どうも、がんばらないネコです。Twitterで活動しているサッカー分析ブロガーです。
今回は最近のユナイテッドの戦いぶりから、ユナイテッドの守備面での問題を見ていきましょう。
この記事は、以下の内容をお送りします。
この記事の内容はこちら!!
- 守備面での最大の問題
- 改善の兆候はあるか?
- 今シーズンできることはあるか?
長年再建しようとしているがうまくいかないユナイテッド。今シーズンも低迷中です。
今回の記事は守備面での問題、最近の戦いぶり、何を改善するべきかを詳しく解説していきます。
今回の記事で読めば、「なぜユナイテッドは勝てないのか?」や「守備問題の原因」などを知れますよ!
サッカーが好きな方や興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
それでは、どうぞ!
ディフェンス最大の問題:スペースを簡単に与えるプレッシング
アレックスファーガソンが2013年に退任して以来、世界最高のクラブの1つとしての地位を失いつつあるユナイテッド。
2022年テンハグが監督に就任し、チームの再建に取り組み始めましたがうまくいっている印象はない。
2年目となる今シーズンも低迷しており、リーグ戦は現在7位、CLは最下位で敗退しています。
なぜいまだに光明が見えないのか?
この章では、CL1〜3節の試合分析から、守備面でのユナイテッドの問題を見ていきたいと思います。
現代守備の基本:緻密にスペースを消す
サッカーの歴史を見ると、たびたび大きな変革があり、サッカーを大幅に進化させていますね。
近年の大きな変革というと、ペップバルサの登場による守備の大幅改善です。
上の画像にあるように、ペップバルサの登場前や登場当時の守備は、距離感やポジショニングが緻密ではありません。
言い換えば、今と比べると攻撃側にとって使えるスペースがかなり存在していた時代です。
しかし、打倒ペップバルサを掲げるチームたちによって守備が大幅に進化。
まず選手の距離感が近く、ポジショニングも緻密。
そして、プレスをするタイミングややり方、他選手との連携も緻密。
以上のように、現在の守備は、昔と比べて大幅にスペースを奪うことができるようになっています。
ユナイテッド守備:スペースを簡単に与えるプレッシング
ユナイテッドの守備は、スペースよりも人への意識が強いマンマーク気味の守備。
この守備の弊害としては、スペースが与えやすく、カバーリングが難しい点ですね。
上のシーンでは、マンマーク気味の守備を逆手に取られて、バイタルエリアへの侵入を許している。
ただ、どんな守備でも弱点はあるもので、ゾーンで守れば「ボールホルダーをフリーにしやすい」などの弱点はある。
では、ユナイテッドの守備の何が問題なのか?
ユナイテッド最大の問題は、「前線のプレスが下手なこと(意識が低いことも)」です。
先ほども言ったように、ユナイテッドはマンマーク気味の守備をするのでスペースを与えやすい。
そのスペースを使わせないことに最大限注意して各選手はプレスをしないといけません。
しかし、一言で言えば今のユナイテッドのプレスは下手です。
前線からのプレスがうまくいかず、中盤にどうしても存在してしまうスペースに簡単に縦パスを入れられること本当に多いです。
上のシーンは去年10月末のシティ戦。この試合でもユナイテッドの問題が露呈してましたね。
以上のように、プレスが下手なこと、そして後述するその他問題点も相まって、簡単に失点を許すチームになってますね。
この問題をどうにかしなければ、どれだけ選手を獲得しても勝てるチームにはならないでしょう。
※ちなみにこのプレッシングの問題は昨季と同じ問題です。昨季ELバルサ戦の分析記事でも書いてます。
守備面:その他問題点を見る
ここでは守備面でのその他問題点を簡単に紹介します。
・全体的にインテンシティが低い
マンマーク気味の守備で大変なことは、各選手が高いインテンシティを保たないといけないことですね。
スペースを与えやすく、カバーリングもあまり期待できないので、一人がサボれば全体が崩れます。
今のユナイテッドは、各選手のインテンシティが低いので、マンマーク気味の守備戦術が成り立ってません。
バイエルン戦2失点目も、ムシアラに抜かれる→SBはマンマーク気味→カバーリングがいないことで失点しています。
もちろんムシアラは世界屈指のドリブラーですが、こういうシーンが多すぎますね。
・帰陣が遅い
相手の攻撃が良い、もしくはプレスがうまくいかず突破されても、ゴール前でしっかり守ればまだ大丈夫。
突破された後にゴール前でしっかり守備するために必要なことは、なんと言ってもMFやFWの素早い帰陣。
どれだけ優秀なDFラインが揃っていても、相手が強ければ90分間守り切ることは難しい。
ゴールを守るためにはMFやFWが素早く帰陣し、DFラインを助ける必要があります。
しかし、ユナイテッドのMFやFWは帰陣が遅い。
ブルーノはもっと早く戻るべきでしたね。
・失点の仕方やタイミング
サッカーは90分間ありますが、90分間の中でチームにとって良い流れを掴むようなプレーが大事です。
これは攻撃面だけでなく守備面でも同じで、失点の仕方やタイミングによっては相手に流れを渡すことも大いにあります。
ロングパス1本で得点を許す。さらに悪いのはこの4分前に先制点を奪っていること。
ホームでの試合。幸先よく先制点を奪い、良い弾みをつけて勝利を奪いに行こうとした瞬間での失点。
掴みそうになった良い流れをなくしてしまうような失点といえます。
このような、良い流れを渡す失点や悪い流れになる失点が多い印象です。
・ネガティブトランジションへの準備
現代サッカーにおいて、攻守の切り替え、つまりトランジションは非常に重要になっています。
攻撃から守備への切り替えをネガティブトランジションといいますが、ユナイテッドはネガトラもよくないです。
詳細は攻撃編の記事で書きますが、攻撃面での問題によってトランジションの問題が発生してますね。
・DFラインを簡単に下げる
リバプール対シティの記事でも書きましたが、DFラインの操作は失点を防ぐために非常に重要です。
オフサイドを警戒させつつ、相手の攻撃スピードを下げ、味方の帰陣の時間を稼ぐことで、失点の確率を減らすことができます。
しかし、今のユナイテッドのDFラインは簡単に下がりすぎで、相手に攻撃しやすい守備をしています。
悪い状況には変わりありませんが、これほど簡単にエリア内への侵入を許すことは、状況を悪化させるだけです。
このシーンでは結局失点してますね。
・マークの受け渡しが下手
ユナイテッドのマンマーク気味守備は、マークの受け渡しをうまくしないと、よりデメリットを出しやすい。
「今のマークを続けるか?」、それとも「マークを味方に渡すか?」を正しく判断することが重要。
なのですが、ユナイテッドのマークの受け渡しはうまくありません。
分析したCL1〜3節どの試合でもマークの受け渡しミスからチャンスを作られています(動画見つからず;;)。
まとめると、守備面で足りてない要素が多すぎるということです
追記:要所を締める守備もできない
世界の潮流は規律ある効果的なプレッシングですが、その一方でレアルマドリードのような「要所を締める守備」もあります。
これはボール奪取や試合の支配を目的とするのではなく、成功確率が低い攻撃に誘導することで失点の確率を減らすための守備です。
昨季シティ戦での1シーン。シティのチャンスシーンで、デ・ブライネを無視して中央に移動するクロース。
この場面、「クロースはデ・ブライネに当たりに行くべき」と思う人も多いでしょう。
しかしクロースは、
- デ・ブライネはストライカーではない
- クルトワは世界最高GKの1人
- 折り返しからのシュートの方が危険
という理由から、中央に移動して折り返しからのシュートをケア。
結果的にデ・ブライネはシュートを選択し、クルトワがしっかりセーブして事なきを得ました。
以上のように、「要所を締める守備」というのも存在しますが、各選手の判断力の高さが非常に重要です。
例えば、上のシーンでボール保持者がメッシなら、確実にクロースかCBはプレスに行かないといけないでしょう。
メッシなら確実に入れますから。
各状況に応じて適切なプレーを判断し続ける能力が欠けていると、「要所を締める守備」は成り立ちません。
では、ユナイテッドの選手たちは「要所を締める守備」ができる能力があるかと考えれば「あまりない」といえますね。
もちろんリサンドロ・マルティネスやルークショーといった優秀なDFはいます。
しかし、その他DFやMF、FW陣の守備能力はあまり高くなく、要となるカゼミーロのパフォーマンスも今シーズンは低迷。
今のユナイテッドで「要所を締める守備」をするのは無謀といえます。
2024年1月時点でのパフォーマンス:ディフェンス編
この章では、2024年1月時点のパフォーマンスから、ディフェンス面の問題が解決されているか(兆候があるか?)を見ていきます。
現在のパフォーマンスを分析するために対象にした試合はウィガン戦とトッテナム戦です。
単刀直入にいうと、2024年1月時点でも守備面での問題は改善されておらず、シーズン序盤と同じといえますね。
トッテナム戦2失点目に、ユナイテッド守備の問題がすべてが詰め込まれています。
まずユナイテッドはトッテナムの組み立てを阻害しに行くように、前からプレスを仕掛けています。
状況を見ると、ユナイテッドから見て左サイドに相手を追い込もうとしてますね。
ですが、FWラッシュフォードのトッテナムCBへのプレスが甘すぎて、普通に右側に縦パスを入れられる。
守備意識が低すぎる。
左サイドでのボール奪取のためにMFマイノウは、当然ながら左にいた相手30番をマークしていた。
しかし、逆側に縦パスを入れられたことにより、対応できない状況に陥っています。
そして、MFマイノウが対応できない状況において、当然ながら他の選手が対応するべきですが、、、
一番対応できる状況(という対応するべき)にいるWGガルナチョは他人事のようにゆっくり走っている。
このように「味方をカバーとする」という考えもない。
こうしてトッテナムは余裕でゴール前に到達し崩しに入っていく。
まずトッテナムはSB?がハーフスペースに走り込み、サイドで数的優位を作ろうとしています。
ここでユナイテッドはMFマイノウが対応し、ハーフスペースにダッシュで行く。
当然MFマイノウが中盤からいなくなったことで中央にスペースが空きます。
この中央のスペースを使おうとするトッテナムに対して、ユナイテッドはというと・・・
誰もスペースを埋めてません。
エリクセンは帰陣がまったく間に合ってませんし、ブルーノは代わりに埋めようとする動きすらありません。
結果的にトッテナムに容易にエリア内への侵入を許す。
エリア内での対応も悪く、CBはPKに注意しながらもっと寄せるべきですね。距離を取りすぎです。
ユナイテッドCBがあまり寄せてこないので、強烈なシュートを打つ余裕があるトッテナムMF。
GKオナナにはどうすることもできないほどの強烈なシュートを突き刺し同点にしました。
ここまで説明したように失点の仕方も悪いですが、この失点は後半開始1分だったのでタイミング的にも最悪。
開幕から、もっといえば昨シーズンから変わっていないユナイテッドの守備でした。
守備の安定感がないとリーグ制覇は絶対にない
今シーズンできること:前線の選手の守備意識を上げる
最後に、守備面の問題を改善するために今シーズンできることを考えていきたいと思います。
まず言えるのは「守備の質が低い」といった問題ではなく、「守備の量」、言い換えれば意識の問題ということです。
先ほどのシーンにもありましたが、守備のやり方以前に「守備をしっかりしようとする」意識が欠けています。
戦術面が注目されがちな現在のサッカー界ですが、その戦術をしっかり実行しようとする意識が最優先。
どこをどう守るかを整理したとしても、実際にやろうとする姿勢がなければ何の意味もない。
シティやアーセナル、リバプールといった優勝候補でも失点することはあります。しかし、守備をサボっている場面は見られません。
だからこそ戦いが安定しており、長期戦であるリーグ戦を戦い抜くことができ、優勝するチャンスを持てる。
今のユナイテッドは、優勝候補といえるような守備からは程遠いレベル。
このままでは戦いぶりが安定することはないですし、優勝なんてことは夢のまた夢と言えるでしょう。
ユナイテッドが優勝を目指すなら、やはり守備意識の改善、特にFW陣(ブルーノ含む)が守備意識の改善が最優先でしょう。
では、誰が守備意識を改善させるのか?
それはやはり監督であるテンハグでしょう。
各選手にどのようなタスクを与え、どのようなプレーを評価するのかを決めるのは監督のはず。
ただ、テンハグのエピソードから厳しい監督という印象を持つ一方、チームの守備を見ると「選手は話を聞いてる?」と思ってしまいます。
もちろん現場で起こっていることは私にはまったくわかりません。
テンハグ含むコーチ陣は、選手たちに「守備意識を上げろ」と言ってるかもしれません。
しかし、もし守備意識の改善を求めているのにあの守備だったら、もはや監督の求心力はないと思います。
昨今のサッカー界はすぐに監督を変えたがる悪い傾向にあるのは確か。
長い目で見て成長しているかを判断するべきだと思います。
ただ、2シーズン監督としてやって、一向に守備意識が改善されないなら、今シーズン限りでの解任もアリだと思います。
全然関係ないけど、守備面では今のバルサに似てる(悪い意味で)
まとめ:【復活はいつ?】マンチェスターユナイテッドの問題:ディフェンス編
今回はユナイテッドの守備面での問題を解説しました。
最後に守備面での問題を振り返りましょう。
ユナイテッドの守備面での問題 ・一人一人の守備意識の低さ ・スペースを与えやすいプレッシング ・改善しそうな兆候のなさ
昨シーズンから継続している問題なので、なかなか重たく根深い問題といえますね。
これまでの監督がどうだったのかは知りませんが、現状においてはテンハグの手腕は疑われて当然だと思います。
もちろんまだ1月なので残り4ヶ月?で改善する可能性もありますので、シーズン終了時までは見守るべき。
ただ、シーズン終了時に「改善する気配がない」と判断できるレベルなら他の監督を連れてくるべきでしょう。
サッカーは守備から始まるものです!!
今回の記事で何かご意見等ございましたら、気軽にコメントしてください。
また、攻撃面での課題を分析した記事もありますので、ぜひご覧ください。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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