【ポジショナプレーの戦い⑤】ゾーンディフェンスを進化させる
前回の記事では、個々の高い能力を基礎にしたゾーン+マンマークの変則的ディフェンスを用いて、バルセロナを機能不全に陥らせたバイエルンミュンヘンをご紹介しました。
まさにパーフェクトゲームといった試合展開で、結果的に4−0のバイエルン圧勝で終わっています。ただ、前回も述べたように、バイエルンが行った守備はバイエルンのような超一流選手が集まることが必要です。
下位や中堅チームのように個々の能力があまり高くない選手等で構成される場合、優れた守備戦術を用いても、バルセロナの高い個の力の前に敗れることがほとんどです。やはりそのようなチームがバルセロナとやり合うためには、ゾーンディフェンスを基礎とするしかありません。
ただ、普通のゾーンディフェンスでは絶対守れないことは、第1回目の記事でご説明した通りです。バルセロナのポジショナルプレーに対して効果的な守備を行えるようなゾーンディフェンスに進化させることが必須です。
そこで今回取り上げるのは、バルセロナに対して進化させたゾーンディフェンスを用いて、リーガエスパニョーラのタイトルを勝ち取った2013−14のアトレティコマドリードの守備をご紹介したいと思います。
4−6−0の鉄壁ゾーンディフェンス
アトレティコマドリードはシメオネ監督のもとで急成長したチームです。非常に高いインテンシティをチームに植え付け、数々のチームを苦しめています。
特に2013−14シーズンはシメオネ監督の仕事が身を結んだシーズン。リーガエスパニョーラを制し、CL決勝まで登り詰めました。
そんなシメオネ監督が用いていたのが、4−6−0のゾーンディフェンスです。従来のゾーンディフェンスでは、FWはあまり守備に参加せず、カウンター要員として前線に残るのが一般的でした。
FWラインは相手CB(センターバック)に対応し、MFラインは相手CH(センターハーフ)やSB(サイドバック)と対峙するような構図になります。このような従来のゾーンディフェンスは、多くのゾーンの隙間を生み出し、ポジショナルプレーの餌食になったということは第1回の記事に書きました。
これに対して、アトレティコマドリードはより圧縮させたゾーンディフェンスを用意しました。
限りなくゾーンの隙間をなくすために、FW2枚も低い位置にポジショニングし、中央を完全に封鎖します。相手チームの特徴によりますが、バルセロナのような中央突破主体のチーム相手にはこのような非常にコンパクトな守備陣を中央に敷きます。実際の映像でも確認しましょう。
FW2人が非常に低い位置にいますね。イニエスタやブスケッツの前にFWがいます。レアルマドリードやバイエルンも変則的な守備を通してFWが低い位置を取ることがありましたが、純粋なゾーンディフェンスとして低い位置を取ることはなかったです。これがアトレティコマドリード最大の特徴であり、バルセロナを含め名だたる強豪を苦しめた要因です。
最後は根性
サッカーで意外と知られていないことで、「90分間走り続けるのは不可能」があります。どんなチームもスタミナをうまく管理してプレーしないと、終盤にかけてバテて守備が弱くなり負けることが多々あります。
以前ドルトムントを率いていたクロップ監督が、ブンデスリーガで圧倒していたのにCLでは結果を残せない時期がありました。そのことに関してクロップはこのように述べていたようです。「私たちは走り過ぎていた。走り過ぎた故に、終盤にバテて負けていた。」
クロップ監督が言うように、90分間元気に走り続けるのは不可能です。相手が強豪であり、自チームの選手層が薄い場合、最後に残された策は「根性で走り切る」です。試合開始早々のように元気に走ることはできませんが、根性出して少しでももっと走る。この姿勢をいかに試合終了まで保てるかが大事です。
その点に関してはアトレティコマドリードは他のチームの追随を許さないレベルでした。CLでは惜しくも後半ロスタイムに同点にされてましたが、当時最強と言っても過言ではなかったレアルマドリード相手に90分間走り切りました。今回のバルセロナ戦でもそれと同じく90分間走り切り、リーガエスパニョーラのタイトルを勝ち取りました。
言葉や画像で説明するのはかなり難しいので、実際の試合を見ていただきたいですね。感動するレベルです。4−6−0のゾーンディフェンスと並々ならぬ根性を武器にバルセロナを倒したアトレティコマドリード。では、具体的にどのようにバルセロナを倒したのかを見ていきましょう。
アトレティコの守備
アトレティコマドリードが用意した守備は、「4−6−0」と「サイドで潰す」、「サイドチェンジを遅らせる」の3つです。レアルマドリードもバイエルンとコンセプトとしては同じですが、アトレティコは純粋なゾーンディフェンスで実践していました。
なので、下位チームや中堅チームにとってかなり参考になる戦い方になってます。現在の各欧州チームの下部組織の試合でも、4−6−0を使っているチームもありますし、Aチームでも強豪相手に使用しているチームをよく見ます。レアルマドリードやバイエルンと違い、並の選手でいかにバルセロナを倒すのか、1つずつ見ていきましょう。
4−6−0
1つ目は、4−6−0のゾーンディフェンスです。冒頭でも少し紹介しましたが、相手CH(センターハーフ)の位置までFWを下げた形をとるゾーンディフェンスです。
この場面ではイニエスタが左サイドでボールを持っています。イニエスタに対応しているのがFWコスタです。バルセロナとしては、相手MFラインのいずれかの選手を誘き出してゾーンの隙間を広げたいですが、FWがプレスにくるのでそれができません。右サイドではどうでしょう?
左サイドからの展開。CHセスクがボールを持っています。プレスに行くのはFWビジャ。右サイドでも同様に、FWが最初のプレス者として仕事をしていますね。
ただ、ボール回しやトラディションなどでFW1人剥がされた場合があります。その時の対応を見ていきましょう。
トラディションからメッシが右サイドでボール保持。FWがプレスに行けていない場面。注目するのはメッシに対してプレスをしようとしているのがSHコケ。普通ならCHが対応し、SHはSBのマークをするはずですが、アトレティコはSHが極端に中に絞り中央を完全に封鎖しつつ、ボールをバルセロナの弱みであるサイドに誘導しているのがわかります。続きを見ていきましょう。
SHコケのプレスを剥がしたメッシ。SHコケのポジションに合わせて各自ポジションを取るアトレティコに対して、ゾーンの隙間でボールを受けようとするイニエスタが中央で確認できます。
それに対して、FWが下がってメッシにプレス。そして、イニエスタに対しては逆サイドのSHアルダが極端に絞り対応。結局メッシは中央をあきらめサイドにボールを渡します。
チーム全体が中央に集結しているのが確認できましたね。サイドを捨て中央突破をなんとしても止めることが、バルセロナとやり合う上で必須です。レアルマドリードもバイエルンもそれをやってましたね。
ただ、中央にかなり集結しているので、サイドに展開されると1対1など危険な状況になります。そこはDFラインのフィジカルを信じるしかないです。危ないシーンもありましたが1失点で食い止めました。
サイドで潰す
今回のアトレティコは、ボール奪取をサイドで行っていました。やはりバルセロナ相手に中央でボールを取りに行くのは穴を空ける危険性があるので、中央では受け身でボール奪取を狙います。
一方サイド攻撃はそこまで強くないので、サイドにボールを誘導した後、高いインテンシティを用いた囲い込み→ボール奪取が頻繁に見受けられました。一連のプレーを見ていきましょう。
CBピケがドリブルで前進している場面。
SBのアウベスにパスが出されます。この場面ではSHコケがアウベスに対応。またFWコスタがピケへのパスコースを制限するようなポジショニングをしています。そしてセスクに対してはCHメンデスがマーク。この守備に対して、WG(ウイング)サンチェスへのパスを選択。
SBルイスがパスカットを行います。
ボール奪取完了です。このようにサイドにボールが出た場合、サイドから逃さないように全員がポジショニングとマークを行っているのが印象的でした。
ただ、バルセロナのサイド攻撃も下位や中堅チームにとっては毎回止めるものではないので、そこはチーム全体としての粘り強い組織的な対応が必要になります。一連のプレーを見ていきましょう。
セスクが右サイドでボール保持。サイドチェンジからの攻撃のためFWのプレスが間に合っていません。なので、SHコケがSBアウベスを気にしながら軽くプレスしにいきます。
コケを引き出せたところでアウベスにパス。SBルイスがすぐさまアウベスにプレスをかけます。それに対してWGサンチェスがゾーンの隙間にポジショニングします。
アトレティコもすぐさま右サイドに移動し、サンチェスをマークします。そして、SHコケとFWビジャもしっかり下がってきているのが確認できます。
ゾーンの隙間にいるサンチェスにパス。SHコケが一瞬でプレスに。ただ、サンチェスもドリブルスキルが非常に高いので、簡単には奪えません。
ボールキープの結果、アトレティコ守備陣を1枚剥がせました。それを利用して攻めていきます。
ゾーンの隙間にいたCHセスクにパス。セスクに対してはFWビジャが下がって対応しています。ここでサンチェスのボールキープによって外へ釣り出されたSBルイスの裏のスペースを狙ってアウベスが走り出していますが、ルイスのカバーが間に合っていません。
しかし、そこはインテンシティの高いアトレティコ。CBゴディンがしっかりカバーしクリアします。
以上のように、バルセロナがサイドで崩せそうな場面はありましたが、コンパクトで組織的にしっかりしているアトレティコによって、ことごとくチャンスを潰されていましたね。
チーム全体の対応をしっかり把握し、どこに穴ができたか、それに対してどうすればいいのかを、各選手がしっかりと理解していることがこの一連のプレーでわかりますね。
サイドチェンジを遅らせる
前回の記事でも説明しましたが、バルセロナの攻撃を止めるためには中央封鎖だけでなく、素早いサイドチェンジを止める必要があります。
バイエルンはその点に関してもパーフェクトな対応でしたが、アトレティコもやり方は違うにせよしっかりやっていました。一連のプレーを見ていきましょう。
右サイドでボールを保持しています。FWも右サイドの低い位置で守備していますね。ただ、バルセロナはサイドチェンジするためにロングボールでCBに繋ぎます。
CBマスチェラーノがパスを受けます。CBを経由しているため、アトレティコの守備陣が急がず左サイドに移動しています。
SBアドリアーノにボールが渡りますが、すでにSHが対応済みです。素早いサイドチェンジを防いだ場面でした。ただ、バルセロナも巧みなポジショニングなどで素早いサイドチェンジを成功させる場面もありました。
SBアウベスが右サイドタッチライン側でボールを保持しています。アトレティコはFWを含め右サイドに集結し、右サイドでボール奪取を狙います。
メッシがボールを貰いにきてボールを持ちます。FWビジャもメッシを警戒して、横にいるセスクではなく、中央のスペースを意識したポジショニングをしています。
そのFWのポジショニングを利用して、フリーになったセスクが素早く逆サイドに展開します。
逆サイドでイニエスタがボールを持ちます。アトレティコは素早く左サイドに移動します。特にSHのアルダはダッシュ。
ダッシュのおかげでサイド攻撃に間に合いました。先ほどより高い位置でボールを保持されていますが、FWも戻ってきており、数的優位を作れているので、サイド攻撃を防ぐことができる状況です。
これまで説明してきたように、アトレティコ守備は中央封鎖→片方のサイドで潰す→失敗してもサイドチェンジを遅らせる→失敗したらダッシュで対応するという流れでした。このような守備が機能した結果、前半はバルセロナに自由をほとんど与えませんでした。
次に、このアトレティコの守備に対して、バルセロナがどのように抵抗したのかをご説明します。
バルセロナの抵抗
非常に高いインテンシティに基づく強固な守備を行うアトレティコマドリードに対して、苦戦していたバルセロナ。そんなバルセロナですが、何もしなかったわけではなく、アトレティコの弱点や各選手の個人技などでチャンスを作っていきました。特に後半は多くのチャンスを作っていました。バルセロナのプレーをいくつか見ていきましょう。
前半:早めのクロス
先ほどのアトレティコの守備の説明であったように、中央封鎖を最優先にしているためサイドに穴ができがちなアトレティコ。なので、バルセロナとしてはそのサイドでうまく攻撃したい中、早めにクロスを上げることでチャンスを作っていました。
GKからのビルドアップ。CBマスチェラーノがボールを持っています。前方へのパスコースが消されています。
マスチェラーノが少し前進する中、CHガビがイニエスタのマークを外してしまいます。
フリーになったイニエスタにボールが渡ります。ガビが遅れてプレスに当たりますが、逆サイドに展開されます。
SBアスベスにパスが通ります。アトレティコはバルセロナから見て全体的に左サイドによっていたので、右サイドのアウベスは大きなスペースを得ています。
少しドリブルで前進したアウベスは、プレスやアトレティコの帰陣が間に合う前にクロスをあげます。
高精度のクロスが通り、中でフリーになっていたWGペドロがヘディングシュート。
しかし、このシュートは外れてしまいます。アトレティコの弱点をうまくついたシーンでしたが、高さに弱みを持つバルセロナなのでうまくはいきませんでした。
得点シーン
前半で1点奪ったバルセロナ。この場面もサイドからのクロスが起点になりました。見ていきましょう。
サイドでセスクがボールを持っています。アトレティコの守備はFWの位置から見て中央攻撃を気にしています。セスクがフリーな状態です。
WGペドロの下がる動きに対してCBゴディンがついていきます。その瞬間にメッシがゴディンの裏のスペースを狙います。フリーでボールを持っているセスクからメッシにクロスが供給されます。
メッシがトラップしますが外にボールが流れます。メッシとCBミランダがそのボールを取りに行っています。ただ、ボールの近くにいたWGサンチェスが反応します。
この角度のないところで、前にCBがいる状況でシュートを放ちます。
このような状況の中での強烈なシュートにGKクルトワもさすがに反応できず、バルセロナが得点を奪います。アトレティコの守備はしっかり対応できていた印象ですが、バルセロナの個人技にやられた場面です。アトレティコにとっては不運な形での失点になりました。
後半:3−3−4
後半開始早々は4−6−0の前にまだまだ苦戦していたバルセロナ。またアトレティコがその時間帯に得点し、1−1となりました。リーグ優勝がかかった試合でバルセロナとしては絶対に勝たないといけないので、後半途中から攻撃的なフォーメーションで臨みました。
フォーメーション変更によってかなり危険なシーンを作り出せていました。また、アトレティコのスタミナがかなり消耗されていたことも要因の1つです。後半のバルセロナの抵抗も見ていきましょう。
どうしても1点が欲しいバルセロナ。ブスケッツが途中で負傷したため、代わりにソングが出場。そしてWGペドロに変わって若き日のネイマールが投入されました。 そのタイミングでフォーメーションを4−3−3から3−3−4の攻撃的なものに変更しました。中盤と前線はかなり流動的に動き、アトレティコとしてはかなり守りにくい攻撃になってましたね。
両サイドでSBアウベスとWGネイマールが幅を取って、中盤はメッシ、イニエスタ、セスクが流動的に動き、WGペドロとSBアルバがそのサポートをします。このようなフォーメーションで流動的に動くことでチャンスを作り出していきました。いくつか見ていきましょう。
1つ目
フォーメーションを変えた直後の決定機。
中央でSBアドリアーノがボール保持。偽サイドバックのようなポジショニングを行い、またCHセスクがアトレティコのSBとSH間にあるゾーンの隙間でポジショニング。ネイマールがサイド高い位置にいるのでSBも対応できず。
フリーになっているセスクにボールが渡りました。SHがダッシュで対応。
セスクはネイマールにボールを渡します。サイドでドリブルを仕掛けようとします。それに対してSHがSB守備のサポートにいきます。
それを察知したネイマールは中央にいるSBアドリアーノに戻します。アドリアーノにはCHがプレスにいきます。
アドリアーノはマスチェラーノのボールを戻します。先ほどのCHによるアドリアーノへのプレスによって、アトレティコのMFラインは1人失っています。
その守備のミスをついて、イニエスタがゾーンの隙間でパスを受けます。もう1人のCHの対応が遅れていることを利用して、サイドで完全にフリーになっているアウベスへとボールを回します。
一連の攻撃で完全に中央に集結していたアトレティコ。アウベスへのプレスは全く間に合わず、精度の高いクロスを上げられます。
クロスに対してギリギリの対応を迫られるアトレティコ。ヘディングシュートを打たせないようにすることはできましたが、苦しい状況でボールをきれいに弾き返すことができず不運にもメッシにボールが渡ります。
メッシがダイレクトでシュート。強烈なシュートはゴールに突き刺さりましたが、
惜しくもオフサイド判定。アトレティコとしては完全に救われた形となりました。
2つ目
続いても1つ目と同じような展開でした。
ソングが中央でボールを持っています。先ほど同様左サイドに展開します。
イニエスタがボールを受けます。今回はSBアドリアーノがゾーンの隙間で受けようとしますが、SHがそこまでイニエスタにあたりにこず、それを防いでいます。
そのディフェンスに対して、イニエスタはドリブルで前進。アドリアーノもイニエスタとのコンビネーションを狙います。それに対して、アトレティコはFWも守備に参加させ攻撃を防ごうとしてきます。
攻撃をやめ、CBマスチェラーノにボールを戻します。ただ、FWが左サイドで守備を行ったためにできた中央のゾーンの隙間でメッシがボールを受けようとします。
メッシにボールが渡りました。FWからの素早いプレスに対応して、ダイレクトで中央にパス。
パスが通りサンチェスがボール保持。サンチェスに対してSHがプレスをかけますが、サンチェスはダイレクトでのサイド展開を成功させます。
またもやフリーになったアウベス。FWがダッシュであたりにきますが、それを逆手にとってカットイン。
フリーでボールを持つアウベスは先ほど同様中央にクロスを上げます。
今回もアトレティコはギリギリクリアできました。非常に危険な場面でしたね。
3つ目
最後は上記2つとは違う攻撃ですが、ゴール近くでフリーキックを得た場面。
左サイドでネイマールがボール保持。イニエスタが先ほどのようにゾーンの隙間でボールを受けようとしています。それに対して、アトレティコCHがプレスの準備をします。
イニエスタにはパスを出さず、マスチェラーノにボールが渡ります。アトレティコCHが高い位置にいることがわかりますね。これを利用してチャンスを作ります。
メッシにボールが渡ります。CHが高い位置をとっていたので、メッシに対応するSHのサポートに遅れています。またSBもアウベスがいるので、サポートできていません。
世界一の1on1勝率を誇るメッシによって一瞬で抜かれるSH。メッシがバイタルエリアに侵入しました。これに対して、アウベスのマークを捨てSBが対応します。CHはまだ間に合ってません。
渋々スライディングで止めるSBルイス。
ゴール近くの左利きに有利な位置でフリーキックを獲得しました。しかしこのフリーキックは壁に阻まれて得点にならず。アトレティコとしては救われた形となりました。
上記3つのようにいくつかチャンスを作り出したバルセロナ。しかし、残念ながら得点を奪うことはできませんでした。ホームでの試合で、勝てばリーグ優勝でしたが達成できず、無念の無冠でシーズンを終えることになりました。
試合統括
前半は得点こそありましたが、アトレティコペースで試合が進んでいました。非常に強固な守備に対して、なかなか良いプレーができず苦しんでいたバルセロナ。
一方アトレティコとしては完全に思い通りにプレーができていたように思えます。バルセロナの個人技からの得点後も焦らず守備を徹底し、追加点を与えませんでした。後半に入りセットプレーから得点を奪ったアトレティコ。
さらに強固になったアトレティコに苦戦していたバルセロナでしたが、かなり攻撃的なフォーメーションへの変更が功を奏し、多くのチャンスを生み出しました。
ただ、運も味方したアトレティコ。後半もしっかり守り切り、リーガエスパニョーラのタイトルを勝ち取りました。
バイエルンのようなパーフェクトゲームではなかったですが、中堅チームとして非常に堅実な戦い方を披露したアトレティコ。
一方、右サイド、中央、左サイドとなんだかバラバラになっていた印象のバルセロナ。1−1の引き分けは妥当な結果だといえますね。
最後に:【ポジショナプレーの戦い⑤】ゾーンディフェンスを進化させる
今回は2013−14のバルセロナ対アトレティコマドリードの試合をご紹介しました。ポジショナルプレーによって世界を席巻したバルセロナが、進化したゾーンディフェンスを前に非常に苦戦し、無冠で終えたシーズンとなりました。
2010−11のレアルマドリード戦から大きく進化した守備戦術。ここでポジショナルプレーは終わりかと思われましたが、その後バルセロナ、ペップが率いるバイエルンやマンチェスターシティによって現在でもポジショナルプレーが有効ということが証明されています。
次回はその3チームのプレーを見て、ポジショナルプレーが終わらない理由をご紹介しようかと思います。
今回の記事で何かご意見等ございましたら、気軽にコメントしてください。
また、同シリーズの他記事もありますので、ぜひお読みください。
・ポジショナルプレーの戦い①
・ポジショナルプレーの戦い②
・ポジショナルプレーの戦い③
・ポジショナルプレーの戦い④
・ポジショナルプレーの戦い⑥
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント