どうも、がんばらないネコです。Twitterで活動しているサッカー分析ブロガーです。
今回は最近のユナイテッドの戦いぶりから、ユナイテッドの攻撃面での問題を見ていきましょう。
この記事は、以下の内容をお送りします。
この記事の内容はこちら!!
- 攻撃面での最大の問題
- 改善の兆候はあるか?
- 今シーズンできることはあるか?
守備面のみならず、攻撃面でも大きな問題を抱えているマンチェスターユナイテッド。
今回の記事は攻撃面での問題、最近の戦いぶり、今シーズン何がするべきかを詳しく解説していきます。
今回の記事で読めば、「なぜ攻撃がうまくいっていないのか?」や「攻撃問題の原因」などを知れますよ!
サッカーが好きな方や興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
それでは、どうぞ!
オフェンス最大の問題:整理されていない連携と個人能力の不足
先日書いたユナイテッド守備面での問題に続いて、今回は攻撃面での問題を見ていきたいと思います。
この章では、守備面と同じくCL1〜3節の内容から攻撃面でのユナイテッドの問題を分析。
分析結果を端的に言うと、「なかなか大きな問題を複数抱えている」という感じですね。
では、見ていきましょう。
攻撃の基本:囮役と活用役
攻撃の基本はいつの時代も変わらず、「囮役がスペースを作り、活用役がそのスペースを使う」です。
上のシーンでは、セスクが囮役になって相手CBを前に引きずり出しスペースを作る。
そして、メッシがそのスペースに走り込み、イニエスタがスルーパスを出し得点を奪っています。
現代サッカーは守備が進化し昔より堅いので、プレースピードの速さも重要になっています。
ユナイテッド攻撃:囮役と活用役が整理されていない
マンチェスターユナイテッドの攻撃は、ポジションチェンジを繰り返し、フリーマン創出からのチャンスメイクです。
上のシーンでは、SHとSBがポジションチェンジをして、相手のマークを混乱させている。この2人が囮役ですね。
また、できたスペースにボランチが走り込むのも、ユナイテッドの攻撃の大きな特徴。
このシーンでは、できたスペースを活用する役としてボランチのマクトミネイが入り込んでいる。
以上のように、SBやボランチも含めてポジションチェンジを繰り返すのがユナイテッドの攻撃です。
では、そのポジションチェンジを活用しているユナイテッドの何が悪いのか?
そもそもポジションチェンジというのは、今やどのチームも当たり前のようにやっているプレーで、基本的なプレーの1つ。
やっていないチームは見ないと言ってもいいレベル。
そんな基本的なプレーをユナイテッドが活用しきれていない原因は、
- 状況に応じた囮役と活用役が整理されていない
- チャンスメイク力の低さ
- バランスの悪さ
の3点です。
・状況に応じた囮役と活用役が整理されていない
先ほども言ったように、効果的な攻撃にはプレースピードが大事です。
そして、プレースピードを上げるためには、囮役と活用役が素早く連携する必要があります。
しかし、今のユナイテッドは囮役と活用役が整理されておらず、プレースピードが遅いです。
選手たちがプレーの選択に迷っている場面がよく見られますね。
ガラタサライ戦の3失点目は整理されていないことを象徴するシーン。
ボールを持つアムラバトは「何をすればいい?」状態で、プレーの選択に迷っている。
しかも、味方もパスコースを作ったりせず(たぶん指示もしてない)、アムラバトを余計に困らせている。
結果的に、前方にパスしたもののパスカットに合い、そこから逆転の3失点目を喰らって敗戦。
・チャンスメイク力の低さ
ポジションチェンジを多用するということは、いろんなポジションの選手がフリーマンになる可能性が高い。
なので、どの選手もある程度チャンスメイクできる必要がある。
もちろんチャンスメイク力の差はあるので、能力の低い選手がフリーマンになったときの周りのサポートも重要。
しかし、ユナイテッドの現状を見てみると、
- そもそもチャンスメイクできる選手が少なすぎる
- フリーマンに対するサポートが少ない
- FW陣の判断が悪い
というように、個人としてもチームとしてもチャンスメイク力の低さが露呈している。
シティのフォーデンやアルバレスのようなチャンスメイクもできるFW陣がいるわけでもない。
MFでも十分なチャンスメイク力があるのはブルーノだけな印象(ブルーノの問題点については後述)。
SBの能力は何ともいえない。
また、足りていない個人能力をチームで補うような動きも少なく、良い連携を見ることは少ない。
特にFW陣の判断が良くないことが多く、攻撃を停滞させている大きな要因になっている。
やはり個人とチーム両方でチャンスメイク力が足りていないと言わざるおえない現状です。
・バランスの悪さ
先ほど解説したように、ユナイテッドのボランチは積極的にポジションチェンジし高い位置をとります。
これ自体が悪いわけではないですが、チームバランスに問題を発生させ、トランジションに影響を与えています。
ニューカッスル戦の1シーン。ガルナチョの最悪のボールロストからニューカッスルのカウンターが発動します。
この前のプレーで、カゼミーロとマウントはポジションチェンジしており、上下逆のポジショニング。
なので、カウンターへ対応する選手が潰し屋カゼミーロから小柄なマウントに変わってしまっている。
カウンター対応に慣れていない(そもそもボランチではない)マウントが対応しますが、当然ながら・・・
簡単に抜き去られてしまう。
「崩れたバランスを補える何か」がないことので、”良い守備からの良い攻撃”が生まれにくい状況に陥っている。
以上のように、目指している理想に対して、大きな問題がいくつもあるのが現状ですね。
毎年いろんな選手を獲得してますが、チーム戦術に合っている選手は少ない気がする。
攻撃面:その他問題点を見る
ここでは攻撃面でのその他問題点を簡単に紹介します。
・カウンターが下手
まず1つ目は「カウンターが下手」です。
ポゼッションもうまく行ってないユナイテッドですが、カウンターも下手です。
もちろん良いカウンターからの得点もありますが、カウンターからうまくチャンスを作る回数は少ない。
左サイドの選手を使えたでしょ・・・
・パス精度が低い
2つ目は、単純に「パス精度が低い」です。
サッカーの基本であるパスは、単純なプレーですがプレーを構成するために不可欠な要素です。
パスの質はプレーの質に直結し、パスの質が低ければプレーの質も必然的に下がります。
ユナイテッドの攻撃を見ていると、パスがズレる場面が多く、良い攻撃だったのに無駄にすることが多い。
もちろん息が合ってないことも原因でしょうが、もっとパスを正確に出したほうがいい。
正直、「受ける側のこと考えてる?」と感じる手を抜いたパスも見受けられます。
・キープ力が低い
3つ目は、「キープ力が低い」です。
パスほど基本的な要素ではないですが、相手の守備を上回ってボールをキープできることは、チームに大きな利益をもたらします。
ボールをキープすることでスペースが生まれ、攻撃をより活性化できる。
例えば昨季三冠を達成したシティの左WGグリーリッシュの鬼キープは話題になりましたね。
一方で、今のユナイテッドの選手は簡単にボールを失います。
キープしてほしい場面で簡単にボールを失い、チームのプレーがなかなか安定しません。
補足①:インサイドハーフ(トップ下も)の能力は十分か?
近年、インサイドハーフ(トップ下も)のスペースへのドリブルでの侵入はかなり重要なプレーになっていると感じます。
3冠達成のシティでは、デ・ブライネとギュンドアン。
アーセナルではウーデゴールやライス。
レアルマドリードではモドリッチやベリンガム。
かつてのバルセロナではメッシやイニエスタ。
どのチームもドリブルを効果的に使えるインサイドハーフやトップ下の存在によって攻撃が非常に強力になっていた。
その一方で、今のユナイテッドで見ると、スペースへ走り込むことはあるが、ドリブルでの侵入は極端に少ない。
ブルーノやエリクセン、マクトミネイなどのインサイドハーフがいるが、ドリブルを有効活用できている場面はほぼない。
少なくとも分析対象にした5試合では合計2、3回しか見てない。
守備が進化した現代サッカーで、ポジションチェンジとパスだけでチャンスを作るのは難しいと思う。
もっとドリブルを有効活用しないといけない気がする。サッカーで最大の武器はドリブルだから。
※各国代表戦ではドリブルをうまく使っているのかもしれません(しっかり見たことないので何ともいえない)。
補足②:MFは相手を騙せないのか?
史上最高のボランチの一人”セルヒオ・ブスケッツ”から学べるのは、相手を騙すことの重要性です。
左に行くと見せかけて右に行く。
後ろにターンすると見せかけて前方にドリブル。
サイドに展開すると見せかけて中央に縦パスを入れる。
相手を騙すプレーはほんの数秒のプレーですが、攻撃を大幅に活性化させてくれます。
イニエスタやシャビといったバルサ黄金期を支えた選手も騙す能力は超一流。
バロンドールを獲得したモドリッチも騙す天才。
素晴らしいチームはいつも”相手を騙す”MFがいる印象です。
では、今のユナイテッドはどうかというと、相手を騙すプレーがほとんど見られない。
やはりポジションチェンジだけで相手を混乱させようとしているのか?
先ほどのドリブルでもそうですが、他のプレーで相手を上回ろうといったプレーがない。
正直、個人レベルで相手を騙すプレーがないから、相手のプレスを掻い潜れない場面が多いのだと思います。
補足③:ラッシュフォードをどうするか?
現在マンチェスターユナテッドの10番を背負うマーカス・ラッシュフォード。
クリスティアーノ・ロナウドに代わる逸材として長年重宝されてきた存在も26歳になりました。
キャリア中盤を迎えたラッシュフォードですが、プレー面はなかなか成長せず。
分析した5試合の中で良いプレーは数えるほどしかなく、攻撃を停滞させるような悪いプレーが圧倒的に多かった印象。
ゴールを量産するわけでもなく、良いパスを連発できるわけでもない。
ドリブル能力の高さは感じられるが、そのドリブルを有効活用できている場面はほとんどない。
また、守備も熱心ではないため、攻守両面でチームを停滞させる存在になりつつあると思う。
正直スタメンを落としてもいいと思うが、代わりになれる選手がいないというのが苦しいところ。
新たなWGを獲得するのもいいかもしれない。
もしくは、無理してでも若手WGを試す機会を増やして成長を待つ?
今のユナイテッドに成長を待てる余裕はあるか?
復活の兆しが見えない
2024年1月時点でのパフォーマンス:オフェンス編
この章では、2024年1月時点のパフォーマンスから、オフェンス面の問題が解決されているか(兆候があるか?)を見ていきます。
デフェンス面と同様に、現在のパフォーマンスを分析するために対象にした試合はウィガン戦とトッテナム戦です。
結論から言うと、改善は見られず、いまだ不安定なパフォーマンスを続いています。
3部ウィガンとのプレーからユナイテッドの問題を見ていきましょう。
ポゼッションの現状:相変わらずぎこちない
7:20ごろからのプレー(動画設定がうまくいってません。動画時間8分43秒に合わせてください)。
右サイドへの展開からチャンスを作ろうするユナイテッド。
しかし、ポジションチェンジからのスペース活用がスムーズにいってませんね。
ブルーノがスペースを作るも、マイノウはスムーズにスペースを活用することはない。
すぐにターンしてドリブルで侵入すればチャンスを作れる。
続いて、マイノウがスペースを作ったシーンでも、SBダロットはスペースに移動せず。
3対2の数的優位を作れるはずだったが無駄になってしまった。
上がってこないダロットに対して、ブルーノは「上がれ」とジェスチャーで指示を出している。
以上のように、スペースを作ったとしても、タイミングよく活用する動きが少ないので、プレースピードが遅い。
また、47:20ごろにおいては、「攻め時をわかってない」と思うプレーもありました。
ポジションチェンジからスペースでボールを受けるまで良い動きを見せたユナイテッド。
フリーでボールを受けたMFマイノウ。左サイドでは2対1の数的優位が形成されている。
どう見てもゴールの可能性が高い状況ですが・・・
なぜか右サイドに行ってしまうマイノウ。
結局フリーマンを作っても、そこからのチャンスメイクがままならないという変わらぬ姿。
開幕時から成長していないと言わざるおえない。
カウンターの現状:相変わらずきごちない
79:45ごろからのプレー(動画設定がうまくいってません。ご自分で動画時間1時間23分15秒に合わせてください)。
自陣でボールを奪いカウンターを開始しますが、やはり下手です。
スピードに定評があるラッシュフォードがボールを持っている。
ラッシュフォードはまず中央にいる味方に預けます。
ここで問題なのが、パスを出した後にゆったり走っていること。
スピードがあるラッシュフォードが走っておけば、3対3の数的同数でカウンターになっていたはず。
個人能力も上なので、大きなチャンスを作れた可能性が高かった。
そして、ゴール前でもよくわからない動き。これだけ密集しているのに中央に走り込むマクトミネイ。
もし外側に走り込んでいたら、様々な選択を持て、ゴールの可能性は高まったでしょう。
よくわからない下手な動きが重なった結果、ゴール前でグチャグチャな状況に陥り、シュートにすら行けませんでした。
ポゼッションでもそうですが、状況を分析して効果的なプレーを選択する力が全然足りていない。
あれだけ選手を取ってるのに。取りすぎてるのか?
今シーズンできること:小さくてもいいからチームの核を作る
最後に、攻撃面の問題を改善するために今シーズンできることを考えていきたいと思います。
まず言えることは、「特定のプレーが足りていないとか、特定のポジションで選手が欠けているというレベルの問題ではない」ということ。
プレースタイルがチームに浸透しているシティやアーセナル、リバプールとは問題の次元が違う。
今のユナイテッドは、そもそもチームのプレースタイルが全く出来上がっていない。
もちろんテンハグが就任してまだ2シーズン目。プレースタイルを浸透させるには時間がかかるのは当たり前。
アーセナルを優勝候補にまで成長させたアルテタも5年目。それくらい時間がかかるということです。
なので、まずは時間をかけてチームにプレースタイルを浸透させることが最優先でしょう。
スタイルを浸透させていく数年間の中で、今シーズンできることといえば、
- 得意なプレーを1つでも構築する
- 攻守バランスを崩さないポジションバランスを構築する
- スカッドの刷新準備
の3点です。
できること①:得意なプレーを1つ構築する
まず1つ目は、「1つでもいいから得意なプレーを構築する」ことです。
シティではデ・ブライネ→ハーランドの中央での連携など。
アーセナルではウーデゴールとサカの右サイドでの連携など。
レアルマドリードでは前線3人による高速カウンターなど。
強いチームというのは、得意なプレーというものが存在します。
その一方で、今のユナイテッドには得意なプレーと呼べるものがまだない。
プレースタイルの構築がまだまだなのはしょうがないが、得点を奪える効果的な方法を1つも見つけられていないのは大きな問題です。
FWホイルンド、WGガルナチョといった大きなポテンシャルを感じさせる若手もいます。
ガルナチョが得意のドリブルでサイドを崩し、スペースでブルーノがボールを受ける。
ここで大事なのが、ブルーノをフリーにするために他の選手たちが囮役として良い動きをすること。
そして、ブルーノの芸術的なパスからホイルンドが得点する。
メッシをフリーにするために動いたバルサの選手たちのように、特定の選手をフリーにする動きも大事です。
できること②:攻守バランスを崩さないポジションバランスを構築
2つ目は、「攻守バランスを崩さないポジションバランスを構築する」ことです。
これは守備面にも関係しますが、トランジションを制することは現代サッカーでは必須。
ポジションチェンジを多用すること自体は問題とは思いませんが、トランジションに悪い影響が出ることはよくない。
各選手のポジショニング(距離感も)をもっと緻密に設定するべき。
FW陣はボールの奪われ方をもっと気にするべき。
ボランチを助けるようなDF陣のポジショニングを決めるべき(ポジションチェンジした選手も)。
バランスを崩さない方法はたくさんあります。
できること③:スカッドの刷新準備
最後は「スカッドの刷新準備」です。
ニュースの真偽は知りませんが、5年後にリーグ優勝できる力をつけるなら、スカッドの刷新は不可欠でしょう。
ファーガソン退任以来ずっとチームが不安定なのは、「今シーズン優勝する」という超短期思考が原因だと思います。
シティがCLを制覇するのにかかった時間は7年。
リバプールもアーセナルもリーグの優勝候補になるまで数年単位の時間がかかっています。
結局のところ、タイトルを獲れるチームになるには、長期思考で”5年後活躍できる選手”を取って育てることが不可欠。
有望な選手を取り、数年間ともにプレーして連携力を高め、勝利できるという自信をチーム全体に植え付ける。
これはどんなチームも経験するべきことですが、ユナイテッドはとりあえず大金を使って人気株を取っていただけ。
今いる選手たちは短期思考で取ったと思われる選手が多い。もっと長期思考で移籍戦略を考えるべきです。
では、「5年後に向けてどのポジションが足りていないか?」を個人的に考えてみます(4−2−3−1で”???”が足りていない部分)。
GK:オナナ
DF:???、リサンドロ、???、ルークショー
MF:???、マウント(△)、ブルーノ(△)
FW:ガルナチョ、ホイルンド、???
スタメンで足りていないと思うのは、SB1人とCB1人、ボランチ1人、そしてWG1人。MFは全体的に微妙ですね。
個人的には、攻守両面で力不足が否めないMF陣の刷新が最優先。
時間をかけてチームの心臓となれる選手を見つけて育ててほしいですね。
サッカーのみならず、どんな物事にも長期思考が不可欠。
まとめ:【復活はいつ?】マンチェスターユナイテッドの問題:オフェンス編
今回はユナイテッドの攻撃面での問題を解説しました。
最後に攻撃面での問題を振り返りましょう。
ユナイテッドの攻撃面での問題 ・整理されていない囮役と活用役 ・各選手のチャンスメイク力の低さ ・攻守のバランスの悪さ
怪我人が多いことも一因だと思いますが、だからといって許容できるレベルの問題ではないことも事実。
確固たるスタイルを植え付けることは時間がかかるものですが、毎シーズン成長を見せることは必須です。
今シーズン終了時までに、「これがユナイテッドの攻撃だ」と胸を張って言えるプレーを1つでも構築しないとダメ。
もしそれすら叶わないようなら、現政権に見切りをつける必要もあると思います。
果たして、マンチェスターユナイテッドはどうなるのか?
今回の記事で何かご意見等ございましたら、気軽にコメントしてください。
また、守備面での課題を分析した記事もありますので、ぜひご覧ください。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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