【クラシコ】4−0を生んだ両チームの修正 2024−25 1027

サッカー分析

【前半】弱点をついたレアルと耐えたバルサ

【前半】弱点をついたレアルと耐えたバルサ

サッカー界全体が注目している今シーズン初のクラシコ。

結果は4−0のバルサの完勝。好調バルサと不調レアルという現状をしっかり反映した結果でしたね。

ただ、前半の内容はレアル優勢に見えました。それでは、まず前半のレアルを振り返ります。

バルサの特徴や課題を振り返る

バルサの特徴や課題を振り返る

前半のレアルはバルサの弱みをしっかりついて強みを消していた印象。

まずは以前書いた記事を参考に、レアルがついたバルサの弱みを見ていきます。

1つ目:脆弱なDFライン

弱み1つ目は、オフサイドで巷を賑わせているDFライン。個人的には「対応は不十分」だと思ってます。

CBはベテランのイニゴと17歳クバルシ。SBはクンデとバルデ。基本的にはこの4人で組まれます。

まずCBに関しては、1対1の対応を相手を潰せず、マークの甘さが毎試合見て取れる。

SBも守備力は不十分。良い対応も見られますが信頼できるほどではない。

そして話題になっているオフサイドトラップですが、リスク上等なこともあり何度も抜けられる。

個人的には裏に抜けられること自体は仕方ないと思いますが、その後の対応がよくない。

けっこう簡単にシュートに持ち込まれている印象。裏抜けに対するリカバリーは十分ではないと思う。

2つ目:プレスの精度とSBの負担

バルサの特徴や課題を振り返る

弱み2つ目は、プレスの精度とSBの負担です。

WGを追い込み役にしたプレスを採用している現在のバルセロナ。

FWやインサイドハーフが中央の展開を防ぎ、サイドに追い込みボールを奪取する。

ただ、まだまだ新政権が始まって日が浅いのでプレスの精度は高くない。

それと相まって、先ほど述べたSBの不十分な守備力が問題になっています。

WGが前線にプレス→チームも中央への展開を警戒→SBがサイドで孤立→そこを狙われてチャンスを創られるというプレーがよく見られますね。

好調の要因:5つのスペースの有効活用

バルサの特徴や課題を振り返る

今のバルセロナはFW-MF間、MF-DF間、DFの背後、そして両サイドと5つのスペースをすべて有効活用できます。

だからこそ相手の守備は的を絞りづらく、バルセロナは多様な攻撃を仕掛けることができます。

攻撃:サイドから始まるハイライン強襲

まずレアルの攻撃から見ていきます。もちろんレアルの狙いはバルサのサイドとハイラインです。

フォーメーションは4−4−2。中盤にベリンガム、チュアメニ、カマヴィンガ、バルデルデを揃えました。

レアルはバルサのサイドを狙いたいので、中盤の4枚はサイドに寄ってプレーする場面が多々ありましたね。

攻撃:サイドから始まるハイライン強襲
REAL MADRID 0 vs 4 FC BARCELONA | EL CLÁSICO | LALIGA 2024/25 MD11より

WG+MF2枚+SBの4枚がサイドで数的優位を作り、攻撃の起点を作っていました。

そして、数的優位で支配したサイドからバルサのハイラインを崩すプレー。

攻撃:サイドから始まるハイライン強襲
REAL MADRID 0 vs 4 FC BARCELONA | EL CLÁSICO | LALIGA 2024/25 MD11より

多少のプレッシャーは無視して、早いタイミングでスルーパスを出し、ハイラインを打ち崩す。

バルサDFラインの守備力とエムバペ+ヴィニシウスの攻撃力ならレアルに軍配が上がるはずという見込みだったでしょう。

攻撃:サイドから始まるハイライン強襲
REAL MADRID 0 vs 4 FC BARCELONA | EL CLÁSICO | LALIGA 2024/25 MD11より

ただ、レアルの願い通りにはいかず、ことごとくチャンスを外してしまった2大エースでした。

守備:危険度を減らすブロックとサイド対応

守備:危険度を減らすブロックとサイド対応
Screenshot

続いて、守備に関しては重点的に守るスペースを選び、バルサ攻撃の危険度を減らすような対応でした。

前述の5つのスペースをすべて守ることはどんなチームでも不可能。

できることは、状況に応じてどこかを重点的に守り、バルサが使えるスペースを制限し、攻撃の歯車を少しでも狂わせること。

レアルが潰したのはDFラインの背後と両サイド。今季のバルサを象徴するスペースですね。

バルサ特有のMF-DF間での間受けはある程度許容しつつ、CBは裏抜けに優先的に対応。

そして、サイドはSB+MFで対応。ヤマルに対してカマヴィンガ+メンディの2枚で対応してましたね。

もちろん残る中央からチャンスを作っていたバルサですが、フィジカル優位なレアルに苦戦していた印象。

決定機と呼べるチャンスはほとんどなかったのではなかったでしょうか?

ということで、攻守両面で狙い通りに試合を運んでいたレアルですが結果は0−0。これが大きなダメージだったことはいうまでもない。

がんばらないネコ
がんばらないネコ

エムバペの不調はかなり気になりますね・・・

【後半】4−0を生んだ修正の成否

【後半】4−0を生んだ修正の成否

前半はレアルに苦戦したバルサ。決定機を外してくれたおかげで0−0で乗り切りました。

そんな両チームは後半に修正。そして最終結果は4−0でバルサの完勝。

4−0の結果を生み出したのは、バルサの効果的な修正、そしてバルサを活性化させてしまうレアルの間違った修正です。

それでは、まずは今季レアルの課題から見ていきましょう。

レアルの課題を振り返る

レアルの課題を振り返る

後半でのバルサの修正は、レアルの弱点「前プレ or ブロック?」と「中央を使えない攻撃」、「形にならない左サイド」をつくものでした。

1つ目:「前プレ or ブロック?」

弱み1つ目は「前プレ or ブロック?」です。コンパクトな守備ができない大きな要因。

守備の基本ですが、全員が連動して動かなければ相手にスペースを与えることになり、チャンスを創られる。

現在のレアルは、ヴィニシウスとエムバペがある程度守備免除されており、ハイインテンシティのプレスはできない。

別にそれ自体は大きな問題ではないですが、2人の守備免除と他の守備が噛み合っていないことが大問題。

MFも相手DFにプレス→エムバペ+ヴィニシウスが緩いプレスを抜けられる→空いている中盤を使われるというプレーが量産されています。

2つ目:「中央を使えない攻撃」

弱み2つ目は「中央を使えない攻撃」です。起点となるようなプレーがあまりなく、どのスペースでも攻めあぐねる。

バルサが5つのスペースを活用できている一方で、今のレアルはどのスペースも使えていない。

その原因として挙げられるのは中央を使えないことです。

バルサではペドリが中心となって中央からゲームを支配し、他のスペースを活用している。

しかし、レアルではペドリのようにゲームコントロールできる選手がおらず、誰も起点になれない。

スペースを作る選手がおらず攻撃が停滞する。相手にとっては守りやすい攻撃が増えてしまっています。

つ目:「形にならない左サイド」

弱み2つ目は「形にならない左サイド」です。ヴィニシウスとエムバペがまったく噛み合わない。

ヴィニシウスという規格外のドリブラーが躍動した昨季の左サイド。

今季はエムバペが加入し、主戦場が被る2枚をどう活用するのかと開幕前から話題になりましたが、現状まったく成果が出ていない。

そもそも連携面に課題がある2人が集まったことで攻撃が完全に停滞。

他の選手も加勢しますが、火に油を注ぐ結果に。スペースがないところに人が密集し、よりスペースがなくなる始末。

機能不全といってもいい左サイドです。

攻撃:トリプルボランチでFW-MF間支配

まずバルサの攻撃面での修正を見ていきます。それはトリプルボランチでのFW-MF間の支配です。

もともとレアルの守備の性質上、カサドがFW-MF間でボールを持てていましたが、そのあとの展開はあまり良くなかった。

そこで、フリックが仕掛けたのはポゼッションをより安定させ、守備面での修正も含め試合を支配すること。

攻撃:トリプルボランチでFW-MF間支配

カサドとデヨング、そして状況に応じてペドリも降りてくるトリプルボランチで、FW-MF間でのボールを保持する時間を増やし、ポゼッションを安定させる。

前半は縦に速かった印象ですが、後半はゆっくり攻めるバルサ。それに対して、守備面での問題がより顕著にあらわれるレアル。

4−4のラインで守りますが、やはり人数不足に陥りボールを奪えないレアルは徐々に劣勢に。

そして、バルサをより活性化させたのは、レアルの守備面での修正「CBの間受け潰し」でした。

攻撃:トリプルボランチでFW-MF間支配
REAL MADRID 0 vs 4 FC BARCELONA | EL CLÁSICO | LALIGA 2024/25 MD11より

前半は背後を気にしていた印象のCBが後半からはバルサMFを気にするように。

そうなると当然空くのは背後。そして、フリーになっているMFたちはパスを出せる状況。

正直前線のプレスがうまくいっていないのに、あれだけ無防備にプレスに行かせる修正は間違いと言わざる負えない。

攻撃:トリプルボランチでFW-MF間支配
REAL MADRID 0 vs 4 FC BARCELONA | EL CLÁSICO | LALIGA 2024/25 MD11より

1失点目はまさにバルサとレアルの修正がうまく噛み合ってしまった場面です。レアルが修正しなければ失点はなかったはず。

そして2失点目もデヨングがFW-MF間でフリーになってからサイドに展開。そして最後はレヴィ。

もちろんCB陣のマークがひどかったこともありますが、立て続けに2点を取ったバルサが完全に主導権を握る。

攻撃:トリプルボランチでFW-MF間支配
REAL MADRID 0 vs 4 FC BARCELONA | EL CLÁSICO | LALIGA 2024/25 MD11より

4失点目もレアルの弱点をつくもの。緩いプレスを抜けて裏へのパス。バスケスの対応も悪い。プレスの出来を見れば、裏にくることはわかるはず。

守備:レアルの安定性を奪ったハイプレス

続いて守備面での修正を見ていきましょう。内容は「レアル攻撃を逆手に取った攻撃的なプレス」です。

前半はいつも通りのプレスをしていたバルセロナ。しかし、それがレアルに安定感を与えていました。

GKを使ってサイドに展開され、レアルに余裕を持ってプレーをさせてしまいましたね。

後半からはプレスを変更し、レアルGKやCBに果敢にプレスし、後方で安定させないようにしていました。

守備:レアルの安定性を奪ったハイプレス
Screenshot

このプレス変更が効果的だったのは、エムバペたちがボールを持つ回数が増える→連携がうまくいかない→レアル攻撃が空回る→バルサがボールを握るという流れを生み出したこと。

もちろん前線につながれることが増えるので上動画のような場面は増えます。

しかし、今のレアルのFW陣は連携がままならない。そうなるとチャンスメイクがうまくいかず空回りし出す。

単発的な攻撃が増え、必然的にバルサがボールを握り、攻撃面での修正も相まって攻守両面で試合を支配できる。

普段とは違うプレスを使い、レアルの攻撃を機能不全に陥らせたフリックバルサのうまさと大胆さは素晴らしかったですね。

がんばらないネコ
がんばらないネコ

修正力もあるのか?フリックバルサは。

【次戦展望】真逆の展開になり得る

【次戦展望】真逆の展開になり得る
https://www.flashscore.co.jp/match/4zlpJdvq/#/match-summary/match-statistics/0 

最後に試合統括と次戦展望を書いていきたいと思います。

4−0という世界に衝撃を与える結果に終わった今回の1戦。

しかし、個人的には両チームの現状を見れば大いにありえた結果だと思う。

そしてなんといっても、前半の内容を見れば「次戦では真逆の結果になり得る」と思う試合でもありました。

次戦では両チームは何をするべきなのか?

では、まずは今回の試合統括から始めましょう。

試合統括:試合の流れを掴む重要性

今回の試合を見ると、やはり試合の流れを掴むことが重要なのだと考えさせられます。

前半バルサより決定機が多かったレアルは無得点に終わった。

後半修正によりうまく回り出したバルサは3分間で2得点。

もしレアルが前半に得点し後半1−0からのスタートだったなら、両チームの修正は異なる内容になっていたでしょう。

レアルのCBは前に出ることなくより安定した守備を選んでいたかもしれません。

バルサのプレスは変更されず、レアルの攻撃は空回りしなかったかもしれません。

もしプレスが同じように変更されても、勝利に焦るバルサの裏をついて追加点を奪っていたかもしれません。

やはり決めるべきゴールを決めたかどうかも4−0という大差を生んだ要因と言えますね。

なので、今回の1戦は思った以上に拮抗したものだったともいえる。

だからこそ次戦は真逆の結果になり得ると考えます。

次戦までには両チームともより成熟し、一方で様々な課題もより表面化しているはず。どっちが試合の流れを掴むプレーできるのかに注目です。

それでは、次戦における両チームの注目ポイントを最後に書いていきたいと思います。

レアル:前線の質と安定重視の守備

まずはレアルマドリード。なんといっても前線の連携が改善されれば得点を奪えるはずです。

今回の試合でもチャンスはありましたし、連携が良ければチャンスになっていた場面も多数。

もちろんレアルの攻撃面が改善されれば、それを見越してバルサも今回のような守備はしないはず。

そうなれば、試合はより拮抗したものになり、4−0という大差は生まれにくい。

そして、守備面においては前線の守備免除はどうにもならないので、4−4のラインでより安定した対応をするべき。

今回のように中途半端に攻撃的なプレスをしていれば、次戦も大量失点覚悟です。

2人の守備免除は現代サッカーでは見ない。しかし、ハイインテンシティ守備は期待できない。

だからこそ、GKを含む9枚でバルサ攻撃の要所を潰す守備に徹する。

次戦では、攻撃陣の奮闘を見越して1、2失点は覚悟し、試合の流れを掴んで勝利を掴む。

試合の要所を掴み最終的には勝利する。それがレアルマドリードです。

バルサ:ハイラインの成否と得点源

続いてはバルサ。まずはハイラインの使い所の見極めが重要になってくるでしょう。

今のところ結果としてはうまくいっているハイラインですが、個人的にはシーズンが進むにつれて危険度が増してくると思います。

レアルも次戦までには攻略法を考えてくるでしょうし、今回のように大量のオフサイドは発生しにくい。

そうなると、同じようなハイラインを使った場合は大量失点しかねない。

だからこそ、オフサイドを取れる場面と取れない場面をうまく予測し、より効果的な運用が必要になってくるはず。

裏抜けに対してリカバリーしやすい場面を増やすことができれば、レアルの攻撃陣に対してうまく対処できるでしょう。

そして、攻撃面に関しては得点源をどのように維持できるかが鍵ですね。

レヴァンドフスキに関しては、過去の実績から見てもこのまま得点源となってくれるはず。

一方で、ハフィーヤとヤマルに関してはどこかで得点は止まると思う。

ゴールはケチャップのようなものとたまにいいますが、たくさん点を取れる時期が存在する。

個人的にはハフィーヤとヤマルは今それを経験している時期だと感じます。

そもそもシーズン通してゴールを奪い続け、30、40ゴールくらい取れる選手なんて稀な存在ですからね。

だからこそ、インサイドハーフやセットプレーなど違う形でゴールを奪う必要が出てくる。

レヴァンドフスキだけだと今回のように試合の流れは掴みにくく、逆にレアルに流れを渡すかもしれません。

選手層的にはMF陣もFW陣も充実している印象なので、しっかり取り組んでいってほしいですね。

がんばらないネコ
がんばらないネコ

次は5月。両チームは別人になってるでしょうね

まとめ:【クラシコ】4−0を生んだ両チームの修正 2024−25 1027

今回の記事では、2024−25シーズン初のクラシコを解説しました。

過去のクラシコを見ても好調なバルサ相手にレアルが後手に回れば大差がつく印象なので、今回も同じ流れでしたね。

ただシーズンはまだまだ長い。来年5月のクラシコまで6ヶ月ありますからね。

次戦のクラシコではまったく違う展開になっているかもしれません。

それまで、両チームの動向に注目していきましょう!!

また、バルセロナとレアルマドリードの現状を分析した記事もありますので、ぜひご覧ください。

・10月時点でのバルセロナ

・10月時点でのレアルマドリード

最後までお読みいただきありがとうございました。

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