGハフィーヤが下がり、CHガビが高い位置に移動します。
その動きによって、セビージャSBはバルセロナWGハフィーヤについていけず、ハフィーヤがフリーになります。
フリーになったハフィーヤにボールが渡り、セビージャの中盤型プレッシングを突破しました。
攻撃型プレッシングに対する対応と同じく、中央をより意識させて、空いたサイドのスペースを活用した良いプレーでした。
セビージャが見せる大きな隙
最後に、この試合が3−0で終わった大きな要因である「セビージャが見せた数々の大きな隙」をご紹介します。
正直、試合全体を見れば、そこまで悪いとは言えなかったセビージャ。ここまで説明してきた守備でバルセロナを苦しめていました。
ただ、もったいなかったのは10分に1回見せる大きな隙です。今回の3点すべて、簡単にゴールを決められてしまいました。
それでは見ていきましょう。
1点目
セビージャCHがボールを持っています。判断が遅く、バルセロナの選手たちに囲まれました。
セビージャCHが苦し紛れにWGにパスを出しますが、バルセロナCHガビがカットし、ボールはバルセロナボランチのブスケッツへ。
その瞬間、WGデンベレが素早くスペースに移動し、ボールを受ける動きをします。
FWレヴィもいたこともあり、WGデンベレにプレスに行けなかったセビージャ。ドリブルが非常に得意なデンベレがフリーでボールを持てる状況を作り出してしまいます。
また、他の選手も攻撃に前のめりすぎて、実質残っているのはセビージャCB1人でした。「攻撃の時ほど守備のことを考える」ということをうまくできていない場面でした。
WGデンベレが余裕を持って前進。センターサークル付近を超えても、まだセビージャは誰もプレスに行けていません。
プレスを受けることなくWGデンベレが残っているセビージャCBを引きつけ、横にいるFWレヴィにパス。
FWレヴィのループシュートは戻ってきたセビージャボランチが必死に弾き出しますが、クリアが足らず、バルセロナWGハフィーヤが押し込み、得点を奪いました。
ボールを奪われた時の準備が不十分だったことが失点の最大の原因です。デンベレにプレスに行けなかったこと、その後の人数が全く足りていなかったこと、カウンターに対する準備不足が露呈しましたね。
そしてセビージャの致命傷といえるのは、このようなカウンターを試合中に何度も受けていたことです。早急に改善しないと、降格に可能性が出てきます。
2点目
SBクンデがボールを持っています。セビージャはWGがプレスにいきます。
SBクンデがセビージャWGのプレスを剥がし、前進します。その間にセビージャ側に問題が起きます。
逆サイドのSBがバルセロナFWレヴィのマークを怠ります。
フリーになったFWレヴィに、同じくフリーのSBクンデがピンポイントのロングパス。正確なトラップからの素晴らしいシュートが決まり、バルセロナは追加点を奪いました。
しっかり守備をしているように見えて試合に勝てないチームの典型例のような、集中力を欠いた守備でした。
試合に勝つためには、特にリーガのような非常にレベルが高いリーグでは、一瞬の隙で勝敗が決まります。
セビージャは上記のような集中力を欠いている守備が何度も見られました。バルセロナとやり合うためには、まったく不十分な姿勢でしたね。
3点目
最後はコーナーキックからの1点。
ショートコーナーからWGハフィーヤにボールが渡ります。まず問題なのは、WGハフィーヤとセビージャCHの距離が遠いことです。これでは良いクロスを上げられます。
そして、最も問題なのは、バルセロナの選手が大外にいるのに関わらず、セビージャはニアばかりに選手を割いていることです。
この隙をついて、バルセロナSBクンデが大外に走り込みます。
WGハフィーヤからSBクンデにピンポイントクロス。SBクンデからゴール目の前にいたCBガルシアへダイレクトパス。
そして、セビージャは誰もCBガルシアにマークせず、きっちり決められて万事休す。3点目も簡単に入れられたセビージャでした。
まとめ:90分間集中する大切さ
サッカーは90分あります。また、1点が非常に重いスポーツです。そして、サッカーでは数秒あればゴールを奪えます。
なので、一瞬の隙が貴重な1点を生み、勝者と敗者を決めてしまう残酷なスポーツと言えます。
特にラリーガのような強いチームばかりのリーグならなおさら、その一瞬の隙をつけるチームばかりです。
今回の試合でセビージャは、10分に1回大きな隙を作って、バルセロナに簡単にゴール前に攻め込まれていました。
その時のプレーは、集中力を一瞬失ったように各選手が静止していたり、ゆっくり戻ってきたり、プレスを途中でやめるという中途半端なプレーだったり、残念なプレーばかりでしたね。
現在4試合終わって17位と沈むセビージャ。原因は間違いなく、今回説明したような集中力を欠いたプレーの連発です。
正直その癖が直れば、非常に厄介な相手になることは想像できます。ぜひとも改善してほしいですね。
バルセロナに関しては、90分間しっかりとプレーできていましたね。集中力という点に関しては問題ないと思います。
最初に述べたインテンシティの向上に関しては、もっと改善していってほしいですね。
最後に:【バルセロナ対セビージャ LIGA第4節】90分間集中する大切さ
今回の記事では、バルセロナ対セビージャの試合分析を書きました。低迷しているセビージャの弱みが鮮明に出た試合でした。
バルセロナはその隙を逃さず、しっかり勝ち点3を獲得。3連勝で好調を維持しているので、次のCLプルゼニ戦もこの調子で勝ってほしいですね。
この記事で何かご意見等ございましたら、気軽にコメントしてください。
また、集中力が勝敗を左右したバルサ対バイエルン戦の分析記事もありますので、ぜひご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント