どうも、がんばらないネコです。Twitterで活動しているサッカー分析ブロガーです。
今回はバルセロナを粉砕したジローナから、今シーズンのバルサの問題を見ていきましょう。
この記事は、以下の内容をお送りします。
この記事は次のような人にオススメです!
- 今季バルサの問題点
- ジローナのバルサ対策
- バルサがやるべきこと
昨季順調な成長を見せたバルセロナですが、今季は退化している印象を抱かせる戦いぶり。
今回の記事はバルサの問題点、ジローナの見事な対策、バルサが取り組むべきことを詳しく解説していきます。
今回の記事で読めば、「なぜバルサは負けたのか?」や「バルサが抱えるジレンマ」などを知れますよ!
サッカーが好きな方や興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
それでは、どうぞ!
バルセロナの問題を見てみる(12月時点)
昨シーズン左WGにガビを起用するなど、チームのバランスをうまく保ちリーグ制覇を成し遂げたシャビ・バルセロナ。
しかし、今季のバルセロナは数多くの問題を抱え、現在リーグ戦は4位で、首位突破のCLでも戦いぶりは良くない印象。
この章では、今季のバルサの問題点を解説していきます。
参考にしたのは、直近のラージョ戦、アトレティコ戦、ポルト戦です。
戦績は2勝1引き分けですが、問題がかなり出ていた試合なので大いに参考になりましたね。
では、問題点を見ていきましょう。
攻撃面①:前線の質が低い(アイディア、精度、連携)
まず攻撃面1つ目は、「前線の質が低い」ことです。
レヴァンドフスキやフェリックスといった才能豊かな選手はもちろんいます。
しかし、どの選手もその才能を十分発揮しているとは思えず、これに加えて、自身の結果を優先しているように感じますね。
結果として、攻撃のアイディアや精度、連携の多さなど、良い攻撃に必要な要素がかなり欠けている印象。
攻撃面②:サイドの攻撃力が低い
攻撃面2つ目は、「サイドの攻撃力が低い」ことです。
昨季のバルセロナで1番の武器となっていたのは、PSGに移籍したデンベレの右サイドの突破です。
1対2の場面でも圧倒的なドリブルスキルで破壊でき、右サイドの支配者となっていました。
しかし、今季スタート直前に移籍。そして代役を獲得できずにシーズンが進んでいっています。
結果として、1番の武器を失い、さらに前線の力不足によって中央の攻撃も停滞するという最悪の事態に陥っています。
攻撃面③:得点力の低下
攻撃面サイドの問題は、「得点力の低下」です。
これは前述した2つの問題の結果であり、大事な場面や流れに乗っている場面で得点があまり取れていない印象。
大事な場面や流れに乗っている場面での得点は強豪にとっては必須。
困難な相手に勝つにはそのような得点が必要ですが、今のバルセロナにはない。
守備面①:MFの守備力低下(ギュンドアン起用の弊害)
守備面1つ目は、「MFの守備力低下」です。
昨季は、ブスケッツとデヨング、ペドリ、そして左WG起用のガビの4人で中盤の攻守のバランスを高めていました。
しかし、ブスケッツが去った今、攻守両面でブスケッツの代わりとなれる選手がいない。
新加入ロメウは開幕当初は良かったですが、徐々にパフォーマンスを落とし、今ではベンチ要員に。
代わりにギュンドアンを起用し始めましたが、攻撃面では合格、守備面では不合格といった印象。
ただ、これはギュンドアンの問題ではなく、組み立て力の問題を解決するための弊害です。
現状バルセロナのボランチを務められるのはギュンドアンしかいません。デヨングではできない。
ギュンドアンを起用したおかげで組み立てはうまくいっていますし、アトレティコ戦では勝因の1つとなったと言えます。
しかし、ギュンドアンはあくまでセンターハーフ。ボランチとしての守備力は期待できない。
しかも、相方がデヨングとペドリという小柄な選手、偽CBなどの採用もない(というかできない)ので、インテンシティが低いのは明らか。
どの試合でも中盤の守備力が問題となり、相手の攻撃を簡単に許す場面が散見されますね。
守備面②:プレスが噛み合わない
守備面2つ目は、「プレスが噛み合わないこと」です。
FW、MF、DFがバラバラに動いている印象で、相手にスペースを簡単に与えています。
昨季以上にFW陣のプレスが空回り気味で、「どのスペースにどのようにして相手を追い込むか?」がまったくわかりません。
また、MF陣はマンマーク気味で守備をするので、相手の動きによって中盤にスペースを作りがち。
そして、中盤のスペースを使おうとしている相手に対して、DFラインが積極的にプレスに行く回数も少ない。
端的に言えば、「どのようにボールを奪うのか?」を全員が共有できずにプレスをし続けているのが現状ですね。
守備面③:全体のインテンシティが低い
守備面3つ目は、「全体のインテンシティが低い」ことです。
シャビ就任前のバルセロナは、インテンシティに大きな問題を抱えており、バイエルンに8−2で負ける悲劇もありました。
現代サッカーでは欠かせないインテンシティを改善しようとしたシャビ。そして昨季はある程度成功したと言えるでしょう。
しかし、今季は時間が進むにつれインテンシティが低下し、簡単に突破される場面がかなりあります。
正直、「勝つ気があるのか?」とか「怠慢だろ」と思うレベルの守備も見られます。
見ているファンにも失礼なレベル。
守備面④:CBの対応が悪い
守備面4つ目は、「CBの対応が悪い」ことです。
これは昨季から引き続きですが、個人的にはアラウホしか信頼できるCBがいない。
クリステンセンもクンデもイニゴも、そのほかの選手もビッグクラブのCBとしては不十分。
相手が強くなればなるほどCBの仕事は増えますし、その仕事をしっかりこなさなければ失点してしまいます。
昨季のシティや過去の素晴らしいチームには、優れたCBが必ずいます。
しかし、今のバルサにはいない。対人守備や裏抜けへの対応、空中戦でもミスが多い。
正直裏抜けへの対応はお粗末なものが多い。
真の強豪になるには、優秀なCBの獲得をしたいですが、財政難なので難しい・・・
守備面⑤:失点の仕方が悪い
守備面最後の問題は、「失点の仕方が悪い」ことです。
試合で勝つには、どのタイミングで、どのように失点するのかが大事です。
試合開始早々や自チームが流れに乗っている時など、失点すると流れを相手に渡してしまうタイミングがあります。
得点直後や試合終盤もタイミングとして良くないですね。
また、ミスからの失点も相手に流れを渡す可能性が高い。
今季のバルセロナは、ここまで紹介した守備面の問題に起因して、上記のようなタイミングややられ方での失点が多い。
クラシコでの敗戦は今季のバルサを象徴しているような失点から負けてましたね。
ジローナのバルサ対策
バルセロナを4得点で粉砕したジローナ。
この結果は必然であり、上記にあるバルサの問題点を見事に突いていたからです。
ここではジローナが行ったバルサ対策を解説していきたいと思います。
攻撃①:巧みなポジションチェンジで緩いプレスを破壊
まずジローナが突いたのは、バルセロナの空回りするプレスです。
CBやSBまでもがポジションチェンジを行い、ことごとくバルセロナのプレスを掻い潜ってました。
例えば8分40秒ごろのプレー。
ペドリをトップ下に置いた4−2−3−1でプレスを仕掛けるバルサに対して、CBを使って攻略を図るジローナ。
CBがやや高い位置を取って、CHと2人でペドリを攻略。
そこを起点にして逆サイドへの展開を図るジローナに対して、バルセロナの対応はありませんでした。
パスを受けようとするジローナCHに、WGフェリックスもCHギュンドアンもプレスに行かず、簡単に展開される。
ここでもう1つ問題なのは、デヨングの役割です。
デヨングがペドリを支援すればジローナは数的優位を作れない。
またはデヨングが後方にいるCHをマークすれば、ギュンドアンはパスを受けるCHに対応できたはず。
デヨングがペドリかギュンドアンどちらかのサポートを行なっていれば、上記のような展開はされなかったでしょう。
続いての例を見ていきます。
22分22秒ごろのプレー。
まずCB間のパス回しに対して、FWレヴァンドフスキがよくわからない対応。何を防ごうとしたのか?
そして、マンマーク気味に守備するデヨングとギュンドアンがかなり引き離されて、中盤に大きなスペース。
最後に、スペースにパスを受けにいったジローナFWに対して、CBアラウホが積極についていかず。
前線のプレスは意味なく、MF陣はスペースを与え、DF陣はスペースを潰さず、ジローナに超簡単にパスを通される。
以上のように、空回りするプレスを完全に攻略し、試合を支配したジローナでした。
攻撃②:ロングボールでCBの弱点を突く
続いて、ジローナが突いたのは「力不足のCB」です。
まず1失点目を振り返ってみましょう。
バルサの緩いプレスを突破しゴールに向かうジローナMF。プレスが来ないのでロングボールで裏を狙う。
このロングボールに対して、バルサCBクリステンセンはカットを狙います。
まずこのような体勢(状況)に陥っているのが問題。
CBは3人残っていたので、裏に抜けようとする選手を普通にマークすれば問題ない。なぜカットを狙ったのか?
体勢も悪い中でのプレーだったのでカットは失敗し、完全に裏に抜けられて失点。
こりゃダメだ。
続いて、3失点目を振り返りましょう。
GKからのロングボール。ジローナのポジションチェンジで陣形を崩されているバルセロナ。
空中戦になるが、ジローナFWが競り勝つ。仕方ない部分もある。
このボールを受けたジローナFWがゴールに向かう。それに対してCBクンデが対応するが・・・
股抜きで突破される。もっと上手く対応してほしい。
攻撃③:低いインテンシティを強引に突破
次に攻撃面で突いたのは、低いインテンシティ。
2失点目で完全に露呈してました。
まずプレスを掻い潜られサイドで数的不利に陥る。この状況になるのは仕方ないとしても、その後の対応がお粗末すぎる。
かなりのピンチなのに誰もダッシュで帰陣してこない・・・
当然のことながら、ジローナはフリーでゴールに向かう。
この時点でも誰も帰陣せず。CBも困惑気味に両手を広げている。
対応が完全に遅れて、良い形でジローナMFにエリア内でシュートを放たれる。
そして、当然のことながら失点。
こんな守備してるから勝てない。
攻撃④:気の緩みを逃さず攻める
最後に攻撃面で突いたのは、「気が緩むタイミング」です。
4失点目はまさにバルセロナの気が緩んだ時でした。
レヴァンドフスキが同点にできた決定機を外した直後。
ジローナのセットプレーの中、CHが抜け出そうとしてますが、バルセロナは誰もマークしてません。
マークしないなんて、マジで意味がわからない。
パスが通り、バルセロナは急いで対応。急いでいるために混乱気味で対応している。
2対3の数的優位での対応でしたが、余裕で突破されるバルセロナ。マークしようよ・・・
簡単にクロスを上げられて、大外でフリーになっている選手へ高精度のパスが通り・・・
試合終盤にゴールを入れられました。
本当に不甲斐ない守備ですね。
守備①:中央で数的優位を保つ
まず守備面で突いていたのは、サイドの攻撃力です。
攻撃力の低いサイドに誘導するために、中央で必ず数的優位を作るように対応。
まず5−3−2のようなシステムで陣形を組んでいました。
FWとCH1人がデヨングとギュンドアンをマークし、パスの供給を阻害。
そして、CH3人が縦パスをかなり警戒してポジショニングを逐一修正。
そして、中盤にフリーマンを作られそうになった場合は、CBが果敢に前に出て潰しに行く。
バルサとは真逆で、中央にスペースを作らせないことを目的に、すべての選手が連携して動いていましたね。
守備②:サイド攻撃には人数をかけない
先ほどの対策を続きで、サイドへ展開されても人数をかけて対応しないようにしてましたね。
中央を防がれたバルセロナは、当然サイドに展開します。
バルセロナとしては、ジローナの選手をサイドに追いやり中央を使いたいと思っていたはずです。
しかし、ジローナは2人でしか対応してきませんでした。
これはやはりバルサのサイド攻撃は迫力に欠けることをわかっていたからでしょう。
この試合でもなかなかサイドを崩せることは少なく、ジローナの思い通りになっていました。
守備③:質の低い前線に賭ける
最後に守備面で突いたのは、質の低い前線に賭けることです。
ギュンドアンのボランチ起用により組み立てが改善し、うまくゴール前に攻めることができているバルセロナ。
しかし、良い形で前線にボールが渡ることがあっても、それをゴールに繋げる能力がやはり欠けている。
上のように良い形でゴールに迫ることはあっても、その後の判断が悪いことが多い。
この試合でも何度もチャンスはあったのに、自己中と思えるプレーが多く、ことごとくチャンスを潰していましたね。
バルサはどうするべきか?何ができるか?
最後に、今シーズンのバルセロナがどうするべきかを考えていきます。
数多くの問題、しかもなかなか重たい問題を抱えている今のバルセロナ。
良い選手がいることは事実ですが、サッカーはチームスポーツです。
お互いがお互いを補い合い、各選手が才能を発揮できるような関係あってこそ。
ここでは、今のメンツでどこまでできるのか?を探っていきたいと思います。
ベストメンバーと問題点
まず個人的なベストメンバーを選んでみました。
GK:テア・シュテーゲン
DF:クンデ、アラウホ、クリステンセン、カンセロ
MF:デヨング、ギュンドアン、ペドリ
FW:フェリックス、レヴァンドフスキ、ラフィーヤ
このメンツでの1番の問題は、中盤の守備力が足りないことです。
先述したように新加入ロメウがうまく行かず、ブスケッツの代わりがいない現状。
組み立て力を改善するためにギュンドアンを起用し、攻撃面に関しては成功してると言えるでしょう。
その一方で、ボランチ適性ではないギュンドアンは守備面で穴になりがちです。
組み立て力を維持しながら守備力を上げるには、他のポジションの選手を使うしかありません。
マンチェスターシティのジョーンズのような偽CB、アーセナルのジンチェンコの偽SBなど、中盤を強化する方法は多々あります。
しかし、現状バルセロナのSBやCBの中で、偽SBや偽CBができそうな選手がおらず、中盤強化ができない。
カンセロはポジショニングや判断力に課題があり、中盤に置いておくのは怖い。
CB陣は組み立て能力が高くないため、プレッシャーの強い中盤で起用するのは怖い。
また、昨季あったガビの偽WGのような「MFをWGで起用する方法」もあるが、デンベレのようなドリブラーありきの戦略なのでできない。
フェリックスやフェランはドリブラーではないですし、ラフィーヤも突破力に欠ける。
唯一ドリブラーと呼べるヤマルはまだまだ若くスタメンの力は持っていない。
結果として、中盤の守備力強化をできる方法がなく、チームバランスが崩れてしまうのが現状と言えます。
この現状を少しでも打破するために何をやるべきか?
最後に、バルセロナが何に取り組むべきなのかを考えていきたいと思います。
優先順位①:チーム全体のインテンシティを改善
まず最優先で取り組むべきなのは、チーム全体のインテンシティを改善することです。
ジローナ戦であった怠慢と思われる守備を紹介します。
1失点目直前のプレー。バルサのロングボールを回収したジローナ。
それに対して、WGフェリックスがプレスに行く。
キックフェイントでフェリックスのプレスを剥がそうとするジローナCB。
それに対したフェリックスは・・・
衝撃の棒立ちを披露。結果的に1失点目につながるロングパスを出されてしまった。
上のような怠慢守備が多くの試合でかなりの回数見られるので、本当に大きな問題ですね。
チームバランス以前に、上のような怠慢守備を改善しないとタイトル獲得なんか夢のまた夢。
優先順位②:前線のプレスを改善(追い込み方を徹底する)
2つ目に改善するべきは、前線のプレスの改善。追い込み方をもっと徹底することです。
FWとWGのプレスやポジショニングがよくわからないことが多く、ペドリが数的不利で苦戦している印象。
ただでさえ中盤の守備力が足りない中で、前線の追い込みが良くないため、縦パスを通されやすい状況です。
FWはもっとプレスバックするべきですし、WGは思い切って中央に絞ることも必要。
相手DFラインからのパス出しをもっと制限するために、思い切った守備をしてほしいですね。
優先順位③:DFラインの積極的なプレス
3つ目は「DFラインの積極的なプレス」です。
前述したように、中盤にいる相手にDF陣が積極的にプレスすることが少ないです。
ただ、中盤の守備力を強化するためにはDF陣のプレスもかなり重要。
ジローナのように巧みな組み立てを行うチームに対しては、積極的に前に出て相手を潰す思い切りの良さを出してほしい。
弊害として裏を狙われやすくなりますが、アラウホの守備力を頼りにするしかないです。
現状のような、「前にもいかない+裏も取られる」というどっちつかずな状況よりもマシです。
優先順位④:自己中プレーをやめさせる
最後に改善するべきは、「自己中プレーをやめさせる」ことです。
今季の試合を見ていると、選手たちは連携ではなく、自身のゴールを優先している印象が大いにあります。
上のような自己中と思われるプレーが多発しているバルセロナ。
自己中プレーはゴール前だけでなく、組み立て時にも意味のわからないドリブルや動きをしている選手も多い。
バルセロナはポジショナルプレーのチームであり、言い換えれば組織でサッカーをするチームです。
シャビが会見で言っていたように、ポジショナルプレーを取り戻すために自己中プレーをやめなければいけません。
また、ゴール前でも連携を高めるために、動きを増やしパスを増やすべきです。
「サッカーはチームでする」という常識を思い出してほしい。
まとめ
今回はバルセロナの問題点や課題を解説しました。
最後にバルセロナの問題を振り返りましょう。
バルセロナの問題 ・組み立て力と守備力のトレードオフ ・前線の力不足 ・不安定なDFライン
デンベレとブスケッツの退団はかなり痛かったといえる現状ですね。
人材の変化は止めることはできないですが、チームバランスを考慮した人材獲得は必須。
冬の移籍期間でボランチなど必要な人材を獲得できるかが、今シーズンの鍵を握りそうです。
チームに適切なバランスを見出してくれる人材が来てくれることを切に願います。
今回の記事で何かご意見等ございましたら、気軽にコメントしてください。
また、以前のバルセロナの現状を分析した記事もありますので、ぜひご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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