【なぜ?】迫力に欠ける攻撃を生み出す2人への依存
これまで2度シティを追い詰めるも優勝を逃してきたアーセナル。
今季こそ悲願のリーグ優勝を目指すが、ここまでの戦いぶりを見る限り「強いけどなんだかパッとしない」という印象。
停滞すら感じさせる原因は何なのか?
まずはその点から見ていきましょう。
サッカーとは”ゴールを奪って守るだけ”
サッカーにおいて最も重要なのは、言うまでもなく”ゴール”です。
相手より1点多く取れさえすれば勝利できるスポーツ。4失点しても5得点すればいい。
メッシとロナウドがあれほど時代を支配したのも、やはり両者の圧倒的な得点力があったからでしょう。
そして、試合の勝敗を最終的に決めるのはゴール前でのプレーであり、ゴールを決めることとゴールを守ることの2つ。
近年では戦術面の話がサッカー界を埋め尽くしていますが、戦術はゴールを保証するものではありません。
ゴールを奪うのも守るのも、最終的には選手個人の力量。素晴らしい選手が素晴らしいプレーを披露しないといけない。
90分間の中で、奪うべき時に奪い、守るべき時に守る。ゴール前を制すれば勝利できるのがサッカーです。
いまだ依存から抜け出せない攻撃陣
アルテタ政権において攻撃の要となっているサカとウーデゴール。
2人の多様なアイディア、優れたプレー精度とスピードから繰り出される攻撃は、欧州の中でも破壊力抜群です。
各国代表としても中心として活躍しているところからも、彼らの素晴らしさが理解できる。
ただ、サカとウーデゴール以外の攻撃では常に課題を抱え、今季も同じ課題に苦しみ、ゴール前での停滞を生んでいます。
これまでチームともに成長してきたマルティネッリやジェズス。
大金を支払って獲得したライスやトロサール。
いろんな選手を解決策として起用してきましたが、優れた攻撃がいまだ形作られず、ゴール前での迫力を欠いている元凶になっている。
優れた選手がいる中での課題の長期化は、見ているファンたちにとって歯痒い現状でしょう。
そして、相手チームにとっても「左サイドに誘導すれば守れるぞ」という期待にもつながっている印象。
ニューカッスル戦のようにサカを重点的に守ればもはや攻撃の選択肢がなくなり、勝利しやすいというチームになっている。
チームの方向性変更は解決策とはならない?
アルテタはゆっくりと、モウリーニョのような監督に変貌しつつある。誰もがそんなことは思っていなかったね。今日の彼らは、後半には下がってしまった
Goal.com
今季やや世間を賑わせている「アーセナルは守備的か?」という論争。
ペップのもとで数年アシスタントとして仕事をし、アーセナル監督就任後はポゼッション主体でやってきたアルテタ。
もちろん昔から引いて守ることはあった印象ですが、レッドカードの多さが影響したのか今季は多い印象です。
2度優勝を逃してきたアーセナル。チームは現実路線をいくべきか?もしくは理想を貫くのか?
欧州でもトップクラスのCB陣を抱えるアーセナルにとって現実路線は可能といえる。
45分間10人でシティとやり合った姿を見れば、引いて守ればかなり強固なチームです。
個人的に現実路線は賛成ですが、現実路線に変更→問題解決とはならない。どの方向性においても攻撃面での問題が蔓延る。
1点取らないと勝てないスポーツ。攻撃をする必要がなくなるわけではない。
引いて守る=カウンターでの得点が必要になるが、今の攻撃を見ていてもやはり火力不足に陥るはず。
路線変更の成功も攻撃面での問題にかかっているのが、今のアーセナルの現状でしょう。
【課題】迫力と破壊力を兼ね備えたい攻撃
ここでは、前章で取り上げた攻撃面での問題について詳細に書いていきます。
個人的には、左サイドにおいては選手の特性を踏まえて起用法を大きく変えるべきという意見です。
素晴らしい選手はいる。あとは良い関係を築き、連携を深めていく。そうすれば自ずと解決するでしょう。
それでは課題を1つずつ見てきましょう。
課題1:ゴール前の積極性
課題1つ目は、ゴール前でもっと積極的に攻めることです。きれいな形に囚われている感じがする。
上画像のように、サカやウーデゴールは相手のプレッシャーを無視して強引に攻めることが多々あります。
こういう強引な攻撃は、相手にとって予測しづらく対応が難しい。
左サイドの停滞を解消するには、スペースにもっとアタックし、相手を休ませないこと。
パスが通らなくても、ドリブルを止められても臆しない。
攻撃し続ければ、いずれスペースは生まれ、得点の機会も増えるでしょう。
課題2:ライスの活用法
課題2つ目は、「ライスの活用法」です。希少な存在を活かしきれていない印象。
ボランチでもインサイドハーフでも優れたプレーを見せることができるライス。
そのポリバレント性を大いに活用できれば、チームにとってかなり有益になるはず。
ただ、現状ライスを有効活用できているとはいえないアーセナル。ライスが良い形でボールに絡むことが少ない。
ボランチとしては素晴らしいプレーを見せます。これは攻撃面で計算が立つ選手がいないことも要因。
一方でインサイドハーフでの起用となると、ボールが出てこず、ボールを持っても出す場所がない。
走力を活かしたスペースへのラン、間受けからのチャンスメイクなどライス得意のプレーをもっと活かせば左サイドは大幅に活性化すると思うが・・・。
課題3:攻撃起点としてのWG
課題3つ目は、「攻撃起点としてのWG」です。サカはできているが、左サイドでは全然ですね。
アーセナルのWGは幅取り役。ペップバルサ時のWGのようにタッチライン側にポジショニングし相手SBを引き出す。
スペース創出とドリブル突破が主な仕事で、そこからのチャンスメイクがアーセナルの武器ですね。
ただ、サカはかなりうまくいっているが、マルティネッリは消化不良気味。ドリブルは△、チャンスメイクは×です。
ドリブラーとしてまだ一皮も二皮も剥けないといけない。
そして、チャンスメイクに関しては多くを学ぶ必要がある。
もちろん良いプレーもありますが、シーズンを通して見ると優勝するには不十分と言わざるおえない。
なので、個人的にはドリブラー型WGをやめ、ポジション交換などを含めチャンスメイク型WGに変えるべきだと思ってます。
詳細は後述しますが、マルティネッリがドリブラーとして大きく成長しない限り攻撃力増強は難しい。
課題4:SBの役割とバリエーション
課題4つ目は、「SBの役割とバリエーション」です。やっと攻撃的なSBを取ってくれた。
ホワイトや冨安、そしてジンチェンコというSB起用される選手を見れば、やはり中盤の増強という印象を受けます。
攻撃では偽SBとして中盤を補助し、守備では高い守備力で相手WGを止める(ジンチェンコは守備面で問題あり)。
もちろん偽SBが悪いわけではないですが、攻撃力に課題がある現状においては攻撃的SBの存在は不可欠でしょう。
というのなかでのティンバーの獲得。昨季足りなかった部分をしっかり補強しましたね。
まだ良いプレーは少ないですが、これから成熟していき有効な攻撃オプションとして機能してほしい。
個人的スタメン:スペースを強襲できる選手たち
この章の最後に、現状から考える個人的スタメンを書いていきます。
GK:ラヤ
SB:ホワイト(右)、カラフィオーリ(左)
CB:ガブリエウ、サリバ
ボランチ:パーティ
インサイドハーフ:ライス(左)、ウーデゴール(右)
WG:トロサール(左)、サカ(右)
FW:ハヴァーツ
やはり注目したいのは左サイドの攻撃。個人的には、トロサールとライス、ハヴァーツがポジションチェンジを行い、カラフィオーリも絡む形が理想。
まずトロサールはWGのポジションでスタートしますが、頻繁に中央にも移動し、サイドと中央両方でチャンスメイクする。
トロサールを有効活用するにはもっと自由に動いてもらったほうがいいのでは?というのが私の意見です。
そんなトロサールの動きに合わせるように、スペースを掴む力に優れているライスとハヴァーツがプレーすることも大事。
個人的にライスはもっと動いてボールに絡んでほしいですし、今季好調なハヴァーツにももっといろんなところに顔を出してほしい。
そして、SB起用のカラフィオーリには中盤の増強をメインとし、サブとしてハーフスペースへのランや間受けをしてほしい。
足元の技術に優れてますし、加入早々にもかかわらず良い感じに周りと連携してる印象のカラフィオーリ。
動いてスペースを活用できる選手たちですから、その特性をもっと活かしてほしい。
WGを幅取り役から解放し、より自由な役割を演じることが左サイド活性化につながるはずです。右は今のままで!!
今季の展望と期待:より大胆に戦いたい!!
最後に、今季の展望と期待を書いていきたいと思います。
今季こそ優勝したいアーセナルですが、チームやライバルの現状から見て難しいと思う。
それでは見ていきましょう。
今季展望:2つのライバル、そして取りこぼし
まずライバルとなり得るのはリバプールとマンチェスターシティ。いつもメンツですが今季も強いですね。
リバプールに関しては、クロップ勇退後スロットを新監督に迎えましたが、攻守ともに好調。持ち前の走力だけでなく、よりシステマチックな動きが加わった。
マンチェスターシティは怪我人の影響もあり好調とはいえませんが、やはり取りこぼしは少なく優勝争いにしっかり絡んでくるでしょう。
2つのライバルが盤石だからこそ取りこぼしできないアーセナルですが、取りこぼしする可能性が3チームの中で一番高いという現状。
もちろん原因は上記の攻撃面の問題です。どうにかしなければ、早々に優勝戦線から脱落しかねません。
攻撃に関して抜本的な改革が必要な現状に対して、アルテタは優れた解決策を見つけられるでしょうか?
最後に、先行き不安な今季のアーセナルに関して、優勝に向けた3つの期待を書いていきたいと思います。
期待1:メリーノとマルティネッリ
期待1つ目は、「メリーノとマルティネッリ」です。マルティネッリをドリブラーとして覚醒させる策。
先ほど書いたように、アーセナルのWGはドリブル突破とチャンスメイクの両面を担い、個人と連携両方で仕事が求められる。
その難しい仕事はサカの非凡な能力を使えば可能ですが、マルティネッリでは現状難しいと感じる。
だからといって、マルティネッリの能力をベンチで置いておくのはもったいない。
マルティネッリのドリブル能力を活かすために役立つのは、新加入メリーノのライン間でのチャンスメイク能力です。
左サイドの攻撃力増強のために取ったであろうメリーノ。
怪我の影響もあり最近試合に出だしたのでまだまだ能力発揮とまではいってない。
もしメリーノが左サイドでチャンスメイクを担えるようになれば、マルティネッリはSBとの1対1に集中でき、ドリブラーとして覚醒する可能性がある。
チャンスメイク役も担っている現状においては、パスとドリブルの2択で迷っている場面も多々ある。
そしてチャンスメイクに優れているという印象は個人的にはなく、マルティネッリはやはり生粋のドリブラー。
”ドリブラー”マルティネッリがうまく行くのであれば、先ほど述べたチャンスメイク型WGはサブとしてもいい。
期待2:多少崩したバランス
期待2つ目は、「多少崩したバランス」です。課題として挙げた「ゴール前での積極性」に関連する期待。
アーセナルのDF陣が非常に優れていることは他の記事でも何度も述べています。
多少不利な状況に陥っても、落ち着いて完璧な対応をしてくれる。
だからこそ、DF陣をより信頼して攻撃にもっと比重を置いても問題ないのではと思います。
もっと走力を活用してより縦に速い攻撃を活用すること。
ボールロストを覚悟して強引に相手DFにアタックしていくこと。
不安定な試合展開が増えますが、DF陣の能力から言えば十分お釣りが返ってくるはずです。
期待3:控え組の覚醒
期待3つ目は、「控え組の覚醒」です。これはずっといってます。
今季はジェズスやスターリングなどが控え組としてたびたび試合に出ていますが、プレーの出来が不十分。
試合の流れを変える役割ですが、ミスが多く周りとも絡めていない。
結果的に勝利を掴むための選択肢に欠け、主力への負担がやはり高いです。
控え組がより力を発揮できればチームも活気付きますし、試合でも様々なアプローチで勝利を狙える。
「自分がチームを勢いづかせるんだ」というプレーを見たいですね。
【停滞】アーセナル優勝への障壁と方向性 2024−25
今回は24−25序盤でのアーセナルの特徴や課題を解説しました。
シーズン前の予想がどのようなものだったか知りませんが、序盤戦を見る限りけっこう苦戦している印象。
過去2シーズンで優勝争いを経験しているため調子が上向けば優勝を狙えるチームなはず。だからこそもったいない。
ただ、まだまだ序盤戦。取りこぼしを防ぎつつ2月までに課題を解決すれば十分優勝できる。
今シーズンもアーセナルの悲願達成への道のりを見守りたい。
ちなみに、昨季のアーセナルがどのようなチームだったのかを知りたい方は以下の記事をお読みください。
・2023−24のアーセナル
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント